71 / 590
第4章 幸せの向こう側 ついに発見!ワタルの塔
エピソード28-1
しおりを挟む
魔導研究所 格納庫――
「準備出来次第、飛んで頂戴!」
少佐から出撃命令が出た。
「では、お乗りくださいであります」
佳乃は少佐たちをキャンピングカーに乗せた。
「静流様、準備オーケイであります!」
「よし、ロディ、収納」
「承りましたぁ」
ロディと呼ばれたシズム似の女の子は、キャンピングカーをポシェットに収納した。 シュウゥ
「目標、聖アスモニア修道魔導学園の正門のちょっと横、座標確認!」
「オッケーよ! 静流」
「では、行って来ます」ビシ
静流が少佐たちに裏ピース敬礼をしながら、キャノピーを閉めた。
「オシリス、魔法陣、展開!」
「オーライ」ブーンッ
オシリスが魔法陣をバギーの下に展開した。
「カウントダウン始めます。 10秒前! 9、8、7……」
ロディがカウントダウンを始めた。
「5秒前! 4、3、2、1、ゼロ!」
「【転移】!」ブンッ
静流とロディを乗せた小型バギーは、残像を残し、消えた。
◆ ◆ ◆ ◆
聖アスモニア修道魔導学園―― 正門のちょっと横
ブーンッ
まるで不可視モードを解除した時の様に、上から実体化していく。
シュゥゥ
バギーのマフラーから、水蒸気のような煙が少し出た。
パシュウ
キャノピーが跳ね上がり、ヘルメットを被った静流が現れた。
「はい到着っと」
ヘルメットを脱いで髪を搔き上げる静流。
「ロディ、これしまったら、車出してよ」
「オッケイ」
ロディは小型バギーを収納し、次にキャンピングカーを出した。ズズゥン
「良し、ロディ、乗り込むよ」
静流はロディとキャンピングカーに乗る。
「じゃあ佳乃さん、お願いします」
「了解であります!」
佳乃はキャンピングカーを走らせ、学園の門をくぐった。
「うひゃあ、何も変わっとらんのう」
隊長は懐かしさか窓から見える景色を楽しんでいる。
「ええと、その辺りに客用の駐車場がありますんで」
「ココでありますね。了解であります」
キャンピングカーを客員用駐車場に停め、教職員宿舎に向かった。
学園内―― 教職員宿舎
「ごめん下さい!」
澪が宿舎の管理人室に挨拶に行った。
「はい、どなた? ん?」
出てきたのは、ニニちゃん先生だった。
「どうも。統合軍の者ですが」
「軍の方? ああ、調査の件ですね?」
「ええ。夜間での調査がご希望との事でしたので」
澪が調査の説明をしていると、
「ニニちゃん先生、こんばんは」
「誰? 私をそう呼んでイイのは、ミス・イガワくらいしか……ん?」
「シズムならここにいますよ」
「ヤッホウ、先生!」
「ミス・イガワ! 来てくれたのね」
先生はシズムには心を開いているようだ。
「彼氏のシズルだよ?」
「か、彼氏?」ギロ
彼氏と紹介された静流を、ニニちゃん先生は睨みつけた。
「ち、違いますよ! シズムのいとこです」
「そう言えば面影が……ムフゥ、まあまあのルックスね?」
「ニニちゃん先生、何か柔らかくなりましたね? 前より」
「私の何を知っているって? アナタ」
このやり取りが続くかと思いきや、
「いらっしゃぁい、静流クン。ンフ」
「カチュア先生。こ、こんばんは」
白衣をまとった褐色の肌をしたグラマーな女教師がこちらに歩いて来た。
「ドラゴン寮の調査に来たんでしょう? ご苦労様」
「おお! 先生諸君、久しいな!」
「アナタは、ミス・サカキバラ!」
ニニちゃん先生は目を細め、目の前の女将校を見てそう言った。
「おう、まだ独り者らしいな、負のオーラが出ておるわい」
「な、何ですって? 生意気な」
ニニちゃん先生は隊長にそう言われ、わなわなと小刻みに震えている。
「静流クゥン、今晩泊ってくって聞いてるわよ? 保健室のベッド、使ってイイから」
隊長と先生が睨み合っている間に、カチュア先生は静流の首に腕を回した。
「ま、間に合ってます。僕は車かテントで寝ますから」
「まぁ、大変。ここのテントも張らなきゃ、ね」サワ
「ひぃぃ、勘弁してください!」
カチュア先生は静流の股間に手を伸ばすも、静流に逃げられた。
「冗談よ。て言ってもワタシはいつでもウェルカムなんだけどね」
カチュア先生はそう言ってウィンクをした。
「何じゃ妖怪め、暫く見ないうちに色気づきおって、昔は枯れておったろうが」
「口が過ぎてよ、このおチビ! そんな事、静流クンの前で言わないで頂戴!」
「この姉にあの妹あり、か。どいつもこいつも色めきおってからに。歳を考えろ!」
「歳は関係ないわ! アナタにだって、その内わかるわよ」
隊長と保健の先生は、何か因縁でもあるのだろうか?
「ニニ先生すいません、隊長、榊原中尉はココではどんな生徒だったんですか?」
澪は恐る恐るニニちゃん先生に聞いてみた。
「成績は上位でしたね。ですが、言葉使いや作法はからっきしでした」
「やっぱり、今とそう変わっていないみたいですね」
「あのような容姿でこういう特性ですから、目立ちますし、人気はあったのではないでしょうか」
「そうですか。ふう」
澪は溜息をついた。
「アナタもあのような上官では、苦労が絶えないでしょうに」
「はぁ。お察し頂き、うれしく思います」
「準備出来次第、飛んで頂戴!」
少佐から出撃命令が出た。
「では、お乗りくださいであります」
佳乃は少佐たちをキャンピングカーに乗せた。
「静流様、準備オーケイであります!」
「よし、ロディ、収納」
「承りましたぁ」
ロディと呼ばれたシズム似の女の子は、キャンピングカーをポシェットに収納した。 シュウゥ
「目標、聖アスモニア修道魔導学園の正門のちょっと横、座標確認!」
「オッケーよ! 静流」
「では、行って来ます」ビシ
静流が少佐たちに裏ピース敬礼をしながら、キャノピーを閉めた。
「オシリス、魔法陣、展開!」
「オーライ」ブーンッ
オシリスが魔法陣をバギーの下に展開した。
「カウントダウン始めます。 10秒前! 9、8、7……」
ロディがカウントダウンを始めた。
「5秒前! 4、3、2、1、ゼロ!」
「【転移】!」ブンッ
静流とロディを乗せた小型バギーは、残像を残し、消えた。
◆ ◆ ◆ ◆
聖アスモニア修道魔導学園―― 正門のちょっと横
ブーンッ
まるで不可視モードを解除した時の様に、上から実体化していく。
シュゥゥ
バギーのマフラーから、水蒸気のような煙が少し出た。
パシュウ
キャノピーが跳ね上がり、ヘルメットを被った静流が現れた。
「はい到着っと」
ヘルメットを脱いで髪を搔き上げる静流。
「ロディ、これしまったら、車出してよ」
「オッケイ」
ロディは小型バギーを収納し、次にキャンピングカーを出した。ズズゥン
「良し、ロディ、乗り込むよ」
静流はロディとキャンピングカーに乗る。
「じゃあ佳乃さん、お願いします」
「了解であります!」
佳乃はキャンピングカーを走らせ、学園の門をくぐった。
「うひゃあ、何も変わっとらんのう」
隊長は懐かしさか窓から見える景色を楽しんでいる。
「ええと、その辺りに客用の駐車場がありますんで」
「ココでありますね。了解であります」
キャンピングカーを客員用駐車場に停め、教職員宿舎に向かった。
学園内―― 教職員宿舎
「ごめん下さい!」
澪が宿舎の管理人室に挨拶に行った。
「はい、どなた? ん?」
出てきたのは、ニニちゃん先生だった。
「どうも。統合軍の者ですが」
「軍の方? ああ、調査の件ですね?」
「ええ。夜間での調査がご希望との事でしたので」
澪が調査の説明をしていると、
「ニニちゃん先生、こんばんは」
「誰? 私をそう呼んでイイのは、ミス・イガワくらいしか……ん?」
「シズムならここにいますよ」
「ヤッホウ、先生!」
「ミス・イガワ! 来てくれたのね」
先生はシズムには心を開いているようだ。
「彼氏のシズルだよ?」
「か、彼氏?」ギロ
彼氏と紹介された静流を、ニニちゃん先生は睨みつけた。
「ち、違いますよ! シズムのいとこです」
「そう言えば面影が……ムフゥ、まあまあのルックスね?」
「ニニちゃん先生、何か柔らかくなりましたね? 前より」
「私の何を知っているって? アナタ」
このやり取りが続くかと思いきや、
「いらっしゃぁい、静流クン。ンフ」
「カチュア先生。こ、こんばんは」
白衣をまとった褐色の肌をしたグラマーな女教師がこちらに歩いて来た。
「ドラゴン寮の調査に来たんでしょう? ご苦労様」
「おお! 先生諸君、久しいな!」
「アナタは、ミス・サカキバラ!」
ニニちゃん先生は目を細め、目の前の女将校を見てそう言った。
「おう、まだ独り者らしいな、負のオーラが出ておるわい」
「な、何ですって? 生意気な」
ニニちゃん先生は隊長にそう言われ、わなわなと小刻みに震えている。
「静流クゥン、今晩泊ってくって聞いてるわよ? 保健室のベッド、使ってイイから」
隊長と先生が睨み合っている間に、カチュア先生は静流の首に腕を回した。
「ま、間に合ってます。僕は車かテントで寝ますから」
「まぁ、大変。ここのテントも張らなきゃ、ね」サワ
「ひぃぃ、勘弁してください!」
カチュア先生は静流の股間に手を伸ばすも、静流に逃げられた。
「冗談よ。て言ってもワタシはいつでもウェルカムなんだけどね」
カチュア先生はそう言ってウィンクをした。
「何じゃ妖怪め、暫く見ないうちに色気づきおって、昔は枯れておったろうが」
「口が過ぎてよ、このおチビ! そんな事、静流クンの前で言わないで頂戴!」
「この姉にあの妹あり、か。どいつもこいつも色めきおってからに。歳を考えろ!」
「歳は関係ないわ! アナタにだって、その内わかるわよ」
隊長と保健の先生は、何か因縁でもあるのだろうか?
「ニニ先生すいません、隊長、榊原中尉はココではどんな生徒だったんですか?」
澪は恐る恐るニニちゃん先生に聞いてみた。
「成績は上位でしたね。ですが、言葉使いや作法はからっきしでした」
「やっぱり、今とそう変わっていないみたいですね」
「あのような容姿でこういう特性ですから、目立ちますし、人気はあったのではないでしょうか」
「そうですか。ふう」
澪は溜息をついた。
「アナタもあのような上官では、苦労が絶えないでしょうに」
「はぁ。お察し頂き、うれしく思います」
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる