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第3章 失われた時を求めて 転移魔法、完成……か?
エピソード23-1
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魔導研究所 格納庫――朝
次の日、静流はみんなを呼んだ。
「なあに? 何かイイ事あったぁ?」
リリイは静流の態度で薄々気付いていたが、一応聞いてみた。
「へへ。ええ。まあ」
少佐が濃灰豹の名前について聞いて来た。
「そう言えば、クロちゃんの名前、決まった?」
「ええ。バッチリです!」
静流は自信満々にそう答えた。
「ロディ! 来い!」
「はい、静流様」シュタッ
「ムフゥ。たまらんのぉ」
静流は腰に手を当て、ドヤ顔でみんなを見た。
「まあ、可もなく不可もなくって感じよね」
少佐はつまらなそうにそう言った。
「ナイスであります! これなら抵触しないであります」
「グレ子とかじゃなくて良かったわね」
「ま、静流クンが納得してるんならそれでイイと思う」
三人はそれぞれの感想を述べた。
「ロディのスゴい所はまだあるんですよ? 見て下さい!」
「ナニナニ? どんなの?」
「ロディ、アレ出して?」
「アレですか? 静流様」
「そう。アレ」
「かしこまりました」ベー
ロディと呼ばれた黒豹は、口からとんでもないものを出した。
「これって、あのバギーじゃない!? え?どんな仕組みなの?」
「コイツには、『インベントリ』って収納用の異空間があるんです」
「それって、ゲームで言う『アイテムBOX』みたいな?」
「リリイさん。まさにそれです!」
「スゴいじゃない、で、容量は?」
少佐の目がキラキラしている。
「無限です。少佐殿」
「ふわぁ。素敵ぃ」
少佐は手をポンと叩くと、ロディを撫でまわしている。
「生物は? 中に入っても大丈夫なの?」
「居住空間として使用しても、問題はありません」
「ちょっとしたセーフハウスとかシェルターに使えるわね……」ブツブツ
少佐は何か企んでいるようだ。
「但し、使用権限は静流様にあります」
「も、もちろんよ。わかっているわ」
少佐は、ロディに念を押され、あわてて取り繕った。
「静流クン? ちょっと、イイ?」クイクイ
少佐は、静流を隅っこに呼び出した。
「はい? 何ですか?」
「この『インベントリ』と『転移』って相性抜群じゃない?」
「ん?……そうか! これならいっぺんに大勢を『転移』出来る!」
「そう言う事。こうしちゃいられないわ、『善は急げ』よ」
少佐はそう言うと、スタスタと去って行った。
「佳乃さん、そう言う事みたいなんで、何回も往復しなくても済みそうですよ!」
「それはありがたいであります! ロディ様様でありますなぁ」
佳乃はロディをヨシヨシと撫でた。
「礼には及びません、スレンダー先輩」
「ふぇ? 先輩?」
「貴女の方が静流様の従者としては、先輩ですから」
「そ、そう言う事でありましたか。そうであります! 私の方が先輩であります!」
佳乃は胸を張った。
「って事は、私は『大先輩』って事よね?」
さっきまで黙っていたオシリスは、ドヤ顔でそう言った。
「肯定です。オシリス先輩」
ロディはそう答えた。
「ふん。わかってりゃあイイのよ。敬いなさい、アンタもね?」
オシリスはロディと佳乃に向けて、そう言った。
「勿論であります! オシリス殿には敵わないでありますなぁ」
「そうか。豹はゲット、小さいけど思考型ゴーレムもゲットか。あと二つでコンプだな」ブツブツ
静流は何やらブツブツ言っているが、何のことやら。
「では、自分が『怪鳥型の飛行ロボット』を操縦すれば良いのでありますね?」
「確かに。出来るかな? 具現化」
「依り代に使う鉄クズはいくらでもありますゆえ、可能ではないかと思うであります」
「でも、全くの『私用』だし、どうかな?」
「スクラップの処分をしていると説明すれば、案外通るかもであります」
「うん……でもこの件はちょっと保留にしませんか?」
「と、良いますと?」
「いざ作ったとして、それが軍事利用とかされたら……て思ったら、ちょっと怖くなりました」
「静流様は、なんと心優しい方でありますな。惚れ直したであります」パァァ
「そんなに見ないで下さい。照れるじゃないですか」カァァ
佳乃は、改めて静流の奥ゆかしさに感銘を受けた。
(このお歳でそこまでを考えている。聖人とはこの方にふさわしい称号だわ)
「静流クン、この『ロディ』を使えば、『学校の件』も解決よね?」
少佐が以前「考えておく」と言っていた件は、これで何とかなりそうだ。
「そうか! シズムはロディにやらせよう!」
ロディが「井川シズム」として高校に通えば、保留になっていた辻褄合わせのピースが完全に埋まる。
「後はシズルカの扱い方だな」
「それは……ん?そうか、その手があったか」
「アマンダさん? 何か思いついたんですか?」
「シズルカ様の件は私が預かるわ」
「じゃあ、お願いします」
「ひと段落したら、インベントリ内の調査を行うわよ!」ワクワク
少佐は、おもちゃをもらった子供の様にはしゃいでいる。
◆ ◆ ◆ ◆
魔導研究所 格納庫――午後
少佐は静流たちを格納庫に呼び出した。
「静流クン、これはちょっとしたプレゼントよ! 持って来て!」
そう言われて近づいて来たのは、観光バスクラスのキャンピングカーだった。
「うわぁ、スゴいじゃないですか? ホントにイイんですか?」
「イイのよ。これは司令が昔、オートキャンプにハマっていた時に購入したものなの」
「そうか。コレをインベントリに置いて、待機所の様に使うんですね?」
「話が早くて助かるわ。そう。正に待機所よ」
複数人を転移させる時の一次的な居住空間として利用するのだ。
「よし、ロディ、これを収納してくれ」
「畏まりました、静流様」シュン
キャンピングカーは一瞬でロディの口に吸いこまれた。
「ホント便利よねぇ、この子」
静流は、技術少佐と佳乃に相談を持ちかけた。
「日本に帰る前に、ちょっと気になる事がありまして……」
「もしかして、あの『サムライアーマー』の件でありますか?」
「イメージがまとまったの?」
「そうなんですよ。日本に帰る前に、試してみたいんですが」
「自分も興味深々でありましたから、問題無いであります」
「実験なら大歓迎よ?」
二人には良い返事をもらった。
「急ですいませんが、明日の日曜日、学園のみんなをここに招待したいんですけど、出来ますかね?」
「静流様の頼みなら、大丈夫でありますよ」
そのあと、技術少佐が指令に相談して、『チラウラノート』の実験である事から、協力者である学園の
生徒を招待する事のOKが出た。
「ヨーコたちに外出許可取ってもらうように言わなきゃ」
◆ ◆ ◆ ◆
学園 アンドロメダ寮――夕方
アンドロメダ寮では、ナギサとサラがティータイムをたしなんでいた。
そこにいきなり静流からの念話が入った。
〔サラ、聞こえる?〕
〔ふえっ、静流様?〕ビクゥ
〔いきなりゴメン、手短に言うと、明日って外出許可、取れる?〕
〔多分、大丈夫です……けど?〕
〔キミの一日を僕にくれないか?〕
〔そ、それって、まさか〕
〔サムライアーマーの件でさぁ、実際に試してみたいんだ。キミだって直接見たいでしょ?〕
〔う、そっちの件でしたか……〕シュン
〔どうしたの?急にテンション下がってるみたいだけど?〕
〔な、何でもありません。二人っきりなら何でもイイです〕
〔じゃあ、他のみんなにも言っといてよ。朝迎えに行くから〕
〔え? ヨーコやナギサたちも、ですか?〕
〔そうだけど、何か問題でも?〕
〔いいえ! 問題ありませんです〕
〔じゃあ、頼んだよ〕ブツッ
念話が終わって、サラは少しガッカリし、つぶやいた。
「ですよねー」
サラのコロコロ変わる表情を興味深く見ていたナギサは、相手が静流だとすぐわかった。
「何? 静流様から?」
「そうなんですよ、急な話なんですけどね……」
次の日、静流はみんなを呼んだ。
「なあに? 何かイイ事あったぁ?」
リリイは静流の態度で薄々気付いていたが、一応聞いてみた。
「へへ。ええ。まあ」
少佐が濃灰豹の名前について聞いて来た。
「そう言えば、クロちゃんの名前、決まった?」
「ええ。バッチリです!」
静流は自信満々にそう答えた。
「ロディ! 来い!」
「はい、静流様」シュタッ
「ムフゥ。たまらんのぉ」
静流は腰に手を当て、ドヤ顔でみんなを見た。
「まあ、可もなく不可もなくって感じよね」
少佐はつまらなそうにそう言った。
「ナイスであります! これなら抵触しないであります」
「グレ子とかじゃなくて良かったわね」
「ま、静流クンが納得してるんならそれでイイと思う」
三人はそれぞれの感想を述べた。
「ロディのスゴい所はまだあるんですよ? 見て下さい!」
「ナニナニ? どんなの?」
「ロディ、アレ出して?」
「アレですか? 静流様」
「そう。アレ」
「かしこまりました」ベー
ロディと呼ばれた黒豹は、口からとんでもないものを出した。
「これって、あのバギーじゃない!? え?どんな仕組みなの?」
「コイツには、『インベントリ』って収納用の異空間があるんです」
「それって、ゲームで言う『アイテムBOX』みたいな?」
「リリイさん。まさにそれです!」
「スゴいじゃない、で、容量は?」
少佐の目がキラキラしている。
「無限です。少佐殿」
「ふわぁ。素敵ぃ」
少佐は手をポンと叩くと、ロディを撫でまわしている。
「生物は? 中に入っても大丈夫なの?」
「居住空間として使用しても、問題はありません」
「ちょっとしたセーフハウスとかシェルターに使えるわね……」ブツブツ
少佐は何か企んでいるようだ。
「但し、使用権限は静流様にあります」
「も、もちろんよ。わかっているわ」
少佐は、ロディに念を押され、あわてて取り繕った。
「静流クン? ちょっと、イイ?」クイクイ
少佐は、静流を隅っこに呼び出した。
「はい? 何ですか?」
「この『インベントリ』と『転移』って相性抜群じゃない?」
「ん?……そうか! これならいっぺんに大勢を『転移』出来る!」
「そう言う事。こうしちゃいられないわ、『善は急げ』よ」
少佐はそう言うと、スタスタと去って行った。
「佳乃さん、そう言う事みたいなんで、何回も往復しなくても済みそうですよ!」
「それはありがたいであります! ロディ様様でありますなぁ」
佳乃はロディをヨシヨシと撫でた。
「礼には及びません、スレンダー先輩」
「ふぇ? 先輩?」
「貴女の方が静流様の従者としては、先輩ですから」
「そ、そう言う事でありましたか。そうであります! 私の方が先輩であります!」
佳乃は胸を張った。
「って事は、私は『大先輩』って事よね?」
さっきまで黙っていたオシリスは、ドヤ顔でそう言った。
「肯定です。オシリス先輩」
ロディはそう答えた。
「ふん。わかってりゃあイイのよ。敬いなさい、アンタもね?」
オシリスはロディと佳乃に向けて、そう言った。
「勿論であります! オシリス殿には敵わないでありますなぁ」
「そうか。豹はゲット、小さいけど思考型ゴーレムもゲットか。あと二つでコンプだな」ブツブツ
静流は何やらブツブツ言っているが、何のことやら。
「では、自分が『怪鳥型の飛行ロボット』を操縦すれば良いのでありますね?」
「確かに。出来るかな? 具現化」
「依り代に使う鉄クズはいくらでもありますゆえ、可能ではないかと思うであります」
「でも、全くの『私用』だし、どうかな?」
「スクラップの処分をしていると説明すれば、案外通るかもであります」
「うん……でもこの件はちょっと保留にしませんか?」
「と、良いますと?」
「いざ作ったとして、それが軍事利用とかされたら……て思ったら、ちょっと怖くなりました」
「静流様は、なんと心優しい方でありますな。惚れ直したであります」パァァ
「そんなに見ないで下さい。照れるじゃないですか」カァァ
佳乃は、改めて静流の奥ゆかしさに感銘を受けた。
(このお歳でそこまでを考えている。聖人とはこの方にふさわしい称号だわ)
「静流クン、この『ロディ』を使えば、『学校の件』も解決よね?」
少佐が以前「考えておく」と言っていた件は、これで何とかなりそうだ。
「そうか! シズムはロディにやらせよう!」
ロディが「井川シズム」として高校に通えば、保留になっていた辻褄合わせのピースが完全に埋まる。
「後はシズルカの扱い方だな」
「それは……ん?そうか、その手があったか」
「アマンダさん? 何か思いついたんですか?」
「シズルカ様の件は私が預かるわ」
「じゃあ、お願いします」
「ひと段落したら、インベントリ内の調査を行うわよ!」ワクワク
少佐は、おもちゃをもらった子供の様にはしゃいでいる。
◆ ◆ ◆ ◆
魔導研究所 格納庫――午後
少佐は静流たちを格納庫に呼び出した。
「静流クン、これはちょっとしたプレゼントよ! 持って来て!」
そう言われて近づいて来たのは、観光バスクラスのキャンピングカーだった。
「うわぁ、スゴいじゃないですか? ホントにイイんですか?」
「イイのよ。これは司令が昔、オートキャンプにハマっていた時に購入したものなの」
「そうか。コレをインベントリに置いて、待機所の様に使うんですね?」
「話が早くて助かるわ。そう。正に待機所よ」
複数人を転移させる時の一次的な居住空間として利用するのだ。
「よし、ロディ、これを収納してくれ」
「畏まりました、静流様」シュン
キャンピングカーは一瞬でロディの口に吸いこまれた。
「ホント便利よねぇ、この子」
静流は、技術少佐と佳乃に相談を持ちかけた。
「日本に帰る前に、ちょっと気になる事がありまして……」
「もしかして、あの『サムライアーマー』の件でありますか?」
「イメージがまとまったの?」
「そうなんですよ。日本に帰る前に、試してみたいんですが」
「自分も興味深々でありましたから、問題無いであります」
「実験なら大歓迎よ?」
二人には良い返事をもらった。
「急ですいませんが、明日の日曜日、学園のみんなをここに招待したいんですけど、出来ますかね?」
「静流様の頼みなら、大丈夫でありますよ」
そのあと、技術少佐が指令に相談して、『チラウラノート』の実験である事から、協力者である学園の
生徒を招待する事のOKが出た。
「ヨーコたちに外出許可取ってもらうように言わなきゃ」
◆ ◆ ◆ ◆
学園 アンドロメダ寮――夕方
アンドロメダ寮では、ナギサとサラがティータイムをたしなんでいた。
そこにいきなり静流からの念話が入った。
〔サラ、聞こえる?〕
〔ふえっ、静流様?〕ビクゥ
〔いきなりゴメン、手短に言うと、明日って外出許可、取れる?〕
〔多分、大丈夫です……けど?〕
〔キミの一日を僕にくれないか?〕
〔そ、それって、まさか〕
〔サムライアーマーの件でさぁ、実際に試してみたいんだ。キミだって直接見たいでしょ?〕
〔う、そっちの件でしたか……〕シュン
〔どうしたの?急にテンション下がってるみたいだけど?〕
〔な、何でもありません。二人っきりなら何でもイイです〕
〔じゃあ、他のみんなにも言っといてよ。朝迎えに行くから〕
〔え? ヨーコやナギサたちも、ですか?〕
〔そうだけど、何か問題でも?〕
〔いいえ! 問題ありませんです〕
〔じゃあ、頼んだよ〕ブツッ
念話が終わって、サラは少しガッカリし、つぶやいた。
「ですよねー」
サラのコロコロ変わる表情を興味深く見ていたナギサは、相手が静流だとすぐわかった。
「何? 静流様から?」
「そうなんですよ、急な話なんですけどね……」
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