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第一章 人外の冒険者。
09 俺と先代魔王。
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「君に声をかけたのは、実は簡単な話しなんだ。陸自のマローダーみたいな格好良いその乗り物に乗って――あ痛いっ⁉︎ フューレンは引っ込んでてよっ! 暴れるなっ!」
そんな意味不明なことを口走った矢先、右目を眼帯ごと押さえ込んで悶え苦しみ、挙句にはひとりで騒ぎ立て始めるロゥ。
「はぁ……はぁ……」
息は荒げているものの、暫くして落ち着く。そして――。
「くっ……ドキ☆変態だらけの争奪戦。見たくもない兄貴のポロリもあるよ――あははっ! 昭和時代の初期が懐かしいキャッチフレーズみた――って、痛い、痛いって⁉︎」
俺の知るところでは全くないが、更に意味不明なことを口走り、再び右目を眼帯ごと押さえ込みつつ地面を転がり回る、と。
「リクジ? マローダー? なんだそれ? ショウワ時代? ロゼ、そんな時代なんてあったか?」
本来の立場上、ありとあらゆる知識に明るいロゼに一応聞いてみるも。
「私も初めて聞く単語だな……皆目見当もつかん。そんな時代があったなど、過去の文献にも記されてない。故に全く覚えがない」
肩を竦めてそう仰る……なるほど。ロゼにすらお手上げらしい。
「ロゥは頭が少し……時々あんな風になるんです。察してあげてご容赦下さい。どうか見て見ぬ振りで」
首を傾げて考え込む俺たちに、そう言って申し訳なさげに頭を下げてくるフランカ。
「い、痛い、痛いってっ⁉︎ え、抉らないでって~っ⁉︎」
ロゥは相変わらず意味不明にのたうち回る、と。
「……貴女も色々と大変だな」
ロゼは同情するかのような可哀想な者を見る生温かい目で、申し訳なさそうなフランカにそう静かに呟く。
「俺らんとこにも似たような暴虐無人に阿呆が居るからな。超絶に同意だ」
俺も長い舌を出したり引っ込めたりしつつ、遠い目をして同意しておいた。
ロゥから話しを聞いてみれば、全く要領を得ず。
挙句にはのたうち回りつつ自身の右目と喧嘩をおっ始めるわけで――って、お前は一体なんなんだよ?
そう言った経緯もあり、結局はフランカから残りの事情を詳しく聞く羽目となった――。
◇◇◇
「極悪非道の先代魔王のことはご存知でしょうか?」
血も涙もない極悪非道が枕詞、史上最悪の先代魔王――そう世間で認知はされている。
だがしかし。国家間の平和の為にそうなってるだけで、事実はそうでないと俺は知ってたりするんだが……言えないんだよなぁ。
「無論だ。寧ろ知らぬ者は居ないと思う。先代は既に勇者に倒されていて、今は新しい魔王に代替わりしてるのは周知の事実だからな」
既に倒されている――そう世間でも認知されて、ある意味では間違っちゃいなんだが。正しい意味ではそうじゃないんだなぁとも知ってたり。
「何故に今更そんなことを聞く?」
ロゼの疑問も当然だな。改めて問いかける必要もないくらい、誰でも知ってる周知の事実に間違いはない。語られる内容そのものは全部間違っちゃいるけどな。
「その魔王の残滓――血肉って厄介な代物が、この世に現存してることもご承知でしょうか?」
「なん……だと……」
さて。あり得ないことをほざきやがったな。
血肉など残るわけもない。何故なら――。
「奴は勇者一行との激戦の末、消耗したところで当時特等級だったナイース街に拠点を置く冒険者組合のアーネ統括が最終的にトドメを刺し、その最期は魔族領諸とも跡形もなく消滅した筈ではなかったのか?」
早口で捲し立てるロゼ。
そ。公にはそう言うことになってるからな、うん。
「その場所は今現在、名もなき荒野と化している。私自ら現地の至る所を検察したが、そんな物が残っていた形跡も痕跡もない。その後も報告すら一切上がっていない。私の耳に届いてないそんな眉唾物の情報、信じるに値しない。あり得ない」
まぁ、ロゼならばそう結論づけるのが普通だな。
今ではターコック領の重要人物であるロゼにすら、この本当の結末は知らないか……やれやれ。隠蔽工作が徹底してるな。流石だよアーネさん。
それにしても……ロゼともあろう者が矛盾に気づかないもんなのか?
トドメを刺したまでは普通にわかるが、消滅した手法も理由も曖昧にされてるんだぞ?
大体だな、そんな広域が消滅してしまう規模だったら、その場に居たアーネさんらも無事では済まんだろうが。綺麗さっぱり消滅してると思わん? もしか認識阻害の術式まで練り込んで隠蔽工作を施してんのかね?
まぁ魔法障壁とかを張って命辛々生き残ったとか、なんだかんだ後づけ言い訳はできるけどもさ。色々と詰めが甘いよな、うん。
「――だろうな」
だがしかし。あえて言及はせず、長い舌を出したり引っ込めたりと、何食わぬ顔で相槌を打つに留めておく。
皆の言う先代ってのは極悪非道で知れ渡っているが、俺の知る先代ってのはそうじゃない。
逆に忘れ形見たる娘らの安寧の為にと自ら汚名を被り、潔く犠牲となった悲しくも男前の魔王なのにな。
汚名を被る原因と言うか元凶は、良くある阿呆な同胞の暴走だし。それが元で大規模な戦乱の世になったが本当の歴史で正しい理由なんだがな。
今語られる内容は、単に辻褄合わせで捏造された世間一般に蔓延する偽りの魔王――必要悪とする虚構の魔王となる。
事実は当時幼くも死力を尽くして戦った勇敢な幼児に未来を託し、自らの持てる力を全てを譲渡。そして世界を大混乱から救った英雄的魔族なんだから、うん。
相対する幼児が全てを受け入れた時点で、先代魔王の肉体から精神、内包する力に至るその全てがひとつに融合されてるし、証拠隠滅みたいに一掃する意味で、一部を除いて周囲を跡形も残さない荒野に変えたんだからな。
だからあり得ないんだよ。血肉なんてもんが残る筈は。
「あれは使い方によっては、たったひとつで世界が滅ぶ、欠片だけでも実に危険な物なのです」
「なん……だと……」
だがしかし。ない物が実際にあると仰る。
「それを媒体に魔王復活を目論むどころか、力の一端をその身に宿し、己が魔王になろうと目論む不貞の輩――」
「その弩級の阿呆ってのが、ワッキーニ王なんだけどさ? こっちに蔓延るシール団? そんなを使って色々悪さしてるっぽいんだよねぇ」
フランカが語る横から復活したロゥが口を挟む。相変わらず右目を眼帯ごと押さえて。
「なるほど、それでジーコック領か。そして大元の根っこが魔法国家か」
と、言うことは。創造――作り出した可能性も浮上するな。
「ややこしいのは別の勢力も動いててね? 権力の為に躍起になって集めてるお馬鹿な連中に加えて、単に掠め取って儲けようと言う大概なお馬鹿、更にはその魔王の残滓から新たな神を創造しちゃおうなんて考えた、究極お馬鹿なカルト集団までがひしめき合ってるんだよ」
は? 第三勢力まで居やがんのか。存外にも面倒くさい案件になるぞ、これ。
ここジーコック領ナイース街に蔓延る謎の集団――否。団と言うには些か不適切か。愉快犯の集まりだな。
しょうもない悪事――ですらないか。最早どう見ても単なる悪戯ばかりを働く阿呆ども。
シール団なるケッタイな連中がそれだ。
妙な派閥もあり『友』と『遊』に別れてんだったか。それらとは別の『陰』ってのもあったか?
そんなしょうもない連中に派閥があって、それを覚えてる俺が何気に凄いな。
表向きは見目麗しい女性ばかりを標的にし、退っ引きならない悪戯――ゲフン。悪事を働いてはただ逃走――それの繰り返ししかしない阿呆ども。
実際、物取りや殺害などの凶悪な犯行及び被害なども一切挙がってはいない。人的被害も妙に生臭い謎の白濁液? そんな物をぶっかけられる程度に留まっているらしい。
何の為に集って、何を理由にそんなしょうもない悪戯――ゲフン。悪事を繰り返してるのかが俺にも全くわからない。
被害者らから衛兵や聖騎士団に苦情がいくつも挙がってると『くだらな過ぎて相手にする気にもならない。衛兵らに任せておけば良いのよ』とやる気のないフロウからそう聞いている。
実際、冒険者組合の方にも稀に捕縛依頼として挙がってはいるのだが、あまりにもしょうもない案件の為に依頼を受ける者らはまず居なかったりする。
そいつらと手を組んだ組織――と言うか。国家だな。
ドーコッカ領の魔法国家、ワッキーニ王が収める独自の魔法技術が前衛的とも革新的とも有名な大国家。
歴史的古代遺失物にも明るく、魔法が絡む道具が元より、精霊術式以外の魔術と呼べる技術の出所は大概ここと言って差し支えのないほど。
そんなしょうもない団と大国家が実は裏の奥底で繋がって、どえらいことを目論んでいたとは……誰も思いつきもしないだろうな。流石に俺も聞いてびっくり案件だ。
「ロゥ。単身で全部を滅ぼすくらいボクは強いとかなんとかと豪語してなかったか?」
長い舌を出したり引っ込めたりと呆れておく。
「なんだけどさ。シール団? あれの相手がなんか面倒くさくなっちゃって……ははは」
「左様ですか」
そんな悪事を働こうと画策する大馬鹿者の国には早々に見切りをつけて、遥々こちらへと投げて逃げて――ゲフン。流れてきたんだそうだ。
一応、世界の危機とかじゃないのか? 良いんかそんなで?
「で。俺らはトナリ街へ向かうんだが? 流石にドーコッカ領には行きたくないぞ?」
「あ、うん。トナリ街で良いよ。あそこでも悪さしてる馬鹿が居るから。と言うか、そっちをまず潰して欲しいから」
「簡単に言ってくれる……」「実際、君なら簡単でしょ?」
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そんな意味不明なことを口走った矢先、右目を眼帯ごと押さえ込んで悶え苦しみ、挙句にはひとりで騒ぎ立て始めるロゥ。
「はぁ……はぁ……」
息は荒げているものの、暫くして落ち着く。そして――。
「くっ……ドキ☆変態だらけの争奪戦。見たくもない兄貴のポロリもあるよ――あははっ! 昭和時代の初期が懐かしいキャッチフレーズみた――って、痛い、痛いって⁉︎」
俺の知るところでは全くないが、更に意味不明なことを口走り、再び右目を眼帯ごと押さえ込みつつ地面を転がり回る、と。
「リクジ? マローダー? なんだそれ? ショウワ時代? ロゼ、そんな時代なんてあったか?」
本来の立場上、ありとあらゆる知識に明るいロゼに一応聞いてみるも。
「私も初めて聞く単語だな……皆目見当もつかん。そんな時代があったなど、過去の文献にも記されてない。故に全く覚えがない」
肩を竦めてそう仰る……なるほど。ロゼにすらお手上げらしい。
「ロゥは頭が少し……時々あんな風になるんです。察してあげてご容赦下さい。どうか見て見ぬ振りで」
首を傾げて考え込む俺たちに、そう言って申し訳なさげに頭を下げてくるフランカ。
「い、痛い、痛いってっ⁉︎ え、抉らないでって~っ⁉︎」
ロゥは相変わらず意味不明にのたうち回る、と。
「……貴女も色々と大変だな」
ロゼは同情するかのような可哀想な者を見る生温かい目で、申し訳なさそうなフランカにそう静かに呟く。
「俺らんとこにも似たような暴虐無人に阿呆が居るからな。超絶に同意だ」
俺も長い舌を出したり引っ込めたりしつつ、遠い目をして同意しておいた。
ロゥから話しを聞いてみれば、全く要領を得ず。
挙句にはのたうち回りつつ自身の右目と喧嘩をおっ始めるわけで――って、お前は一体なんなんだよ?
そう言った経緯もあり、結局はフランカから残りの事情を詳しく聞く羽目となった――。
◇◇◇
「極悪非道の先代魔王のことはご存知でしょうか?」
血も涙もない極悪非道が枕詞、史上最悪の先代魔王――そう世間で認知はされている。
だがしかし。国家間の平和の為にそうなってるだけで、事実はそうでないと俺は知ってたりするんだが……言えないんだよなぁ。
「無論だ。寧ろ知らぬ者は居ないと思う。先代は既に勇者に倒されていて、今は新しい魔王に代替わりしてるのは周知の事実だからな」
既に倒されている――そう世間でも認知されて、ある意味では間違っちゃいなんだが。正しい意味ではそうじゃないんだなぁとも知ってたり。
「何故に今更そんなことを聞く?」
ロゼの疑問も当然だな。改めて問いかける必要もないくらい、誰でも知ってる周知の事実に間違いはない。語られる内容そのものは全部間違っちゃいるけどな。
「その魔王の残滓――血肉って厄介な代物が、この世に現存してることもご承知でしょうか?」
「なん……だと……」
さて。あり得ないことをほざきやがったな。
血肉など残るわけもない。何故なら――。
「奴は勇者一行との激戦の末、消耗したところで当時特等級だったナイース街に拠点を置く冒険者組合のアーネ統括が最終的にトドメを刺し、その最期は魔族領諸とも跡形もなく消滅した筈ではなかったのか?」
早口で捲し立てるロゼ。
そ。公にはそう言うことになってるからな、うん。
「その場所は今現在、名もなき荒野と化している。私自ら現地の至る所を検察したが、そんな物が残っていた形跡も痕跡もない。その後も報告すら一切上がっていない。私の耳に届いてないそんな眉唾物の情報、信じるに値しない。あり得ない」
まぁ、ロゼならばそう結論づけるのが普通だな。
今ではターコック領の重要人物であるロゼにすら、この本当の結末は知らないか……やれやれ。隠蔽工作が徹底してるな。流石だよアーネさん。
それにしても……ロゼともあろう者が矛盾に気づかないもんなのか?
トドメを刺したまでは普通にわかるが、消滅した手法も理由も曖昧にされてるんだぞ?
大体だな、そんな広域が消滅してしまう規模だったら、その場に居たアーネさんらも無事では済まんだろうが。綺麗さっぱり消滅してると思わん? もしか認識阻害の術式まで練り込んで隠蔽工作を施してんのかね?
まぁ魔法障壁とかを張って命辛々生き残ったとか、なんだかんだ後づけ言い訳はできるけどもさ。色々と詰めが甘いよな、うん。
「――だろうな」
だがしかし。あえて言及はせず、長い舌を出したり引っ込めたりと、何食わぬ顔で相槌を打つに留めておく。
皆の言う先代ってのは極悪非道で知れ渡っているが、俺の知る先代ってのはそうじゃない。
逆に忘れ形見たる娘らの安寧の為にと自ら汚名を被り、潔く犠牲となった悲しくも男前の魔王なのにな。
汚名を被る原因と言うか元凶は、良くある阿呆な同胞の暴走だし。それが元で大規模な戦乱の世になったが本当の歴史で正しい理由なんだがな。
今語られる内容は、単に辻褄合わせで捏造された世間一般に蔓延する偽りの魔王――必要悪とする虚構の魔王となる。
事実は当時幼くも死力を尽くして戦った勇敢な幼児に未来を託し、自らの持てる力を全てを譲渡。そして世界を大混乱から救った英雄的魔族なんだから、うん。
相対する幼児が全てを受け入れた時点で、先代魔王の肉体から精神、内包する力に至るその全てがひとつに融合されてるし、証拠隠滅みたいに一掃する意味で、一部を除いて周囲を跡形も残さない荒野に変えたんだからな。
だからあり得ないんだよ。血肉なんてもんが残る筈は。
「あれは使い方によっては、たったひとつで世界が滅ぶ、欠片だけでも実に危険な物なのです」
「なん……だと……」
だがしかし。ない物が実際にあると仰る。
「それを媒体に魔王復活を目論むどころか、力の一端をその身に宿し、己が魔王になろうと目論む不貞の輩――」
「その弩級の阿呆ってのが、ワッキーニ王なんだけどさ? こっちに蔓延るシール団? そんなを使って色々悪さしてるっぽいんだよねぇ」
フランカが語る横から復活したロゥが口を挟む。相変わらず右目を眼帯ごと押さえて。
「なるほど、それでジーコック領か。そして大元の根っこが魔法国家か」
と、言うことは。創造――作り出した可能性も浮上するな。
「ややこしいのは別の勢力も動いててね? 権力の為に躍起になって集めてるお馬鹿な連中に加えて、単に掠め取って儲けようと言う大概なお馬鹿、更にはその魔王の残滓から新たな神を創造しちゃおうなんて考えた、究極お馬鹿なカルト集団までがひしめき合ってるんだよ」
は? 第三勢力まで居やがんのか。存外にも面倒くさい案件になるぞ、これ。
ここジーコック領ナイース街に蔓延る謎の集団――否。団と言うには些か不適切か。愉快犯の集まりだな。
しょうもない悪事――ですらないか。最早どう見ても単なる悪戯ばかりを働く阿呆ども。
シール団なるケッタイな連中がそれだ。
妙な派閥もあり『友』と『遊』に別れてんだったか。それらとは別の『陰』ってのもあったか?
そんなしょうもない連中に派閥があって、それを覚えてる俺が何気に凄いな。
表向きは見目麗しい女性ばかりを標的にし、退っ引きならない悪戯――ゲフン。悪事を働いてはただ逃走――それの繰り返ししかしない阿呆ども。
実際、物取りや殺害などの凶悪な犯行及び被害なども一切挙がってはいない。人的被害も妙に生臭い謎の白濁液? そんな物をぶっかけられる程度に留まっているらしい。
何の為に集って、何を理由にそんなしょうもない悪戯――ゲフン。悪事を繰り返してるのかが俺にも全くわからない。
被害者らから衛兵や聖騎士団に苦情がいくつも挙がってると『くだらな過ぎて相手にする気にもならない。衛兵らに任せておけば良いのよ』とやる気のないフロウからそう聞いている。
実際、冒険者組合の方にも稀に捕縛依頼として挙がってはいるのだが、あまりにもしょうもない案件の為に依頼を受ける者らはまず居なかったりする。
そいつらと手を組んだ組織――と言うか。国家だな。
ドーコッカ領の魔法国家、ワッキーニ王が収める独自の魔法技術が前衛的とも革新的とも有名な大国家。
歴史的古代遺失物にも明るく、魔法が絡む道具が元より、精霊術式以外の魔術と呼べる技術の出所は大概ここと言って差し支えのないほど。
そんなしょうもない団と大国家が実は裏の奥底で繋がって、どえらいことを目論んでいたとは……誰も思いつきもしないだろうな。流石に俺も聞いてびっくり案件だ。
「ロゥ。単身で全部を滅ぼすくらいボクは強いとかなんとかと豪語してなかったか?」
長い舌を出したり引っ込めたりと呆れておく。
「なんだけどさ。シール団? あれの相手がなんか面倒くさくなっちゃって……ははは」
「左様ですか」
そんな悪事を働こうと画策する大馬鹿者の国には早々に見切りをつけて、遥々こちらへと投げて逃げて――ゲフン。流れてきたんだそうだ。
一応、世界の危機とかじゃないのか? 良いんかそんなで?
「で。俺らはトナリ街へ向かうんだが? 流石にドーコッカ領には行きたくないぞ?」
「あ、うん。トナリ街で良いよ。あそこでも悪さしてる馬鹿が居るから。と言うか、そっちをまず潰して欲しいから」
「簡単に言ってくれる……」「実際、君なら簡単でしょ?」
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