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第肆章 終りゆく、日常――メフィスト編。
佰肆拾参話 夢現。
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その一方で、そんな双子組の信頼、移動砲台組の心配、大好達の必死の抵抗などを余所に、俺は今、と~っても大変な事態に陥っていたり――。
「ん……何ぞ?」
見渡す限りの黒い空間が延々と続く、言い換えると闇に等しく、深淵の底のような場所。
生活騒音すら全く聴こえてこない、文字通りの静寂が辺りを支配する――そんな場所に俺は今現在、在るみたいなのだ。
そんなケッタイな所で俺がナニをしてるかと言うと、俺と言う個体がユラユラと揺蕩っている感じなのな。
見ようとして目を凝らすも、実際は自分の姿すら見えていない状態で、声を出しているつもりだが、反響は疎か耳に届きすらしないのだ。
更に言うと、上か下か、右か左か、何処に身体が向いているのかすらも全く解らない。
正しくは、解らないと感じているのかすら、定かではないのだ。
なんと言うか……。
五感で感じる、身体で感じると言う感覚では、絶対、有り得ない感覚。
そんな解り易い感覚何ぞ、一切ない状況か状態に置かれているっぽいのだ。
意識だけ切り取られ、俺と言う個体を第三者の感覚で漠然と認識してる状態?
ファンタジーな感覚と言うよりは、最早ホラーなんだよ……。
幸い思考だけはできるので、困惑しつつも必死に電波脳をフル回転して考えを巡らせる。
だがしかし。
答えが導き出される筈もなく――。
「やめやめ、考えても無駄なことはいくら考えても無駄ってな」
口癖のようにいつも言っている持論を元に、いつか来るであろう転機の時をひたすら待つことにした。
深淵の底のように真っ暗な場所で、ナニも感じず、どのくらい揺蕩っていたのか、正直、解らない。
しかし、転機は唐突にやって来た。
なんの前触れもなく――。
意識だけで漠然と認識していたと思しき俺が、急に身体と接続した感じに襲われたのだ。
つまり、五感が戻ったのだよ。
更に言うと、深い眠りからいきなり目覚めさせられた感覚に等しい――。
「うっ――何ぞ、此処は?」
そんな俺が目にしているモノ……違うな。風景とでも言えば合ってるのか。
何処ぞの日本家屋から切り取ったかのような、純和室で畳敷きの一室。
ご丁寧に白いちゃぶ台と座布団までも用意されてな?
そんな場所に俺は独り、用意された座布団にポツリと正座して座っている?
否、座らせられている?
――って、この状況、ナニ?
意味不明過ぎてヘソで茶が沸かせるぞ?
「畳敷きの和室にちゃぶ台、更に座布団ときたか。昭和時代が懐かしい一室だよな。心が和むって言う点では……まぁ、良しとしておこう」
正座して座っていた……違うな。やっぱり座らせられていた姿勢が正しいか。
脚を胡座に組み替えて、ちゃぶ台に両肘を突いて顎下で組む。
有名な某汎用人型決戦兵器が登場するアニメの某司令官が、劇中の其処彼処でやっていた某姿勢だな、うん。
「――死んでいる訳ではない。よな?」
口調も真似して、不適切な笑顔で伊達眼鏡キラッ! で宣ってみる。
「さて、ノーリアクションっつーのが辛いが、壁も窓も一切なく、大空に揺蕩ってる和室って、ナニ? そこで暢気にモノ真似何ぞして寛いでいる時点で、俺も大概おかしいけどもさ……」
そう。俺が居るらしい和室は有り得ないことに、大空のような空間のど真ん中に浮いて、あろうことか揺蕩っていたのだ!
冷静に考えれば考えるほど、更に混沌としていく――。
「これで和風のタンスにパルス式の固定電話何ぞが設置されてよーもんなら、俺的聖典の一つ、何処ぞの世界はスマホと共にっつー創作モノのパクリぢゃねーか。俺ってば、神さまの手違いで死んだ何処ぞの高校生ですかってのっ! 見た目は青年だが中身はおやぢだっつーの!」
細かい部分は微妙に違うのだが、そのアニメのような、誰も居ない妙な一室で、誰に言うわけでもなく、ひと通りツッコミで宣ったりしてみた。
当然、何ぞな反応が返ってくる筈もなく――。
辺り一面に拡がる青空――見渡す限り雲一つない碧い空が、この一室の周りに出現している。
南国特有の暑い日差しが照りつけるほどで――。
喩えるなら、空飛ぶ円盤……違うな。空飛ぶ和室、空中浮遊和室に等しい。つーかそのまんまなんだけども。
「あ~もう! 一体全体、ここ何処だよ! 状況が全く理解できんっつーの!」
湿気を帯びた気持ちの悪い空気が俺を包み、ベタベタする肌触りの悪い生暖かい微風が、頬をぬっちゃっとしっかり撫でる。
ちゃぶ台の上に乗っかる湯呑みからは、クソ暑い環境なのに、熱湯かよ! と思うほどの湯気が立ち上がる。
更に湯飲みに注がれた青汁のくっさい香りが何ぞな嫌がらせかと思うほど、俺の鼻腔を刺激しまくりやがる――。
「――このリアルさ。絶対、夢や幻の類いではないな? そもそも現実世界な筈だし。とは言え、かなり怪しくなってはきてるけども」
そう。紛れもなく現実であると疑う余地もないほどには、身を置く環境が俺の五感を刺激して主張しているのだから。
「突っ込んでたらキリがねぇのな。やっぱり、考えても無駄なことはいくら考えても無駄だ。疑問に思ったら負けだよ」
異質極まりない妙な場所で、更に意味不明なオプションまでご丁寧に用意されている状況だと言うのに、例の台詞を宣いつつ全く動じない俺だったり。
―――――――――― つづく。
「ん……何ぞ?」
見渡す限りの黒い空間が延々と続く、言い換えると闇に等しく、深淵の底のような場所。
生活騒音すら全く聴こえてこない、文字通りの静寂が辺りを支配する――そんな場所に俺は今現在、在るみたいなのだ。
そんなケッタイな所で俺がナニをしてるかと言うと、俺と言う個体がユラユラと揺蕩っている感じなのな。
見ようとして目を凝らすも、実際は自分の姿すら見えていない状態で、声を出しているつもりだが、反響は疎か耳に届きすらしないのだ。
更に言うと、上か下か、右か左か、何処に身体が向いているのかすらも全く解らない。
正しくは、解らないと感じているのかすら、定かではないのだ。
なんと言うか……。
五感で感じる、身体で感じると言う感覚では、絶対、有り得ない感覚。
そんな解り易い感覚何ぞ、一切ない状況か状態に置かれているっぽいのだ。
意識だけ切り取られ、俺と言う個体を第三者の感覚で漠然と認識してる状態?
ファンタジーな感覚と言うよりは、最早ホラーなんだよ……。
幸い思考だけはできるので、困惑しつつも必死に電波脳をフル回転して考えを巡らせる。
だがしかし。
答えが導き出される筈もなく――。
「やめやめ、考えても無駄なことはいくら考えても無駄ってな」
口癖のようにいつも言っている持論を元に、いつか来るであろう転機の時をひたすら待つことにした。
深淵の底のように真っ暗な場所で、ナニも感じず、どのくらい揺蕩っていたのか、正直、解らない。
しかし、転機は唐突にやって来た。
なんの前触れもなく――。
意識だけで漠然と認識していたと思しき俺が、急に身体と接続した感じに襲われたのだ。
つまり、五感が戻ったのだよ。
更に言うと、深い眠りからいきなり目覚めさせられた感覚に等しい――。
「うっ――何ぞ、此処は?」
そんな俺が目にしているモノ……違うな。風景とでも言えば合ってるのか。
何処ぞの日本家屋から切り取ったかのような、純和室で畳敷きの一室。
ご丁寧に白いちゃぶ台と座布団までも用意されてな?
そんな場所に俺は独り、用意された座布団にポツリと正座して座っている?
否、座らせられている?
――って、この状況、ナニ?
意味不明過ぎてヘソで茶が沸かせるぞ?
「畳敷きの和室にちゃぶ台、更に座布団ときたか。昭和時代が懐かしい一室だよな。心が和むって言う点では……まぁ、良しとしておこう」
正座して座っていた……違うな。やっぱり座らせられていた姿勢が正しいか。
脚を胡座に組み替えて、ちゃぶ台に両肘を突いて顎下で組む。
有名な某汎用人型決戦兵器が登場するアニメの某司令官が、劇中の其処彼処でやっていた某姿勢だな、うん。
「――死んでいる訳ではない。よな?」
口調も真似して、不適切な笑顔で伊達眼鏡キラッ! で宣ってみる。
「さて、ノーリアクションっつーのが辛いが、壁も窓も一切なく、大空に揺蕩ってる和室って、ナニ? そこで暢気にモノ真似何ぞして寛いでいる時点で、俺も大概おかしいけどもさ……」
そう。俺が居るらしい和室は有り得ないことに、大空のような空間のど真ん中に浮いて、あろうことか揺蕩っていたのだ!
冷静に考えれば考えるほど、更に混沌としていく――。
「これで和風のタンスにパルス式の固定電話何ぞが設置されてよーもんなら、俺的聖典の一つ、何処ぞの世界はスマホと共にっつー創作モノのパクリぢゃねーか。俺ってば、神さまの手違いで死んだ何処ぞの高校生ですかってのっ! 見た目は青年だが中身はおやぢだっつーの!」
細かい部分は微妙に違うのだが、そのアニメのような、誰も居ない妙な一室で、誰に言うわけでもなく、ひと通りツッコミで宣ったりしてみた。
当然、何ぞな反応が返ってくる筈もなく――。
辺り一面に拡がる青空――見渡す限り雲一つない碧い空が、この一室の周りに出現している。
南国特有の暑い日差しが照りつけるほどで――。
喩えるなら、空飛ぶ円盤……違うな。空飛ぶ和室、空中浮遊和室に等しい。つーかそのまんまなんだけども。
「あ~もう! 一体全体、ここ何処だよ! 状況が全く理解できんっつーの!」
湿気を帯びた気持ちの悪い空気が俺を包み、ベタベタする肌触りの悪い生暖かい微風が、頬をぬっちゃっとしっかり撫でる。
ちゃぶ台の上に乗っかる湯呑みからは、クソ暑い環境なのに、熱湯かよ! と思うほどの湯気が立ち上がる。
更に湯飲みに注がれた青汁のくっさい香りが何ぞな嫌がらせかと思うほど、俺の鼻腔を刺激しまくりやがる――。
「――このリアルさ。絶対、夢や幻の類いではないな? そもそも現実世界な筈だし。とは言え、かなり怪しくなってはきてるけども」
そう。紛れもなく現実であると疑う余地もないほどには、身を置く環境が俺の五感を刺激して主張しているのだから。
「突っ込んでたらキリがねぇのな。やっぱり、考えても無駄なことはいくら考えても無駄だ。疑問に思ったら負けだよ」
異質極まりない妙な場所で、更に意味不明なオプションまでご丁寧に用意されている状況だと言うのに、例の台詞を宣いつつ全く動じない俺だったり。
―――――――――― つづく。
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