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第参章 失いゆく、日常――秘密の花園編。
佰拾参話 義妹、其の弐。
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「一応、確認するが……上が緊急事態になってるってのは知ってるよな?」
「当然なのよ? ……でも……ここからは離れられないのよ?」
「なして? エレベーターっぽいアレの所為か?」
質問する俺を見ずに俯いて、妙に歯切れ悪く受け答えをするアリサ。
何ぞ隠してるっぽい時に良くやる仕草だ。
「まぁいい。聴きたいことも山程あるが、とりまここは安全っぽいのか?」
「よっぽどでなければ……大丈夫な筈なのよ?」
「なら、落ち着いて話せる場所に連れて行ってくれ。クモヨもそうだが、あそこで笑い転げてる双子も見た目以上に疲れてる筈だ。最妃も怪我をしているし、少し休ませてやりたいんでな?」
「――えっ⁉︎ 大丈夫なのよ⁉︎ それを早く言えなのよ?」
目を見開いて驚きの声をあげ、最妃の元へと一目散に駆け寄って行くアリサ。
怪我を隠す意味でも何ぞ羽織らせてたからな……言わんと気付かんか。
「ハッ……」「フッ……」
アリサと入れ替わるように、従僕二匹が俺の目の前にやって来る。
そして正しいお座りで待機した。
本気モードではない、普段通りの状態でも珍しく大人しい二匹。
「お前ら、なしてアリサと一緒にた? ――って、ヒトの言葉が喋れんお前らに聴いても結局は解らんか……。とにかくだ、急に居なくなるのは金輪際しないでくれ。ケルじゃあるまいし。……まぁ、無事で良かったよ」
俺は二匹の前に蹲み込んで頭を撫でたあと、首根っこを掴まえてガッツリ抱き寄せた。
「ハッハ……」「フフン……」
本気で心配してたのが伝わったのか、ベロは暴れず大人しく、珍しくスゥも嫌がらなかった。
それどころか逆に心配掛けてごめんなさいと言わんばかりに、俺に身体を預け擦り寄ってくる始末。
「あー! パパ、ずっるーい! アイも抱っこする!」
ワンコ?大好きアイが、そんな俺にナニやら憤慨なさっておいでだ
「ヘイヘイ。だとよ? アイの相手してやってくれ。……結構、心配してたぞ?」
二匹の頭を撫でながら、アイのことを頼む俺。
「ハッハ!」「フ、フフーン」
当然とばかりに鼻を鳴らして、アイの元へと走っていくベロに、フゥと溜息混じりにゆっくりとベロのあとに続くスゥだった。
「相変わらずの謎生物でナニよりだ。さてと……」
振り返ってアリサと最妃の様子を見やると、何ぞギャーギャー喚くアリサを和やかな笑顔で往なす最妃が目に入る。
実の姉っつーかさ、最早、お母さんと娘だよな……。
「アリサ。住居の方に行かんか? 忘れがちだからもっかい言うがな、施設は今、危機的状況なんだぞ?」
「――OK、解ってるのよ? ついて来るのよ?」
最妃に戯れついて喚いていたアリサ。
表情を引き締め返事をすると、最妃を連れ立ってレンガ通りを奥に進みだした。
その際、首から下げられていたコスプレのペンダント――ソウルジェムってヤツな?――を掴み上げ、頭上に翳した。
すると――。
左右に有象無象に植えられている食虫植物っぽい何ぞは、蔓を引っ込めてアリサの邪魔にならないように再び道を開けていくのだった。
アレって単なる飾りじゃねーっぽいのな?
原理は知らんが……どうでも良いか、うん。
機能の講釈が始まるとクソ長いからな……。
あえてスルーしておこう。
「ほれ、移動すんぞ。アリサから離れると蔓に巻かれるぞ、多分」
「り、りょ!」「は、はーい」
大慌てでアリサと最妃の後ろに駆け寄る未来とアイ。
「ハッ!」「フン!」
ベロとスゥは、まるで散歩のように仲良く並んでアリサに続いた。
「ワタシモ……」「チュイン!」
頭にリペアを載っけて、未来達のあとに続くクモヨ。
「全く……俺家族ってヤツは、相変わらずマイペースで危機感ナッシングだよな」
最後に愚痴りながらの俺が、皆のあとに続いた――。
―――――――――― つづく。
「当然なのよ? ……でも……ここからは離れられないのよ?」
「なして? エレベーターっぽいアレの所為か?」
質問する俺を見ずに俯いて、妙に歯切れ悪く受け答えをするアリサ。
何ぞ隠してるっぽい時に良くやる仕草だ。
「まぁいい。聴きたいことも山程あるが、とりまここは安全っぽいのか?」
「よっぽどでなければ……大丈夫な筈なのよ?」
「なら、落ち着いて話せる場所に連れて行ってくれ。クモヨもそうだが、あそこで笑い転げてる双子も見た目以上に疲れてる筈だ。最妃も怪我をしているし、少し休ませてやりたいんでな?」
「――えっ⁉︎ 大丈夫なのよ⁉︎ それを早く言えなのよ?」
目を見開いて驚きの声をあげ、最妃の元へと一目散に駆け寄って行くアリサ。
怪我を隠す意味でも何ぞ羽織らせてたからな……言わんと気付かんか。
「ハッ……」「フッ……」
アリサと入れ替わるように、従僕二匹が俺の目の前にやって来る。
そして正しいお座りで待機した。
本気モードではない、普段通りの状態でも珍しく大人しい二匹。
「お前ら、なしてアリサと一緒にた? ――って、ヒトの言葉が喋れんお前らに聴いても結局は解らんか……。とにかくだ、急に居なくなるのは金輪際しないでくれ。ケルじゃあるまいし。……まぁ、無事で良かったよ」
俺は二匹の前に蹲み込んで頭を撫でたあと、首根っこを掴まえてガッツリ抱き寄せた。
「ハッハ……」「フフン……」
本気で心配してたのが伝わったのか、ベロは暴れず大人しく、珍しくスゥも嫌がらなかった。
それどころか逆に心配掛けてごめんなさいと言わんばかりに、俺に身体を預け擦り寄ってくる始末。
「あー! パパ、ずっるーい! アイも抱っこする!」
ワンコ?大好きアイが、そんな俺にナニやら憤慨なさっておいでだ
「ヘイヘイ。だとよ? アイの相手してやってくれ。……結構、心配してたぞ?」
二匹の頭を撫でながら、アイのことを頼む俺。
「ハッハ!」「フ、フフーン」
当然とばかりに鼻を鳴らして、アイの元へと走っていくベロに、フゥと溜息混じりにゆっくりとベロのあとに続くスゥだった。
「相変わらずの謎生物でナニよりだ。さてと……」
振り返ってアリサと最妃の様子を見やると、何ぞギャーギャー喚くアリサを和やかな笑顔で往なす最妃が目に入る。
実の姉っつーかさ、最早、お母さんと娘だよな……。
「アリサ。住居の方に行かんか? 忘れがちだからもっかい言うがな、施設は今、危機的状況なんだぞ?」
「――OK、解ってるのよ? ついて来るのよ?」
最妃に戯れついて喚いていたアリサ。
表情を引き締め返事をすると、最妃を連れ立ってレンガ通りを奥に進みだした。
その際、首から下げられていたコスプレのペンダント――ソウルジェムってヤツな?――を掴み上げ、頭上に翳した。
すると――。
左右に有象無象に植えられている食虫植物っぽい何ぞは、蔓を引っ込めてアリサの邪魔にならないように再び道を開けていくのだった。
アレって単なる飾りじゃねーっぽいのな?
原理は知らんが……どうでも良いか、うん。
機能の講釈が始まるとクソ長いからな……。
あえてスルーしておこう。
「ほれ、移動すんぞ。アリサから離れると蔓に巻かれるぞ、多分」
「り、りょ!」「は、はーい」
大慌てでアリサと最妃の後ろに駆け寄る未来とアイ。
「ハッ!」「フン!」
ベロとスゥは、まるで散歩のように仲良く並んでアリサに続いた。
「ワタシモ……」「チュイン!」
頭にリペアを載っけて、未来達のあとに続くクモヨ。
「全く……俺家族ってヤツは、相変わらずマイペースで危機感ナッシングだよな」
最後に愚痴りながらの俺が、皆のあとに続いた――。
―――――――――― つづく。
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