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第参章 失いゆく、日常――秘密の花園編。

陸拾捌話 閑話――夫婦の秘事。

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 未来とアイはアリサ的痛ホラーハウスで、お泊まりの真っ最中であった――。


 やはり二人は女の子。
 知らない家で夜中に徘徊するのは超怖い。


 なので二人揃ってトイレに行くことにしたのだ。

「雰囲気あるよね……お姉ちゃん」

「アイ? ボクからすれば、ヒトでないアイの方が怖い」

「酷っ⁉︎ お姉ちゃん、酷っ⁉︎」

「あははは。冗談だって」


 静か過ぎて不気味なので、態と賑やかに振舞う二人。
 そんな漫才を繰り広げ気を紛らわせ、廊下を過ぎたキッチンの辺りにやってくる。


 その時だった――。


「うへ⁉︎」「――ナニ⁉︎」

 妙な声が、二人の耳に響いてきた――。


「おおおお、お姉ちゃん、出た⁉︎ もしかして、出た⁉︎」

 未来の腕を掴みアイは辺りを見回すも、ナニも見えず、ナニも居ない。

「でででで、出たって、ナニ⁉︎」

 未来にしてもアイに引っ付き、油断なく周囲を観察する。


 二人して怯えていても埒が明かないので、気を落ち着かせ、声の出所を聴き耳を立てて探る二人。


 どうやら二階から聴こえてくるようだった。


 自分達の部屋の近くから声がする?


「もももも、もしも本気のお化けさんだったら……アイは無理」

「ばばばば、馬鹿ね! いいいい、居るわけないじゃん⁉︎」


 恐る恐る階段を登って耳を澄ますと――、


「最妃ー、最妃ー、俺、も、もう!」

「彼方、彼方、あー良くって、素敵ですわ」

「駄目だもう持たない! 良いよな、最妃」

「彼方! もう少し! が、我慢なさって!」

「ああー最妃、ああー最妃、ああー」

「もう! しょうのないヒトね、ん~~」

「ん~~。もう一度だ! 寝かせてやらん!」

「ええ、良くってよ、存分に!」

「良し、いくぞ! オラオラ、あ、あー」

「彼方、凄い! 素敵ですわ! あー、彼方」


 と、言ったお馴染みの声で、通り掛かったパパとママの寝室から、怪しい叫び声が聴こえてくるのだった――。


「「――は⁉︎」」

 未来やアイから見ても、勿論、客観的に見ても、異常なくらい仲の良い夫婦なのだ。


 大体、ヤってることには想像はつく。


「脅かさないでっつーの……」

「えっと……これって、やっぱりアレかな?」

「夫婦なんだし……つっても声デカ過ぎ……」

「あはは……」


 プレイの邪魔をしても悪いので、素通りしようと思っていたら、寝室のドアがほんのちょっぴり開いていた――。


 まるで、覗いてくれと言わんばかりに――。


「ドアくらいちゃんと閉めてからヤってよね……年頃の娘も居るんだしさ……でも」

「でも? あー、もしかしてお姉ちゃん……いけないんだ、いけないんだ、悪い子だ」

 
 とかなんとか照れながらも、つい、気になってしまった二人。


「これは覗けってことなのね。そう天にまします神っぽいナニかからの崇高な啓示なのよ、アイ!」

「それはない……けど、アイは大人の世界を知る!」

 神ならぬ魔がさしたと言うか……そ~っとドアの隙間から、夫婦の秘め事を覗き見てしまうのだった――。


 そして知る――驚愕の事実。


「え!? 嘘っ!? あんなの……ボクは知らないよ」

「ゴクリ。凄い……あんな……コトまで……」


 未来とアイは息を呑んで暫し見やった。


 初めて見てしまった夫婦の秘事。
 それは想像を絶するとんでもない世界。


 所謂、終わりのこないハメハメプレイ。


 仲の良い夫婦が旅行先の寝室で、ハメを外してめっさハメまくって堪能していたところだった――。




 モ◯ハンをやってやがった。
 必死になって。




 ハメはハメでもいやらしい意味でのハメ出でなく、二人の連携は、所謂、ハメ技だったのだ!


 パパは火事場発動のタメ斬り連発。
 ママは閃光玉と罠のコンボで状態異常付与。

 だが、一歩間違えば、即乙の妙技である!
 それを何度も何度も練習してるようだった。

「紛らわしい声で遊ぶなっつーの! 夫婦の秘事ね……しょーもなさ過ぎて草生やすわよ、全く」

「激しいとか、次々とか、しつこいよか、構ってとか。そーゆー意味で言ってたんだ……ママがあっけらかんと言える意味が解った」


 呆れてとっとトイレを済まし寝ることにした、仲良し姉妹の未来とアイであった――。


 ちなみに。


 エロく聴こえたのは、自分がパパのエロゲーばかり遊んでエロいからだと、こっそり自分を戒める未来だったり――。



 ―――――――――― 
 閑話、おわり。本編は、つづく。
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