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第弐章 壊れゆく、日常――デパート編。

参拾壱話 異変、其の弐。

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 電脳歌姫のノリの良い曲をBGMに、軽快に走る。

 拗ねていた未来も、移り変わる景色に絆され、アイと仲良くあーでもないこーでもないと、賑やかにと言うか……めっさ喧しく騒いでいる。

 最妃も家族で久々のお出掛けにご満悦らしく、終始、和やかな笑顔で流れる景色を眺めていた。

 途中、道の駅に立ち寄って一服。
 トイレなどを済ませて、再び目的地へと向かう。

 休憩時は絶世の美女と双子の美少女を伴って、アニメのレプリカに乗る俺は晒しモノだった。
 興味本意な視線と妬みの眼差し向けられたわ。


 ◇◇◇


「なんぢゃこりゃ~! まぢ、デカっ!」

 そんなこんなで、デパートの駐車場へと乗り付ける。
 つい最近に出来たばかりなので、流石に混んでいた。

「パパー、映画館まであるよ!」

「わーい♪ 美味しいご飯~」

 車から降りると、手を繋いでルンルンに、一目散にエントランスに向かう俺娘双子組。

「あらあら」

 最妃は優雅に降り立つとデパートを見上げたあと、俺に寄り添い腕を静かに組んできた。


 腕が埋まる俺的超お至宝な双丘に心踊ります。


「最妃、今日は主賓だからな? 羽根を伸ばせよ」

「既に満足ですわよ。彼方と一緒ですもの」

「さよか」

「彼方、満喫して参りますわよ」

 余りに身近な存在過ぎて忘れがちなのだが、貴婦人のような縦ロールな最妃は超目立つ。

 立ち振る舞いも優雅で、何処ぞの有名女優も真っ青だからな。
 単にそこに居るだけでも、存在感が半端ない。
 お陰で羨望の眼差しが凄いのなんの。


 そんな最妃を俺専用で独り占めだぜっ!
 俺、ちょっとハイテンション過ぎてあかん奴化。


「ママー! 何処から巡る? 服屋とか小物屋?」

「ママの好きなところからで! ご飯とか観覧車?」

「コラー! 双子組、ユニゾンも大概にしとけ!」

「彼方は? 私は何処へでもお供しますわよ?」

「主賓はお・ま・え・だ! 偶にはな、我儘を言えっつーの!」

 最妃の額には超軽い形だけのデコピンを、双子組にはめっさ強烈なデコピンを喰らわす。

「「むー!」」

「あらあら~。私も怒られてしまいましたわ」

 額を抑えて涙目で俺に抗議するお子様双子組に、口に手を当てオホホと笑う無邪気な最妃。


 あゝ……俺、今まぢに死んでも良いかもだ、うん。


 家族を伴ってエントランスを潜り中に入ると、時季的にハロウィンの催し物が開催されていた。

 コスプレした兎と熊の着ぐるみが粗品何ぞを配り、魔女っ子衣装のスタイル抜群なお姉さん達が、マイクパフォーマンスを披露していたりと、関連グッズの販売などなど、盛り沢山な内容だった。

「うはっ! 凄っ!」

「兎さんも熊さんも可愛い♪」

「あらあら。でしたら着ぐるみさんにお写真をお願いしてみましょう」

 側にいたスタッフの一人に、斗家の面々と一緒に記念撮影の許可を申し出ると、快諾して頂けた。

 兎と熊の着ぐるみを間に挟んだ双子組に加えて、魔女っ子お姉さん達と最妃で豪華絢爛である。

「「ありがとうございましたー♪」」

「はい、皆様ごゆっくりお楽しみ下さいね♪」

 魔女っ子お姉さん達は、営業スマイルでお菓子を手渡し、手を振りながら仕事に戻る。

「皆んな一緒なんて久しぶりだよね~、ママ!」

「アイは写真は初めてで。凄いっ嬉し~い♪」

 双子組は相変わらずのテンションで賑やか。
 貰ったペロペロキャンディを振り回し、大喜び。
 最早、大概な小学生以下のおガキ共と化した双子組。


 そこらの小学生なおガキ様に混ざっても違和感なさ過ぎてホラーだよ。
 頭ん中まで退化してんじゃねーのか?


「良かったですわね。私もとても愉しくてよ」

 惚れ直すほどに超素敵な笑顔でご満悦の最妃は、俺と指と指を絡める、所謂、恋人繋ぎにして、更にそっと腕に寄り添ってくる。


 いやはや、連れて来て良かった!
 俺嫁、まぢ最高っ!


「しかし――皆、良い歳な筈なんだが……」

 何故だろう……。
 俺だけが浮いてる気がしてならない。


 ◇◇◇


 そのあと斗家の面々は、店内の色々なお店などを巡り歩いていった――。


 女性受けする雑貨店や服飾店など沢山あって、双子組は当然、最妃まで一緒になって大騒ぎ。
 終始ご満悦の笑顔で、無邪気に満喫していた。


 俺受けする何ぞ濃い店まであったのには驚いたが。


 そして――直ぐに手荷物一杯になってしまう斗家美女軍。


「あのな~、買い過ぎだろ?」

「うーん、ボクには否定できない……」

「わーい♪ 可愛いお洋服もお菓子も沢山です~♪」

「私もつい……申し訳御座いませんわ、彼方」

 はしゃぎ過ぎの斗家の面々に、荷物持ちの俺はちょっと呆れて軽く叱咤しておく。


 のっけからこのペースで、まぢ大丈夫なんか?


 お昼ご飯を摂る為、六階にあるレストラン街に両手一杯の嵩張る荷物を持って、足を運ぶ俺達。


「う~ん、やっぱり遊び回るのに邪魔かもね? パパ、コインロッカーに預けて置こうよ!」

「未来お姉ちゃんの意見に賛成!」

「彼方に持たせてばかりでは、申し訳ないですし……」

「ぶっちゃけ助かるわ。そーしてくれ」

 未来の提案で直ぐ近くにあったコインロッカーに、その嵩張る手荷物等を預けておくことにした――。



 ―――――――――― つづく。

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