上 下
27 / 154
第壱章 崩れゆく、日常――遭遇編。

弐拾漆話 休息、其の弐。

しおりを挟む
 そんな俺義妹のお陰で、解ったことも少しある――。

 まず、元は俺的素敵サイクルだったアイシャ。


 ヒトと同じ構造で構成要素も似通っていたと言うこと。
 つまり、学術的なヒト科のそれに近い存在であると言う事だ。


 だがしかし――、


 それは、容姿を形取る外被のみ。
 中身はオーバーテクノロジーの産物らしい。
 俺義妹いわく、ぶっちゃけお手上げなんだそうだ。

 ヒトと同じ役割りを果たす臓器的な何ぞも、それなりにちゃんと存在し、メカっぽい何ぞ、得体の知れない謎の何ぞ、詳細不明なモノ何ぞが所狭しと沢山かつ山ほど詰まっているらしい。
 そう言えば、永久稼働できるようなことも吐かしてたわ。
 エネルギー精製自動構築永久機関内蔵とか、相当に意味不明なファンタジーだよな。

 これで液体金属構造で形態変化自由自在ときて、未来からタイムトラベルしてきた殺し屋とかなら、大ヒットしたアノ洋画だよ、全く……。

 結局、らしいとは推論。つまり不明と同義だよ。
 外側から調べただけでは、詳細は解らないんだそうだ。

 ヒィーマノイド、アンドロイド、ロボット、オートマタ等々。
 創作モノを含めても、そのいずれにも該当しない謎な人物? 物体? 物質? なんだそうだ。

 解剖? 分解? まぁ、そんな何ぞかなことをすれば、更に詳しく調べれるかもしれないと吐かし、着ている白衣の懐からメスを徐に取り出して、アイシャを追いかけ回していたりもしてたけどな?

 全ては完全にブラックボックス。
 中身を見たところで、無駄な足掻きだと俺は思うぞ。


 結論、人外である、以上だ。


 ちなみに俺はと言うと、ただのヒト科だった――書いて字の如く、単なるヒト。

 運動能力などは若返った分だけ少し上がった程度。
 チートとかには全く無縁だったわ。
 当然、素敵技能っぽい何ぞとかも全く持って無いときた。


 はっはっは……どーしよう、俺!?


 だがな? 俺は簡単に極一般的な普通の身体検査と健康診断のみだったんだよ!

 もっと詳しく調べてみたら何ぞあるかもと食い下がって、俺義妹に詰め寄ってみたが首を横に振るのみ。

 詳しい検査をしない理由を尋ねてみたら、おっさんはノーサンキューらしい。


 いつか泣かす、絶対に泣かす!


 次に、神秘の珠玉について。

 三つあった珠玉の内、紅い珠玉については、未来のアイアンキャンディに依然取り込まれた状態のまま。
 原理は不明なのだが、完全な同化と言って差し支えはない。

 俺が最妃にプレゼントした紫の珠玉は、俺的ペンダントとして、今も胸元で輝いている。
 四六時中、肌身離さず身につけていて、絶対に外さないときた。
 なので、必然的に俺が持つ珠玉の方で、詳細を調べることになったわけだ。

 結果は、俺が譲り受けた時と同様、抽象的な言い方で、生きている何ぞってことだけ。


 そのこと以外は全く解らない、不思議物質――それだけが解った。


 肝心なことはナニも得られず、謎だらけで進展無し。
 現代科学では解明不可。こちらもお手上げだそうだ。


 オーパーツ、ここに極まれりってな。


 最後は神に疑問符な謎の何ぞな存在、所謂、存在エックスについて。

 未来救出の際、移動している最中にアイシャから教えてもらったことと、俺と魂で繋がっているらしいこと以外はさっぱりだよ!

 ちなみに、邂逅時の記録を持つアイシャでも、漠然とそれがナニな何ぞとか把握しているだけで、説明ができないときたから意味不明だよな?

 どうも情報にプロテクトが掛かってるっぽい……ま、そこはお約束だな、うん。


 俺とは面識のない神の疑問符。
 なので、引き続き外宇宙知的生命体で仮定しておくことにする。

 意外に好いヤツなのかもとだけ付け加えて。


 長くなったがこんな所であったりする。


「ふぁ~、今日も平和ですな~、俺んだけは……」

 俺はあの日から書き留めている資料を閉じて、椅子の背もたれに身体を預けて、大きく背の伸びをした――。


 不意に俺部屋の窓から外を見やる。


 どうやら未来とアイシャと従僕三匹で、何ぞ楽しく遊んでいる模様。

 夏の空気は何処へやら。
 外は少し肌寒い秋の気候にすっかり移り変わっているのにな。

「元気な俺娘達だよ、全く。――そうか⁉︎ これが若さかっ!? ――違ぇよ!」

 考え過ぎて疲れてきた俺は、窓に近付いて煙草を一服。

 容姿が瓜二つの双子の義姉妹とフリスビーなワンコ?達にほっこりしつつ、ぼんやり眺めて煙草を燻らせる――。

 窓から入り込む涼しい微風が、なんとも気持ち良かった。

 そんな俺は、元気に窓の外で遊ぶ身体能力が高過ぎる俺娘らと従僕共を眺めてて不意に思う。


 え? これってフリスビーなん?


 そんな感じにホラーだったとだけ宣っておこうか……。

 煙草を吸い終えた俺は、窓を閉めてラボへと向かう。

 ここは俺が遣らかした玩具が色々と封印ないし、保管してある場所だったりする。

 実は色々実験したりしてたんだが、俺はあくまで普通のおやぢ……でもないけども。


 兵器開発何ぞ、できるわけがなかろうて。


 なので、使えそうな玩具を見繕って、対ノウ用に少しパワフルに調整し直している。

 俺が軍所縁の人とか特殊部隊の経験者なら、少しは良かったんだがな。
 早々、都合良くは行かなさね、うむ。


「ちょっとこの辺りも見ておくかな~っと」

 数時間くらいは篭る予定なので、俺はこの辺で。
 娘達の様子でも見てやってくれたまへ。

「こんなことあろうかと~、密かに保管していた~、よっこらせっ。真面に使えそうなのはねぇかな~」



 ―――――――――― つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

現実的理想彼女

kuro-yo
SF
恋人が欲しい男の話。 ※オチはありません。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

ドレスを着たら…

奈落
SF
TSFの短い話です

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

その幼女、巨乳につき。〜世界を震撼させるアブソリュートな双丘を身に宿す者――その名はナイチチ〜 ――はい? ∑(゚Д゚)

されど電波おやぢは妄想を騙る
ファンタジー
 たゆんたゆんでなく、ばいんばいんな七歳の幼女であるナイチチは、実はあらゆる意味で最強の盾を身に宿すシールダーだった。  愉快な仲間二人をお供に連れて訪れていた森の奥で、偶々、魔物に囲まれて瀕死に追い込まれていた、珍しい棒を必死に握り締め生死の境を息を荒げ堪えていた青年タダヒトの窮地を救うことになる――。

魔法少女ってマジカルなのか? ――で、俺、惨状? そんな俺は社畜ブサメン瓶底メガネキモオタク。愛と夢と希望をブチ壊し世界の危機に立ち向かう?

されど電波おやぢは妄想を騙る
SF
 極平凡で、ありふれた、良くある、日常の風景――。  朝起きて、準備して、仕事に出掛ける。  俺にしてもいつも通りで、他の誰とも何も変わらない――筈だった。    気付いた時には、既に手遅れだった。  運命の歯車が突如大きく、歪み、狂い、絡みあって――まるで破滅へと誘うかのように、今日、この日、たった今――目の前で動き出したのだ――。  そして俺は――戦うことを強いられる。  何故か――『魔法少女』として?  ※一部、改稿しました。

処理中です...