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Chapter.01
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とある中規模港湾に存在している埠頭に、多数のコンテナが集積されたヤードがあった。
積まれたコンテナを船に積み下ろしたりする、巨大なガントリークレーン等の施設が目立つ、そんな場所。
今は真夜中。
闇夜にも等しい暗闇が辺り一帯を支配し、細波の音だけが静かに響き渡る――。
その一角に、大凡、こんな時間でこんな場所に居るのがとても似つかわしくない、見目麗しい少女が一人。
まるで夢遊病のような千鳥足で、蹌踉めき彷徨っている――。
少女の見た目は十代前半、艶のある長く栗色の髪が水に濡れ、だらしなく顔を覆っていた。
髪の隙間から見せる整った童顔は、生気の欠けらもない視点の合っていない虚な目をしていた。
何処を見ているのかさえ定かではなく、可愛いらしい口元を力無く半開きにさせ、溢れた涎が顎を伝っていた。
上半身に着ている薄着のパジャマは乱れ、豊満な胸を惜しげもなく晒し、下半身は下着一枚。
裸足の足首までパジャマが下がり、地面を引き摺るように歩いている。
「こんな夜更けに、こんな所で何をしているんだ、あの子? あの格好は……」
「オレ達みたいな下衆に、いけない事でもされて壊れたんじゃねーの?」
「――へへ、そうかもな? だったらオレも御相伴に預かろうかね」
「ちげえねぇ、オレもスッキリするか」
抱いている疚しい感情を隠しもせず、下卑た薄ら笑いを携える作業員らしき二人は、その少女の行手を遮るように近付いていく。
目の前に二人が現れたと言うのに、全く意にも介さずに、意思も感じさせず、ひたすら蹌踉めきだって歩き続ける少女。
「へへ……やっぱり壊されてやがる。めっちゃ可愛いじゃねーの。柔らけぇし、良い匂いだぜ」
背後から少女に抱きつき、地面に組み伏せる男。
「さっさと戴いちまおうぜ。――うぉっ、タマンねぇ!」
目の前のあられもない姿の少女に容赦無く己の欲望を駆り立てられ、狂ったように貪る――。
作業員二人の思考は、既に真面に働いてはいなかった。
この異常な状況について、理性を持って深く考えなかった。
否、最早、考えられなかった――。
あどけない少女に、二人掛かりで辱める作業員が恍惚の表情で呻いた、その時だった――。
少女が最早、人為らざる者であると気付けなかった為に起こる――惨劇。
少女の目が血に飢えた野獣の如き眼光を放ち、真っ赤に染まる!
半開きで涎を垂らしていた口が大きく歪み、鋭い牙を剥く!
「――な、なに⁉︎」
変貌した少女に面食らい、真っ青になって咄嗟に飛び退いた瞬間――、
少女が作業員の首に、鋭く伸びた牙を突き立てたのだ!
「――がっ⁉︎」
引きちぎるように噛みちぎられ、何が起こったのか解らない表情のまま、地面に転がっていく作業員の頭!
残された胴体の首からは、大量の血を噴水の如く噴き上げ、少女を血塗れにする!
『――フヒッ』
嘲笑が聴こえてくるぐらい、悍しくも禍々しく薄ら笑う血塗れの少女。
肉がちぎれ骨が軋む鈍い音を立て、少女の首だけが真逆に回転し、背後の作業員を嘲笑った!
「ヒィ! な、な、化――」
失禁し情けない姿を晒したまま、悲鳴を上げた作業員!
腰が抜け狼狽し、震えたままに地面を後退る!
「化――け物……がっ――」
『――フヒッ――フヒッ』
少女の両腕が肉が裂けるように縦に割れ、まるで蚯蚓のような口となり、一瞬で腹に喰らい付いたのだった!
後退る作業員の腸を引き摺り出して、悍しい生き物のような触手となった少女の後ろ手に伸ばした腕が第二、第三の口となり臓物を生きたままに咀嚼する!
本来の口の方は、もう一人の作業員に喰らいつき、貪り喰っていた――。
月明かりに照らされた血塗れの少女は、独り闇夜に踊る――。
この静寂は自分のものだと誇示するかの如く、歪みきった笑顔を携えて――。
――――――――――
To be continue――
積まれたコンテナを船に積み下ろしたりする、巨大なガントリークレーン等の施設が目立つ、そんな場所。
今は真夜中。
闇夜にも等しい暗闇が辺り一帯を支配し、細波の音だけが静かに響き渡る――。
その一角に、大凡、こんな時間でこんな場所に居るのがとても似つかわしくない、見目麗しい少女が一人。
まるで夢遊病のような千鳥足で、蹌踉めき彷徨っている――。
少女の見た目は十代前半、艶のある長く栗色の髪が水に濡れ、だらしなく顔を覆っていた。
髪の隙間から見せる整った童顔は、生気の欠けらもない視点の合っていない虚な目をしていた。
何処を見ているのかさえ定かではなく、可愛いらしい口元を力無く半開きにさせ、溢れた涎が顎を伝っていた。
上半身に着ている薄着のパジャマは乱れ、豊満な胸を惜しげもなく晒し、下半身は下着一枚。
裸足の足首までパジャマが下がり、地面を引き摺るように歩いている。
「こんな夜更けに、こんな所で何をしているんだ、あの子? あの格好は……」
「オレ達みたいな下衆に、いけない事でもされて壊れたんじゃねーの?」
「――へへ、そうかもな? だったらオレも御相伴に預かろうかね」
「ちげえねぇ、オレもスッキリするか」
抱いている疚しい感情を隠しもせず、下卑た薄ら笑いを携える作業員らしき二人は、その少女の行手を遮るように近付いていく。
目の前に二人が現れたと言うのに、全く意にも介さずに、意思も感じさせず、ひたすら蹌踉めきだって歩き続ける少女。
「へへ……やっぱり壊されてやがる。めっちゃ可愛いじゃねーの。柔らけぇし、良い匂いだぜ」
背後から少女に抱きつき、地面に組み伏せる男。
「さっさと戴いちまおうぜ。――うぉっ、タマンねぇ!」
目の前のあられもない姿の少女に容赦無く己の欲望を駆り立てられ、狂ったように貪る――。
作業員二人の思考は、既に真面に働いてはいなかった。
この異常な状況について、理性を持って深く考えなかった。
否、最早、考えられなかった――。
あどけない少女に、二人掛かりで辱める作業員が恍惚の表情で呻いた、その時だった――。
少女が最早、人為らざる者であると気付けなかった為に起こる――惨劇。
少女の目が血に飢えた野獣の如き眼光を放ち、真っ赤に染まる!
半開きで涎を垂らしていた口が大きく歪み、鋭い牙を剥く!
「――な、なに⁉︎」
変貌した少女に面食らい、真っ青になって咄嗟に飛び退いた瞬間――、
少女が作業員の首に、鋭く伸びた牙を突き立てたのだ!
「――がっ⁉︎」
引きちぎるように噛みちぎられ、何が起こったのか解らない表情のまま、地面に転がっていく作業員の頭!
残された胴体の首からは、大量の血を噴水の如く噴き上げ、少女を血塗れにする!
『――フヒッ』
嘲笑が聴こえてくるぐらい、悍しくも禍々しく薄ら笑う血塗れの少女。
肉がちぎれ骨が軋む鈍い音を立て、少女の首だけが真逆に回転し、背後の作業員を嘲笑った!
「ヒィ! な、な、化――」
失禁し情けない姿を晒したまま、悲鳴を上げた作業員!
腰が抜け狼狽し、震えたままに地面を後退る!
「化――け物……がっ――」
『――フヒッ――フヒッ』
少女の両腕が肉が裂けるように縦に割れ、まるで蚯蚓のような口となり、一瞬で腹に喰らい付いたのだった!
後退る作業員の腸を引き摺り出して、悍しい生き物のような触手となった少女の後ろ手に伸ばした腕が第二、第三の口となり臓物を生きたままに咀嚼する!
本来の口の方は、もう一人の作業員に喰らいつき、貪り喰っていた――。
月明かりに照らされた血塗れの少女は、独り闇夜に踊る――。
この静寂は自分のものだと誇示するかの如く、歪みきった笑顔を携えて――。
――――――――――
To be continue――
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