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最終話。
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「うわぁー! ……って、なんだ⁉︎」
逃げようとして思いっきり背中から刃物で突き刺され、うつ伏せに倒れ込んで殺された被害者。
そんなサスペンス物ではお約束の状態で、見慣れた俺の部屋で無様に涎を垂らして寝っ転がっていた。
不意に目線の先に転がっていた林檎印のタブレット。
書きかけの小説が開らかれたままで、無造作に投げ出されていた。
更に人として大切な何かを失う散々な目に遭わしてくれた、呪いの三輪車が部屋の隅っこで俺同様に天地逆さまにひっくり返っていた――。
「――さて。とりあえず落ち着こうか、俺。取り乱して錯乱するにはまだ早い時間だ。――で、何? この何処ぞな悪夢で視る人の有人くんみたいな……悪夢から目覚めたかのような状況は? 一体、どう言う冗談だ?」
腕立て伏せよろしくにどっこしょと身を起こし、床の上で胡座を組んで首を傾げた俺。
「御体満足だし、とにかくこんな時は、一旦、落ち着いて、何が起きたのか冷静に状況を振り返ってみるのが一番なのな」
えっと……確か――あれ?
思い出せん?
直前の記憶がないって……どういうこと?
「散々、大人のいけない悪戯をしてやった悪魔っ子の仕返しか? 謎パワーか呪いかなんかで」
部屋中を見渡し痕跡を見るも――。
「つーか、これ。呪いの三輪車が転がってる以外、いつもの俺の部屋のまんまじゃん? 綺麗に片付いているってどう言うこと?」
そう、争った形跡は元より、誰かが居たと言う痕跡すらない。
そして作業机には見慣れたカップがひとつ。
執筆前に俺が煎れた焙煎珈琲が注がれている。
まるで今煎れたかの如く、ほんわかと湯気が立ち昇っているから摩訶不思議。
「ちょっと待て、俺。流石におかしくね? 焙煎珈琲を煎れたのは随分と前だぞ? 湯気どころか冷え切ってて当然の筈だろ?」
手に取ったカップにしても、口をつけてみて飲んでみても――煎れ立てのように温かい。
「夢? いやまさか……なんだこれ? まぢで悪夢で視る人? ――そんな馬鹿な」
作業椅子に社長を気取る格好で座って、温かい焙煎珈琲をキザっぽく煽りながら、某筆者の小説のように巻き戻っている事態を打破すべく一生懸命に頭を捻り考える。
その時だった――。
唐突に、俺の背後から嫌な気配がした。
恐る恐る振り返って見ると――、
蛸人間――違うな。それだとまんまだ。
「――キモ」
凄い薄気味悪い青紫色の顔色になった悪夢っ子が、天井から天地逆さまにぶら下がっていた――。
「自殺なら他所でやってくんない? 頭に血が下がって酷い顔色じゃねーか……どんだけ」
しかし、現実はそんなに甘くなかった――。
虚な目を俺に向けてニタリときた!
ホラー過ぎて心臓麻痺を起こし、仄暗い井戸の底に居座るあの人の所まで逝くかと思った。
どうしようかと呆けて天井を見つめていたら――。
『――いい加減、ヘルプ、身体を張ってる私』
「えーと、なんなのこの状況? 夢? もしくは白昼夢? 或いは俺の妄想?」
そんな逆さ吊りな悪魔っ子に、助け舟も出さずにしれっと質問で返す俺。
『もう、そうですよ』
殺意に変わった瞬間だった――。
「そのまま死ねば良いんだ」
くだらない駄洒落で切り返しやがったのにちょっとイラッとして、ムッとした顔で文句を言う。
『貴方は選ばれたのです! ――抽選で』
俺を完璧スルーして話を進める悪魔っ子。
「その件、今必要か? 既に聴いてるだろうが」
『サンダルを宙に放り、表か裏かで占う――』
「だから知ってるっつーに! 古典的な天気予報だって言ったよな?」
『――チッ』
「なんで舌打ちする!」
『貴方は選ばれたのです! ――不正な取引の元、厳選なる抽選によって!』
「だーかーらー、不正な取引って段階で厳選ぢゃ無いとも言ったから! 繰り返し言うの何? 大事なことだから二度言うアレか!」
『チッ……ブツブツブツブツブツブツブツブツ――』
「ブツブツ言ってんのに、ルビ振って愚痴るのまで繰り返すのかよ! 話が進まないから、逆さ吊りで死にかけてる意味の説明、早よ」
『カースト最底辺を爆走し怪文書を晒し続け、うだつの上がらない危篤な貴方に、救済しに来たんですよ! 特別なある品を授けるついでに持参して来たんですよ!』
「まだ言うか! その件も聴いた! 勿体ぶらず、早よ言え」
『ムカツクわ~! まぁ、良いでしょう。私も大人、そう大人なのですから! 少々の戯言くらい平気です!』
「ちっぱいだろうが! 直に見て触って確認したろ!」
『失敬ですね! ちっぱいは正義! 需要もちゃんとありますぅ~! こう見えても私は――年齢の話は止めましょう』
「――ウザい。説明、早よ」
『――くっ。実は……今回で最終回。なので再周回! なので、一旦、仕切り直します!」
「駄洒落オチで終わりかよ!」
『もう! そうですよ!』
「――そのままいっぺん死んで来い。二度とくんな!」
『酷っ! 何気に、酷っ!』
俺が憤慨し怒鳴りつける頃には、既に悪魔っ子は消えていた。
呪いの三輪車を回収し忘れて――。
――――――――――(完)
結局、意味不明に終了。内容なんてないよう?(笑)
おあとが宜しいようで……。
【謝辞】
此処までお付き合い頂き、本当に有り難う御座いました。
意図しない誤字脱字が多く、お目汚し、大変失礼致しました。_φ(・_・
逃げようとして思いっきり背中から刃物で突き刺され、うつ伏せに倒れ込んで殺された被害者。
そんなサスペンス物ではお約束の状態で、見慣れた俺の部屋で無様に涎を垂らして寝っ転がっていた。
不意に目線の先に転がっていた林檎印のタブレット。
書きかけの小説が開らかれたままで、無造作に投げ出されていた。
更に人として大切な何かを失う散々な目に遭わしてくれた、呪いの三輪車が部屋の隅っこで俺同様に天地逆さまにひっくり返っていた――。
「――さて。とりあえず落ち着こうか、俺。取り乱して錯乱するにはまだ早い時間だ。――で、何? この何処ぞな悪夢で視る人の有人くんみたいな……悪夢から目覚めたかのような状況は? 一体、どう言う冗談だ?」
腕立て伏せよろしくにどっこしょと身を起こし、床の上で胡座を組んで首を傾げた俺。
「御体満足だし、とにかくこんな時は、一旦、落ち着いて、何が起きたのか冷静に状況を振り返ってみるのが一番なのな」
えっと……確か――あれ?
思い出せん?
直前の記憶がないって……どういうこと?
「散々、大人のいけない悪戯をしてやった悪魔っ子の仕返しか? 謎パワーか呪いかなんかで」
部屋中を見渡し痕跡を見るも――。
「つーか、これ。呪いの三輪車が転がってる以外、いつもの俺の部屋のまんまじゃん? 綺麗に片付いているってどう言うこと?」
そう、争った形跡は元より、誰かが居たと言う痕跡すらない。
そして作業机には見慣れたカップがひとつ。
執筆前に俺が煎れた焙煎珈琲が注がれている。
まるで今煎れたかの如く、ほんわかと湯気が立ち昇っているから摩訶不思議。
「ちょっと待て、俺。流石におかしくね? 焙煎珈琲を煎れたのは随分と前だぞ? 湯気どころか冷え切ってて当然の筈だろ?」
手に取ったカップにしても、口をつけてみて飲んでみても――煎れ立てのように温かい。
「夢? いやまさか……なんだこれ? まぢで悪夢で視る人? ――そんな馬鹿な」
作業椅子に社長を気取る格好で座って、温かい焙煎珈琲をキザっぽく煽りながら、某筆者の小説のように巻き戻っている事態を打破すべく一生懸命に頭を捻り考える。
その時だった――。
唐突に、俺の背後から嫌な気配がした。
恐る恐る振り返って見ると――、
蛸人間――違うな。それだとまんまだ。
「――キモ」
凄い薄気味悪い青紫色の顔色になった悪夢っ子が、天井から天地逆さまにぶら下がっていた――。
「自殺なら他所でやってくんない? 頭に血が下がって酷い顔色じゃねーか……どんだけ」
しかし、現実はそんなに甘くなかった――。
虚な目を俺に向けてニタリときた!
ホラー過ぎて心臓麻痺を起こし、仄暗い井戸の底に居座るあの人の所まで逝くかと思った。
どうしようかと呆けて天井を見つめていたら――。
『――いい加減、ヘルプ、身体を張ってる私』
「えーと、なんなのこの状況? 夢? もしくは白昼夢? 或いは俺の妄想?」
そんな逆さ吊りな悪魔っ子に、助け舟も出さずにしれっと質問で返す俺。
『もう、そうですよ』
殺意に変わった瞬間だった――。
「そのまま死ねば良いんだ」
くだらない駄洒落で切り返しやがったのにちょっとイラッとして、ムッとした顔で文句を言う。
『貴方は選ばれたのです! ――抽選で』
俺を完璧スルーして話を進める悪魔っ子。
「その件、今必要か? 既に聴いてるだろうが」
『サンダルを宙に放り、表か裏かで占う――』
「だから知ってるっつーに! 古典的な天気予報だって言ったよな?」
『――チッ』
「なんで舌打ちする!」
『貴方は選ばれたのです! ――不正な取引の元、厳選なる抽選によって!』
「だーかーらー、不正な取引って段階で厳選ぢゃ無いとも言ったから! 繰り返し言うの何? 大事なことだから二度言うアレか!」
『チッ……ブツブツブツブツブツブツブツブツ――』
「ブツブツ言ってんのに、ルビ振って愚痴るのまで繰り返すのかよ! 話が進まないから、逆さ吊りで死にかけてる意味の説明、早よ」
『カースト最底辺を爆走し怪文書を晒し続け、うだつの上がらない危篤な貴方に、救済しに来たんですよ! 特別なある品を授けるついでに持参して来たんですよ!』
「まだ言うか! その件も聴いた! 勿体ぶらず、早よ言え」
『ムカツクわ~! まぁ、良いでしょう。私も大人、そう大人なのですから! 少々の戯言くらい平気です!』
「ちっぱいだろうが! 直に見て触って確認したろ!」
『失敬ですね! ちっぱいは正義! 需要もちゃんとありますぅ~! こう見えても私は――年齢の話は止めましょう』
「――ウザい。説明、早よ」
『――くっ。実は……今回で最終回。なので再周回! なので、一旦、仕切り直します!」
「駄洒落オチで終わりかよ!」
『もう! そうですよ!』
「――そのままいっぺん死んで来い。二度とくんな!」
『酷っ! 何気に、酷っ!』
俺が憤慨し怒鳴りつける頃には、既に悪魔っ子は消えていた。
呪いの三輪車を回収し忘れて――。
――――――――――(完)
結局、意味不明に終了。内容なんてないよう?(笑)
おあとが宜しいようで……。
【謝辞】
此処までお付き合い頂き、本当に有り難う御座いました。
意図しない誤字脱字が多く、お目汚し、大変失礼致しました。_φ(・_・
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