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第一話 何処でも居ない人
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僕はある日突然、良くある虐めのシカト云々とは根本的に次元が違うレベルで、誰からも尽くスルーかつガン無視される状態へと陥った。
そうなったと言うか、そうなってしまったと言うかな原因や理由は一切不明。
書いて字の如く、突如としてそうなってしまった。なので――。
『何処にも居ない人』でなく。
『何処でも居ない人』になる。
漠然とした認識下で、相手には知覚されてるように思えるんだけど、ただ全く気にも留められていないような……そんな感じがする。
う~ん、そうだなぁ。砂利に紛れた一粒の小石程度の認識って例えが解り易いかな?
要は有象無象の中に埋もれ、個別に認識されないモブって感じだね。
体感した内容から考察するに、これが最も正しい言い方なのかも知れない。
まぁ……それだけだったなら良かった方だと思う。実はもっと怖いことがあってですね。それは――。
『僕が何処で何をしようがされようが、起きた事象として現実に反映されない』
つまり、僕絡みで起きた事象のその全てが、起こっていないことにされるってこと、だ。意味不明過ぎん?
存在が激希薄のように扱われることも勿論だけども、それ以上に意味不明で理解の範疇を越える、実に摩訶不思議現象だよなぁ、うん。
◇◇◇
時間は昼食時。お昼休憩の会社員やら学生何やらと、お客さんがいっぱい居るコンビニ店内に僕は居る。
わらわらと忙しなく店内を巡るお客さんたちが、僕を避けての素通りってのは、当然、見知らぬ相手だからと、実に普通で納得はできる。
ただ誰も彼もが僕を見ていない筈なのに、当然の如く自然に避けて行くってのが、実に納得できないわけですね。
「誰にも相手にされない空気だよな。まるで僕が透明人間にでもなった気分」
お弁当類を物色しながら悪態を吐きつつも、最後の一つだった実に美味しそうなお弁当を手にした僕は、お会計の為にレジへと持って行く?
ノンノン。そのまま店外に持って出るが、今の僕の次なる行動です。
「やっぱり……誰もかまってやくれないのな」
そう。不思議なことに泥棒扱いされない。
更に不思議なことに、入退店を知らせるチャイムすら全く鳴らないってんだからね。納得できません。
僕がこの状態に陥って直ぐに思ったことは、いつの間にか死んじゃってて、自覚なく幽霊にでもなってやしないのか? だった。
結果から言うと全く違った。
浮くこともできなければ、透けてすらいない。何せ鏡にもちゃんと姿が映っているからね。
頬を抓ればめっさ痛く、歩けば疲れて汗もかき、ちゃんとお腹も空く。
このことからも、正しく生きている人間である……と僕は思った。
にも関わらず、誰にも相手されないガン無視だもん。納得できません。
それもだけども、更にもう一つ理解の範疇を越えた、全く納得できない摩訶不思議現象が実はある。
「事象そのものまでもがガン無視って……一体、何?」
先程、僕が最後のお弁当を手に取った場所に目を向け、不機嫌気味にそう呟いた。
何故なら手にしている最後のお弁当。それが極自然に復活してて、元の場所に同じ物がちゃんと存在しているからだ。
まぁ、お弁当に限らず、僕が引き起こした事象全てが、何事もなかったことになるってんだから、摩訶不思議の何ものでもない。不思議不思議。納得できません。
僕は割と冷静で、客観的に物事を考えられると自分では思っていたけども、この現象については理論的に説明がつかず、どうにも本気かつ全く納得できません。
以前、僕なりに真剣に追求してみた際もそうだった。ぶっちゃけ命懸けの実に危険な検証なんかも、既にやっていたり。それは――。
走ってくる自転車の前に立ち塞がり、あえて跳ねられてみた――と言うもの。
その結果どうなったかと言うと、僕がめっさ痛い思いをしただけ。
僕を跳ねた筈の自転車は、何事もなかったように平然と全くのごく自然に走り去っていったからだ。転ぶこともないし、驚いてくれもしない。
打つかった衝撃で気づいてくれる、或いはどうにかこうにかなるかもと期待したのに、結果は全くのガン無視――と言うか、本来、打つかった、或いは跳ねられたことにより起こり得る筈の現実の事象が、相手にだけ全く反映されないんだもんな。
痛い思いをした僕だけが損。ワロスワロスと笑えない、あり得ない状況だった。なので納得できません。
「まぁ、僕自身は孤独感よりも、他人に干渉されず気楽に過ごせるってことが実に有り難く、このままで問題ないっちゃないんだけども……突然なんなんだろう?」
上天気かつ春の暖かな陽射しの下、コンビニ脇にあるベンチに座って、一人黙々と弁当を食べつつ、そんなことを考えていた――。
――――――――――
空気君は滅多なことでは動じない。当然、周囲も知らんぷり(笑)
そうなったと言うか、そうなってしまったと言うかな原因や理由は一切不明。
書いて字の如く、突如としてそうなってしまった。なので――。
『何処にも居ない人』でなく。
『何処でも居ない人』になる。
漠然とした認識下で、相手には知覚されてるように思えるんだけど、ただ全く気にも留められていないような……そんな感じがする。
う~ん、そうだなぁ。砂利に紛れた一粒の小石程度の認識って例えが解り易いかな?
要は有象無象の中に埋もれ、個別に認識されないモブって感じだね。
体感した内容から考察するに、これが最も正しい言い方なのかも知れない。
まぁ……それだけだったなら良かった方だと思う。実はもっと怖いことがあってですね。それは――。
『僕が何処で何をしようがされようが、起きた事象として現実に反映されない』
つまり、僕絡みで起きた事象のその全てが、起こっていないことにされるってこと、だ。意味不明過ぎん?
存在が激希薄のように扱われることも勿論だけども、それ以上に意味不明で理解の範疇を越える、実に摩訶不思議現象だよなぁ、うん。
◇◇◇
時間は昼食時。お昼休憩の会社員やら学生何やらと、お客さんがいっぱい居るコンビニ店内に僕は居る。
わらわらと忙しなく店内を巡るお客さんたちが、僕を避けての素通りってのは、当然、見知らぬ相手だからと、実に普通で納得はできる。
ただ誰も彼もが僕を見ていない筈なのに、当然の如く自然に避けて行くってのが、実に納得できないわけですね。
「誰にも相手にされない空気だよな。まるで僕が透明人間にでもなった気分」
お弁当類を物色しながら悪態を吐きつつも、最後の一つだった実に美味しそうなお弁当を手にした僕は、お会計の為にレジへと持って行く?
ノンノン。そのまま店外に持って出るが、今の僕の次なる行動です。
「やっぱり……誰もかまってやくれないのな」
そう。不思議なことに泥棒扱いされない。
更に不思議なことに、入退店を知らせるチャイムすら全く鳴らないってんだからね。納得できません。
僕がこの状態に陥って直ぐに思ったことは、いつの間にか死んじゃってて、自覚なく幽霊にでもなってやしないのか? だった。
結果から言うと全く違った。
浮くこともできなければ、透けてすらいない。何せ鏡にもちゃんと姿が映っているからね。
頬を抓ればめっさ痛く、歩けば疲れて汗もかき、ちゃんとお腹も空く。
このことからも、正しく生きている人間である……と僕は思った。
にも関わらず、誰にも相手されないガン無視だもん。納得できません。
それもだけども、更にもう一つ理解の範疇を越えた、全く納得できない摩訶不思議現象が実はある。
「事象そのものまでもがガン無視って……一体、何?」
先程、僕が最後のお弁当を手に取った場所に目を向け、不機嫌気味にそう呟いた。
何故なら手にしている最後のお弁当。それが極自然に復活してて、元の場所に同じ物がちゃんと存在しているからだ。
まぁ、お弁当に限らず、僕が引き起こした事象全てが、何事もなかったことになるってんだから、摩訶不思議の何ものでもない。不思議不思議。納得できません。
僕は割と冷静で、客観的に物事を考えられると自分では思っていたけども、この現象については理論的に説明がつかず、どうにも本気かつ全く納得できません。
以前、僕なりに真剣に追求してみた際もそうだった。ぶっちゃけ命懸けの実に危険な検証なんかも、既にやっていたり。それは――。
走ってくる自転車の前に立ち塞がり、あえて跳ねられてみた――と言うもの。
その結果どうなったかと言うと、僕がめっさ痛い思いをしただけ。
僕を跳ねた筈の自転車は、何事もなかったように平然と全くのごく自然に走り去っていったからだ。転ぶこともないし、驚いてくれもしない。
打つかった衝撃で気づいてくれる、或いはどうにかこうにかなるかもと期待したのに、結果は全くのガン無視――と言うか、本来、打つかった、或いは跳ねられたことにより起こり得る筈の現実の事象が、相手にだけ全く反映されないんだもんな。
痛い思いをした僕だけが損。ワロスワロスと笑えない、あり得ない状況だった。なので納得できません。
「まぁ、僕自身は孤独感よりも、他人に干渉されず気楽に過ごせるってことが実に有り難く、このままで問題ないっちゃないんだけども……突然なんなんだろう?」
上天気かつ春の暖かな陽射しの下、コンビニ脇にあるベンチに座って、一人黙々と弁当を食べつつ、そんなことを考えていた――。
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空気君は滅多なことでは動じない。当然、周囲も知らんぷり(笑)
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