3 / 20
ミノケモヨダツ、何カガ、訪ル――。
Creepy.03 兆候ガ、顕ル――。
しおりを挟む
「気分転換どころか、三途の川へと片道旅行させられるとこだったわ」
恥ずかしい話し、静まりかえる部屋の雰囲気がなまら怖くなってきた。
なのでテレビをつけ、騒がしくも賑やかにする、存外、ビビリちゃんな俺。
今時珍しいチャンネル切り替えがアナログのツマミ式な、昭和時代が懐かしい古めかしいブラウン管テレビに映るのは、年の瀬恒例の紅白歌合戦。
そして近くのお寺からゴーン、ゴーンと等間隔に鳴り響く、不気味で喧しいことこのうえない除夜の鐘。
そう。今は二〇二〇年――令和二年もあと数時間で終わりを迎える、ゆく年くる年な年の瀬だ。
「確実にトラウマ案件だ……ううっ、寒ぅ」
嫌な汗を掻き身震いする俺は、コタツへと逃げ込んだ。
(それにしても……ちと寒すぎやしないか?)
潜り込んでテレビを観やるも身震いするほど、なまら寒い。
コタツから出てる手や顔が痛くなるくらい冷え込んで、なまら寒い。
「――え? なんで?」
暖房が効いてないのかと思ってエアコンのリモコンを手に取り、目にした表示に驚いてしまう。
現在の室温は七度ときた。
「嘘だろ? さっきまで二七度じゃなかった? 快適設定の自動運転にしてた筈なんだけど? 何、この二〇度もいきなり下がる急激な冷え込み? そら寒い筈だわ」
壊れたのかと、一瞬、疑うも、エアコンからは温風がちゃんと出て俺に届いている。
壊れてはいないと解ったので、直ぐにエアコンの自動運転を解除し、手動に切り替えての温度最大、風量最大にした。
「危うく『良い歳したおやぢ、曰く物件で孤独な凍死』って見出しで、世間様を賑わすところだったわ。うぅ……寒っ」
部屋全体が暖まるまでコタツに潜り込んで、冷え切った身体を暖めつつ、紅白歌合戦を観ていることにした。
◇◇◇
コタツに潜り込んでテレビを観ながらの、林檎印のタブレットとの睨めっこが続き、さっきからずっと考え込むばかりで、筆が一向に進んでいなかったり。
「もう物書きやめよっかな……俺には向いてないかも」
俺は趣味の小説何ぞを執筆しては、怪文書とか吐かして投稿サイトで晒している、文才もないど素人だ。
晒しているのは、当然、本格的な文学物でなく、今流行りのラノベ。
小学生の作文にも劣ると自ら虐げてるくらい、小説というには烏滸がましい稚拙で素人感丸出しな文章で、思いついた妄想をネットスラングや顔文字まで用い、自由奔放に綴っている。
更新もめっさ遅く、飽きると放置。
更には意図しない誤字脱字の嵐も平気でやらかすときた。
なので才能が満ち溢れ、物書きで生計を立てていらっしゃる凄い先生、先輩諸兄方には遠く及ばないのは言わずもがな。
それでも一年以上も経った今も、未だにこうして続けていると言うんだから……自分でも驚いてたり。
「はぁ……今日はヤメヤメ。明日から頑張ろう。――しかし今日は一段と冷えるな。雪でも降るかもな」
考えるのにもぶっちゃけ飽きてきたので、あかんヤツが言い訳に良く使う魅惑の台詞を独り言ちって、林檎印のタブレットを脇に置きテレビに集中する。
実際、暖房が効いてないのかと思うくらいに部屋がなまら寒いので、手が悴んで書いてられんし。
「――お? おおっ!」
ナントカカントカな横文字の、色白でデラべっぴんさんばかりのアイドルグループがテレビに映ったので、それに目が釘付けになる。
「へぇ……日本人かと思いきや韓国籍なのか。美白な小顔に九頭身かつ脚も長くて超綺麗ってか。踊りが色々とけしからんし堪らんな、うひひ。しっかし居るもんだな、絵に描いたようなデラべっぴんさんってのは」
肌色の面積増し増しな際どくもド派手な素敵衣装に身を包み、躍動的な踊りを披露する度に何処とは指定しないが激しく、なまら激しく色々なものを披露してくれるガチで媚び媚びなアイドルらの姿に、視聴者を代表して大いに悦って喜んでいた。
何処とは指定しないが素晴らしい、なまら素晴らしいポロリの決定的瞬間を捉えるべく、ローアングル寄りに果敢に攻めるサービス精神旺盛なカメラマンを、それを期待をする視聴者を代表して心から応援していた時だった――。
何かがバチッと弾ける音がした――。
直後、テレビの映像が切り替わる。
夜中に流れる電波の試験放送のようなモザイク映像となり、ピーと言うかな耳障りな発信音までが鳴り出した。
どちらかと言えば、キィーンと言うかな耳鳴りに近い。
「な、なんだ⁉︎ 生放送でガチの放送事故――ん?」
耳を押さえてそう呟く間に、テレビの画面がザザザッと白と黒の砂嵐に変わる。
一瞬、砂嵐の中に何かが映ったかのような気がした。
「残像? ――まぁ良いか。続きに集中するかな」
そう呟きつつ静かにテレビを消し、執筆活動へと復帰する。
(気の所為だよ、気の所為……たぶん)
実は何かがチラ見えた気がして怖かったから、慌てて消したってのが本音だったり。
――――――――――
得体の知れない――何か。
それは常に身近に存在する――。
恥ずかしい話し、静まりかえる部屋の雰囲気がなまら怖くなってきた。
なのでテレビをつけ、騒がしくも賑やかにする、存外、ビビリちゃんな俺。
今時珍しいチャンネル切り替えがアナログのツマミ式な、昭和時代が懐かしい古めかしいブラウン管テレビに映るのは、年の瀬恒例の紅白歌合戦。
そして近くのお寺からゴーン、ゴーンと等間隔に鳴り響く、不気味で喧しいことこのうえない除夜の鐘。
そう。今は二〇二〇年――令和二年もあと数時間で終わりを迎える、ゆく年くる年な年の瀬だ。
「確実にトラウマ案件だ……ううっ、寒ぅ」
嫌な汗を掻き身震いする俺は、コタツへと逃げ込んだ。
(それにしても……ちと寒すぎやしないか?)
潜り込んでテレビを観やるも身震いするほど、なまら寒い。
コタツから出てる手や顔が痛くなるくらい冷え込んで、なまら寒い。
「――え? なんで?」
暖房が効いてないのかと思ってエアコンのリモコンを手に取り、目にした表示に驚いてしまう。
現在の室温は七度ときた。
「嘘だろ? さっきまで二七度じゃなかった? 快適設定の自動運転にしてた筈なんだけど? 何、この二〇度もいきなり下がる急激な冷え込み? そら寒い筈だわ」
壊れたのかと、一瞬、疑うも、エアコンからは温風がちゃんと出て俺に届いている。
壊れてはいないと解ったので、直ぐにエアコンの自動運転を解除し、手動に切り替えての温度最大、風量最大にした。
「危うく『良い歳したおやぢ、曰く物件で孤独な凍死』って見出しで、世間様を賑わすところだったわ。うぅ……寒っ」
部屋全体が暖まるまでコタツに潜り込んで、冷え切った身体を暖めつつ、紅白歌合戦を観ていることにした。
◇◇◇
コタツに潜り込んでテレビを観ながらの、林檎印のタブレットとの睨めっこが続き、さっきからずっと考え込むばかりで、筆が一向に進んでいなかったり。
「もう物書きやめよっかな……俺には向いてないかも」
俺は趣味の小説何ぞを執筆しては、怪文書とか吐かして投稿サイトで晒している、文才もないど素人だ。
晒しているのは、当然、本格的な文学物でなく、今流行りのラノベ。
小学生の作文にも劣ると自ら虐げてるくらい、小説というには烏滸がましい稚拙で素人感丸出しな文章で、思いついた妄想をネットスラングや顔文字まで用い、自由奔放に綴っている。
更新もめっさ遅く、飽きると放置。
更には意図しない誤字脱字の嵐も平気でやらかすときた。
なので才能が満ち溢れ、物書きで生計を立てていらっしゃる凄い先生、先輩諸兄方には遠く及ばないのは言わずもがな。
それでも一年以上も経った今も、未だにこうして続けていると言うんだから……自分でも驚いてたり。
「はぁ……今日はヤメヤメ。明日から頑張ろう。――しかし今日は一段と冷えるな。雪でも降るかもな」
考えるのにもぶっちゃけ飽きてきたので、あかんヤツが言い訳に良く使う魅惑の台詞を独り言ちって、林檎印のタブレットを脇に置きテレビに集中する。
実際、暖房が効いてないのかと思うくらいに部屋がなまら寒いので、手が悴んで書いてられんし。
「――お? おおっ!」
ナントカカントカな横文字の、色白でデラべっぴんさんばかりのアイドルグループがテレビに映ったので、それに目が釘付けになる。
「へぇ……日本人かと思いきや韓国籍なのか。美白な小顔に九頭身かつ脚も長くて超綺麗ってか。踊りが色々とけしからんし堪らんな、うひひ。しっかし居るもんだな、絵に描いたようなデラべっぴんさんってのは」
肌色の面積増し増しな際どくもド派手な素敵衣装に身を包み、躍動的な踊りを披露する度に何処とは指定しないが激しく、なまら激しく色々なものを披露してくれるガチで媚び媚びなアイドルらの姿に、視聴者を代表して大いに悦って喜んでいた。
何処とは指定しないが素晴らしい、なまら素晴らしいポロリの決定的瞬間を捉えるべく、ローアングル寄りに果敢に攻めるサービス精神旺盛なカメラマンを、それを期待をする視聴者を代表して心から応援していた時だった――。
何かがバチッと弾ける音がした――。
直後、テレビの映像が切り替わる。
夜中に流れる電波の試験放送のようなモザイク映像となり、ピーと言うかな耳障りな発信音までが鳴り出した。
どちらかと言えば、キィーンと言うかな耳鳴りに近い。
「な、なんだ⁉︎ 生放送でガチの放送事故――ん?」
耳を押さえてそう呟く間に、テレビの画面がザザザッと白と黒の砂嵐に変わる。
一瞬、砂嵐の中に何かが映ったかのような気がした。
「残像? ――まぁ良いか。続きに集中するかな」
そう呟きつつ静かにテレビを消し、執筆活動へと復帰する。
(気の所為だよ、気の所為……たぶん)
実は何かがチラ見えた気がして怖かったから、慌てて消したってのが本音だったり。
――――――――――
得体の知れない――何か。
それは常に身近に存在する――。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ぞんびぃ・ぱにつく 〜アンタらは既に死んでいる〜
されど電波おやぢは妄想を騙る
SF
数週間前、無数の巨大な隕石が地球に飛来し衝突すると言った、人類史上かつてないSFさながらの大惨事が起きる。
一部のカルト信仰な人々は、神の鉄槌が下されたとかなんとかと大騒ぎするのだが……。
その大いなる厄災によって甚大な被害を受けた世界に畳み掛けるが如く、更なる未曾有の危機が世界規模で発生した!
パンデミック――感染爆発が起きたのだ!
地球上に蔓延る微生物――要は細菌が襲来した隕石によって突然変異をさせられ、生き残った人類や生物に猛威を振い、絶滅へと追いやったのだ――。
幸運と言って良いのか……突然変異した菌に耐性のある一握りの極一部。
僅かな人類や生物は生き残ることができた。
唯一、正しく生きていると呼べる人間が辛うじて存在する。
――俺だ。
だがしかし、助かる見込みは万に一つも絶対にないと言える――絶望的な状況。
世紀末、或いは暗黒世界――デイストピアさながらの様相と化したこの過酷な世界で、俺は終わりを迎えるその日が来るまで、今日もしがなく生き抜いていく――。
生ける屍と化した、愉快なゾンビらと共に――。
魔法少女ってマジカルなのか? ――で、俺、惨状? そんな俺は社畜ブサメン瓶底メガネキモオタク。愛と夢と希望をブチ壊し世界の危機に立ち向かう?
されど電波おやぢは妄想を騙る
SF
極平凡で、ありふれた、良くある、日常の風景――。
朝起きて、準備して、仕事に出掛ける。
俺にしてもいつも通りで、他の誰とも何も変わらない――筈だった。
気付いた時には、既に手遅れだった。
運命の歯車が突如大きく、歪み、狂い、絡みあって――まるで破滅へと誘うかのように、今日、この日、たった今――目の前で動き出したのだ――。
そして俺は――戦うことを強いられる。
何故か――『魔法少女』として?
※一部、改稿しました。
悪夢で視る人――それは俺だけが視ることのできる、酷く残酷で凄惨な個人的ホラー映画。
されど電波おやぢは妄想を騙る
ホラー
彼女居ない歴イコール、生きた歳の俺は二十歳。
仕事が休みになると、当然、することもないので、決まって部屋に引き篭もる悪い癖を持っている。
何をしているかって言うとナニではなく、ひたすらに大好物なホラー映画を鑑賞しているってわけ。
怪奇物にスプラッター、パンデミックに猟奇物まで、ホラーと名のつく物ならなんでもバッチ来いの大概な雑食である。
めっさリアルに臓物が飛び出す映画でも、観ながら平気で食事が喉を通るって言うんだから大概だろ?
変なヤツだと後ろ指を刺されるわ、あの人とはお話ししてはダメよと付き添いの親に陰口を叩かれるくらいのな?
そんな俺が例の如くホラー映画を鑑賞中、有り得ないことが俺の身に起きた。
そこを境に聴くも悍しい体験をしていくこととなる――。
悪夢で視る人――それは俺だけが視ることのできる、酷く残酷で凄惨な個人的ホラー映画。【第二部・リテイク版】
されど電波おやぢは妄想を騙る
ホラー
遡ること二年前。突如として隣の夢野家が業火に包まれる瞬間を目撃した。
取るものも取らず俺が駆けつけた時には――既に鎮火していた。この僅か一瞬の間に。
そんな普通ではあり得ない状況下で、俺は大切な美杉(みすぎ)を失った。
全てを奪いさったあの日――夢野家を襲った怪奇現象の真相を暴くべく、旧友でもある友人のコネで、国家権力に身をおく現在の俺――夢野有人(ありひと)
美杉は未だ生きていると頑なに信じ、あの日に体感したあり得ない不可思議な現象の謎を解く為にも、現在も必死で行方を追っていた。
焼け跡からは美杉の遺体は発見されていない。死んだと言われても納得も理解もできる筈もない。
気乗りはしないが日本のしきたりである命日の墓参り――中身のない墓標へと渋々足を運ぶ。
そうして思い出が詰まった公園からバスを乗り継ぎ、墓標がある霊園へと訪れていた。
だがしかし。この一帯を包む空気、雰囲気が余りにもおかしい。
言い知れぬ不安と疑問が募っていくのだった――。
【ご注意】過去に晒していた怪文書を作り直した魔改造版です。諸々の事情で蓋をしてたんですけども、腐る前に日干しの恥晒し敢行です(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる