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第一部 現代編――。
第七話 金は無くとも心は裕福?
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「妾も弁当とやらが飽きてくるほどには、随分、月日が経ってしまっておるのか……。追放されてまなしは、もっと美味しく感じた筈じゃが……」
一昨日の廃棄で戴いた、五〇〇円もする豪華な幕内弁当を前に、緑色のジャージ姿のマリーがむくれて愚痴る。
そりゃ……全く同じ弁当が昼夜問わず三日間も続いたら、文句の一つも言いたくなるわな。
「マリアお嬢様。私共は咎人。贅沢を申されてはなりません。食事も満足に摂れない下賤の者も、大勢、存在するのですから。ありつけるだけ良しとお考え下さい」
黙々と食べていた、同じく緑色のジャージ姿な下衆徒君は、下衆なおっさんとは思えない真面目顔でマリーを諫める。
いつも思うけども、できた従者だよね。
見てくれは最悪最低だけど。
「無理に食べなくても良いけど、明日も明後日もその弁当になるからな?」
マリーに向かって箸を突きつけ、軽く叱咤しておく。
実際、マリーの言うことも良く解る。俺にしても正直に言って飽きてきたから。
「主に下衆よ。真っ当なことを真顔で言うでないわっ! はぁ――豚の餌に等しい監獄の臭い飯よりは、ずっと良いと思うしかないの」
向日葵の種を頬袋一杯に貯め込んだハムスターのように、幼くも可愛い頬っぺたを膨らましてむくれるマリー。
「その点、ミサは電気とやらの補給だけで良いのじゃからな? 妾の気持ちも解る筈もないて」
ミサに向かって力なく愚痴るマリー。
愚痴られたミサは反応しない。何故なら現在は充電中だから。
スカートの裾から伸び出ている妙なコードをコンセントに挿していた。
美少女にあるまじきいけない恍惚の惚け顔で虚空を見つめているので、マリーの話を全く聴いちゃいないって訳。
一体、身体の何処に繋がっているのか。そこが非常に気になる――。
「マリーの気持ちは解るけどな? ちゃんと食べたらあとなら――そうだな、ご褒美にアイス食べて良いから」
「小童扱いす――な? ア、アイスとなっ⁉︎ それはもしや至高の逸品……ア、アイスクリームとやらのことかっ⁉︎」
アイスと耳にした途端、小学校の給食御用達のフォークスプーンで掬って口に運んでいたマリーの手が止まる。
そのまま固まって、油の切れた人形の如きぎこちない動作で、ギギギっと俺の方に顔を向けた。
「左様に御座います、マリーお嬢様……ぷ。下衆徒君のようにはいかんか。俺には似合わん」
下衆徒君の良くやる執事の嗜みの真似をして、マリーにそうだよと伝えてみた。
「マイロード、滅相も御座いませんっ⁉︎」
「下衆、さっさと食せっ! ア、アイスクリームぞっ! アアア、アイスクリームっ! あぁ……何と甘美な響きであろうか――」
うっとりと虚空を見つめ、心は既にアイスクリームで一杯のようなマリー。
豪華な幕の内弁当を、ほぼ機械的に口に運んでいた。
◇◇◇
皆で苦痛な食事を終えたあと、冷凍庫から三個のアイスクリームを持ってきてやった。
「おぉ……至高の逸品が……遂に……遂に妾の元へ――」
お預けを食らっているだらしない犬のように、忙しなく待つマリーの目は血走って涎ダラダラ。
アイスクリームを動かすと、それを追いかけるように視線を動かす――結構、面白い。
「大袈裟だな……って、確かに久し振りか。マリーは苺とバニラとチョコ、どれが良い? ちなみに全部ってのはなしだ」
「い、言おうとしたことを先に遮るでないわっ! ――ううう……どれも甲乙つけ難い……なんとも悩ましい。うむむ、芳醇な苺……否、香ばしいチョコ。いやいや、懐かしくも純粋なバニラも捨て難い……うむむ」
目が大きく見開かれた真剣な眼差しになって、俺の手にあるアイスクリームを交互に見比べ、これまた真剣な顰めっ面で悩んでいた。
「しゃーないな。二つ選んで、マリー。俺の分も食べて良いいから」
「なんと⁉︎ ぬ、主がどうしてもと言うのなら、止むなく妾がもう一個を貰ってやってもやぶさかではないが……」
「でもな、マリー。今はどっちか一個な? お腹を壊すと大変だし」
「こ、小童扱いするでないわっ⁉︎ こ、このような姿でも、妾は妙齢の大人ぞっ⁉︎」
「はいはい、そうでした。マリーは大人だね? だったらちゃんと我慢もできるよね?」
「くっ、小童をあやすようなその言い草が、妙に気に入らぬが……ならば!」
そう、むくれて言い放ったあとで――。
「……って、おい!」
「――主よ。苺のアイスをあ~んだ。次は妾からもあ~んだ。早うせい」
いきなり俺の胡座の上にどっかりと座り、見上げるように強請ってくるときた。
「マイロード、マリアお嬢様。私はとても……とても羨ましく思います。差し出がましく恐縮に御座いますが……私も是非とも御二方と……あ~んなる行為を――」
下衆いおっさんの醜悪な面を、後光が差すほどの笑顔に歪めて身悶える下衆徒君。
キモい。まぢキモい。
「絶対に嫌じゃっ! 妾が穢れるっ! 孕むっ!」
「相変わらず歪みねーのな。マリーに激しく同意。俺もちょっと――」
ほぼ同じタイミングで下衆徒君を否定する。
「おっふ。御二方共に容赦ない仕打ち――はぁはぁ」
「変態めっ!」「変態だな」「おっふ」
結局、下衆徒君は一人寂しくアイスクリームを頬張り、俺とマリーは苺アイスを交互に半分っこした――。
――――――――――
悪戯はまだまだ続く。(笑)
一昨日の廃棄で戴いた、五〇〇円もする豪華な幕内弁当を前に、緑色のジャージ姿のマリーがむくれて愚痴る。
そりゃ……全く同じ弁当が昼夜問わず三日間も続いたら、文句の一つも言いたくなるわな。
「マリアお嬢様。私共は咎人。贅沢を申されてはなりません。食事も満足に摂れない下賤の者も、大勢、存在するのですから。ありつけるだけ良しとお考え下さい」
黙々と食べていた、同じく緑色のジャージ姿な下衆徒君は、下衆なおっさんとは思えない真面目顔でマリーを諫める。
いつも思うけども、できた従者だよね。
見てくれは最悪最低だけど。
「無理に食べなくても良いけど、明日も明後日もその弁当になるからな?」
マリーに向かって箸を突きつけ、軽く叱咤しておく。
実際、マリーの言うことも良く解る。俺にしても正直に言って飽きてきたから。
「主に下衆よ。真っ当なことを真顔で言うでないわっ! はぁ――豚の餌に等しい監獄の臭い飯よりは、ずっと良いと思うしかないの」
向日葵の種を頬袋一杯に貯め込んだハムスターのように、幼くも可愛い頬っぺたを膨らましてむくれるマリー。
「その点、ミサは電気とやらの補給だけで良いのじゃからな? 妾の気持ちも解る筈もないて」
ミサに向かって力なく愚痴るマリー。
愚痴られたミサは反応しない。何故なら現在は充電中だから。
スカートの裾から伸び出ている妙なコードをコンセントに挿していた。
美少女にあるまじきいけない恍惚の惚け顔で虚空を見つめているので、マリーの話を全く聴いちゃいないって訳。
一体、身体の何処に繋がっているのか。そこが非常に気になる――。
「マリーの気持ちは解るけどな? ちゃんと食べたらあとなら――そうだな、ご褒美にアイス食べて良いから」
「小童扱いす――な? ア、アイスとなっ⁉︎ それはもしや至高の逸品……ア、アイスクリームとやらのことかっ⁉︎」
アイスと耳にした途端、小学校の給食御用達のフォークスプーンで掬って口に運んでいたマリーの手が止まる。
そのまま固まって、油の切れた人形の如きぎこちない動作で、ギギギっと俺の方に顔を向けた。
「左様に御座います、マリーお嬢様……ぷ。下衆徒君のようにはいかんか。俺には似合わん」
下衆徒君の良くやる執事の嗜みの真似をして、マリーにそうだよと伝えてみた。
「マイロード、滅相も御座いませんっ⁉︎」
「下衆、さっさと食せっ! ア、アイスクリームぞっ! アアア、アイスクリームっ! あぁ……何と甘美な響きであろうか――」
うっとりと虚空を見つめ、心は既にアイスクリームで一杯のようなマリー。
豪華な幕の内弁当を、ほぼ機械的に口に運んでいた。
◇◇◇
皆で苦痛な食事を終えたあと、冷凍庫から三個のアイスクリームを持ってきてやった。
「おぉ……至高の逸品が……遂に……遂に妾の元へ――」
お預けを食らっているだらしない犬のように、忙しなく待つマリーの目は血走って涎ダラダラ。
アイスクリームを動かすと、それを追いかけるように視線を動かす――結構、面白い。
「大袈裟だな……って、確かに久し振りか。マリーは苺とバニラとチョコ、どれが良い? ちなみに全部ってのはなしだ」
「い、言おうとしたことを先に遮るでないわっ! ――ううう……どれも甲乙つけ難い……なんとも悩ましい。うむむ、芳醇な苺……否、香ばしいチョコ。いやいや、懐かしくも純粋なバニラも捨て難い……うむむ」
目が大きく見開かれた真剣な眼差しになって、俺の手にあるアイスクリームを交互に見比べ、これまた真剣な顰めっ面で悩んでいた。
「しゃーないな。二つ選んで、マリー。俺の分も食べて良いいから」
「なんと⁉︎ ぬ、主がどうしてもと言うのなら、止むなく妾がもう一個を貰ってやってもやぶさかではないが……」
「でもな、マリー。今はどっちか一個な? お腹を壊すと大変だし」
「こ、小童扱いするでないわっ⁉︎ こ、このような姿でも、妾は妙齢の大人ぞっ⁉︎」
「はいはい、そうでした。マリーは大人だね? だったらちゃんと我慢もできるよね?」
「くっ、小童をあやすようなその言い草が、妙に気に入らぬが……ならば!」
そう、むくれて言い放ったあとで――。
「……って、おい!」
「――主よ。苺のアイスをあ~んだ。次は妾からもあ~んだ。早うせい」
いきなり俺の胡座の上にどっかりと座り、見上げるように強請ってくるときた。
「マイロード、マリアお嬢様。私はとても……とても羨ましく思います。差し出がましく恐縮に御座いますが……私も是非とも御二方と……あ~んなる行為を――」
下衆いおっさんの醜悪な面を、後光が差すほどの笑顔に歪めて身悶える下衆徒君。
キモい。まぢキモい。
「絶対に嫌じゃっ! 妾が穢れるっ! 孕むっ!」
「相変わらず歪みねーのな。マリーに激しく同意。俺もちょっと――」
ほぼ同じタイミングで下衆徒君を否定する。
「おっふ。御二方共に容赦ない仕打ち――はぁはぁ」
「変態めっ!」「変態だな」「おっふ」
結局、下衆徒君は一人寂しくアイスクリームを頬張り、俺とマリーは苺アイスを交互に半分っこした――。
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悪戯はまだまだ続く。(笑)
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