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第一部 現代編――。
第五話 コンビニの夜勤、実は忙しい。
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「口程にもない。なんと嘆かわしい」
「あれなる下等種など、マリアお嬢様のお手にかかれば、蚤に等しい害虫に過ぎません」
美幼女と下衆いおっさんに姿を戻された二人が愚痴る通り遊ぶ間もなく、ほんの僅かな一瞬で終わってしまったのだった。
争うと言った表現すら不要なほど、圧倒的な暴力で。かつ一方的に。
それを証明するかの如く、辺り一帯に錆びた鉄の臭いと生臭さが充満する。
壁や電柱には飛び散った赤黒い染み。
道には元が解らないほどにミンチと化した肉片と、舗装路が抉れてできた血溜まり。
「ま、そうなのじゃが――えーいっ、近こう寄るなと言っておろうが、下衆っ! 妾が穢れるっ! 孕むっ! 虫唾がはしるっ! 吐き気もしよるっ! 鳥肌も立つっ!」
「お褒めに与り、光栄に御座います――はぁはぁ」
「戯け、うつけ者がっ! 妾は褒めてなんぞおらぬわっ! 貴様の頭は常にお花畑かっ!」
恍惚とするおっさんと激昂する美幼女。
傍目から客観的に見ても、変。
「しかし忌々しい。事が済めば直ぐにこの形じゃ。……もう少し長く遊びたかったのにのぅ」
「止むを得ません。何度も進言しております通り、命があるだけ良しとしましょう……私めなぞ、醜悪極まりないこのような姿で――はぁはぁ」
「貴様はその姿を存外に喜んで満喫しておろうがっ! まさかの変態紳士に加えて更にM属性付きとは、流石に妾もドン引きじゃっ! ――全く、ミジンコ程度の僅かばかりは同情しておったと言うのに……」
「お褒めに与り、光栄に御座います――はぁはぁ」
「だーかーらーっ! 妾は褒めてなんぞおらぬと言うておろーがっ! 惚けるでないわっ! それ以上、醜悪な面を妾に向けるでないわっ! 妾が穢れるっ! 孕むっ! このうつけ者めがっ!」
「はぁはぁ――うぅっ⁉︎」
『マリー様、罵れば罵るほどにドツボに嵌りますゆえ、下衆様はしれっと放置された方がまだ楽かと』
「うむ。そうする――孤独に身悶えておれ、下衆」
『とても素直で好感が持てます、マリー様』
「ふんっ!」
「はぁはぁ――マリア様のツンデレを拝み、放置プレイもまた! ――はぁはぁ」
「喧しいわっ!」『存外、キモいですね』
返り血を浴びまくった美幼女のマリーと美女のミサの二人に蔑まれ、どす黒い血に塗れて恍惚の表情を浮かべる下衆徒君。
歓喜に身悶える穢らわしいおっさんが正気をを取り戻し普通に戻る頃には、銭湯に着いていた。
ただ二人の酷い有り様を目撃した銭湯の番台さんと、入浴客がドン引きだったってことは言うまでもない――。
◇◇◇
「袋はご入り用ですか? ――こちらのお弁当は温めますか? ――お煙草と冷たい品は、別けてお入れしますか?」
そんな事態になってるとは露知らない俺は、バイト先のコンビニで真面目に励んでいた。
仕事帰りで混み合うクソ忙しいラッシュ時間、押し寄せる客をテキパキと捌いているのだった――。
「家主は辛いよな……なんで俺ばかりが身を粉にして働かねばならんのか? めっさ理不尽だよなぁ……」
ぼやきながらも業務を淡々と熟す。
「コンビニの夜勤は身入りも良く暇だって言うから、バイトに入ったっつーのに。詐欺だよ、全く。アイツは今度泣かす」
俺と同じ大学でコンビニに勤める友人から教えてもらっていた話しはそんな感じだった。
だがしかし。蓋を開けてみれば、休む間もない重労働ときた。
店内清掃から検品、棚入れから発注、夜中に来店する客の相手云々。分刻みで仕事を熟さないと終わらないってんだからね。
「これなら夜の街のイケメンさんにでもなってれば良かったよ、全く……」
ぶちぶちとぼやきながらも店内清掃を終えて、厨房の掃除に取り掛かろうとした、丁度、その時だった――。
入店を知らせる、ピンポーンが鳴った。
「いらっしゃーい、ませー。少々お待ち下さいねー」
慌てて手を洗い、厨房からカウンターへと移動する。
「か、金だっ! 金を出せっ! は、早く、早くしろっ!」
顔を覆い隠す大きなマスクと、真っ黒なサングラスにニット帽。
体格を誤魔化す厚手のダウンジャケットに身を包み、極めの出刃包丁を俺に突きつける阿呆がそこに居た。
「金サン? 金サンなる人ハ、勤務してマセーンデスが?」
ワザと似非外人の喋りで応対する。
なんせ俺の見た目は名前からして、完全に異国の人なんで。
「クッソ、外人かよっ⁉︎ 言葉の意味も解らんのかテメェはっ⁉︎ えーと、金はスチール……違うな。コイン? いや、札もあるからな……」
「マネー?」「そう、それだっ! 早くしろっ!」
「マネーしろと?」「そ、そうだっ! 早くしろっ!」
「金サン出しやがれ、コンチクショー?」
右手で指鉄砲を作り、強盗相手に似非外人のフリをしたまま巫山戯る俺。
「テメェ、いい加減にしやがれっ! 殺すぞっ! ……えっと、殺すはキルだっけ?」
「合ってますよ。簡単な英語だと、『I will kill you』で通じますけど?」
「そうか、悪い、助かったわ。――って、違うわっ⁉︎ 俺が今まさにそれだっつーのっ!」
「知ってるよ――」「――がはぁ!」
俺が返事をした直後、強盗が呻きを上げて吹き飛んだ。
よっぽど運が悪いのか、吹っ飛んだ際に自動ドアの角に後頭部を打つけて、泡を噴きつつもれなく気絶してしまった。
俺は右手の指鉄砲で、単に突いてやっただけなのにね? 弱すぎ。
向こう側からこっち側に戻される際に、俺にしてもちゃんと技能などは剥奪、装具などの没収もされている。ズルもなし。
俗世間の創作で流行っている、所謂、チート的なのは、向こうの偉いさんが管理する事情と言う建前で持ち帰った、特例中の特例のミサのみ。
だがしかし。俺は異界にいた間、思い出すだけでも血の気が失せる、生きるか死ぬかの地獄の日々に耐え抜いた。
現代の各国に配備される、有名な特殊部隊の地獄の訓練が生温いと思えるほど、それこそ足元にも及ばない遥かに凌ぐ過酷さでね。
要は鍛え抜かれた自身の身体能力のみで、単に対応したに過ぎないって訳だ。
そこらのおっさんでただの暴漢如き、鎮圧するなんざ造作もないのさ。
「俺の居るコンビニに押し入らんでも……ホント、運のないおっさんだ。――さてと。警察へ連絡しないとな。面倒臭いことさせんなっての。ホント、ウザいわ」
武士の情けでパンツだけ残して裸にひん剥き、店内にある荷造り用のビニール紐で、両膝にモップを噛ませて縛ったあと、左右の親指を後ろ手で同様に縛り、ついでに股間経由の鼻フックと繋いでおき、更に目と口にはガムテープを貼って、そこらに転がしておく鬼畜な俺。
連絡を受けた警察が駆け付けた時には、目を見開き驚いていた――。
――――――――――
悪戯はまだまだ続く。(笑)
「あれなる下等種など、マリアお嬢様のお手にかかれば、蚤に等しい害虫に過ぎません」
美幼女と下衆いおっさんに姿を戻された二人が愚痴る通り遊ぶ間もなく、ほんの僅かな一瞬で終わってしまったのだった。
争うと言った表現すら不要なほど、圧倒的な暴力で。かつ一方的に。
それを証明するかの如く、辺り一帯に錆びた鉄の臭いと生臭さが充満する。
壁や電柱には飛び散った赤黒い染み。
道には元が解らないほどにミンチと化した肉片と、舗装路が抉れてできた血溜まり。
「ま、そうなのじゃが――えーいっ、近こう寄るなと言っておろうが、下衆っ! 妾が穢れるっ! 孕むっ! 虫唾がはしるっ! 吐き気もしよるっ! 鳥肌も立つっ!」
「お褒めに与り、光栄に御座います――はぁはぁ」
「戯け、うつけ者がっ! 妾は褒めてなんぞおらぬわっ! 貴様の頭は常にお花畑かっ!」
恍惚とするおっさんと激昂する美幼女。
傍目から客観的に見ても、変。
「しかし忌々しい。事が済めば直ぐにこの形じゃ。……もう少し長く遊びたかったのにのぅ」
「止むを得ません。何度も進言しております通り、命があるだけ良しとしましょう……私めなぞ、醜悪極まりないこのような姿で――はぁはぁ」
「貴様はその姿を存外に喜んで満喫しておろうがっ! まさかの変態紳士に加えて更にM属性付きとは、流石に妾もドン引きじゃっ! ――全く、ミジンコ程度の僅かばかりは同情しておったと言うのに……」
「お褒めに与り、光栄に御座います――はぁはぁ」
「だーかーらーっ! 妾は褒めてなんぞおらぬと言うておろーがっ! 惚けるでないわっ! それ以上、醜悪な面を妾に向けるでないわっ! 妾が穢れるっ! 孕むっ! このうつけ者めがっ!」
「はぁはぁ――うぅっ⁉︎」
『マリー様、罵れば罵るほどにドツボに嵌りますゆえ、下衆様はしれっと放置された方がまだ楽かと』
「うむ。そうする――孤独に身悶えておれ、下衆」
『とても素直で好感が持てます、マリー様』
「ふんっ!」
「はぁはぁ――マリア様のツンデレを拝み、放置プレイもまた! ――はぁはぁ」
「喧しいわっ!」『存外、キモいですね』
返り血を浴びまくった美幼女のマリーと美女のミサの二人に蔑まれ、どす黒い血に塗れて恍惚の表情を浮かべる下衆徒君。
歓喜に身悶える穢らわしいおっさんが正気をを取り戻し普通に戻る頃には、銭湯に着いていた。
ただ二人の酷い有り様を目撃した銭湯の番台さんと、入浴客がドン引きだったってことは言うまでもない――。
◇◇◇
「袋はご入り用ですか? ――こちらのお弁当は温めますか? ――お煙草と冷たい品は、別けてお入れしますか?」
そんな事態になってるとは露知らない俺は、バイト先のコンビニで真面目に励んでいた。
仕事帰りで混み合うクソ忙しいラッシュ時間、押し寄せる客をテキパキと捌いているのだった――。
「家主は辛いよな……なんで俺ばかりが身を粉にして働かねばならんのか? めっさ理不尽だよなぁ……」
ぼやきながらも業務を淡々と熟す。
「コンビニの夜勤は身入りも良く暇だって言うから、バイトに入ったっつーのに。詐欺だよ、全く。アイツは今度泣かす」
俺と同じ大学でコンビニに勤める友人から教えてもらっていた話しはそんな感じだった。
だがしかし。蓋を開けてみれば、休む間もない重労働ときた。
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「これなら夜の街のイケメンさんにでもなってれば良かったよ、全く……」
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「クッソ、外人かよっ⁉︎ 言葉の意味も解らんのかテメェはっ⁉︎ えーと、金はスチール……違うな。コイン? いや、札もあるからな……」
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右手で指鉄砲を作り、強盗相手に似非外人のフリをしたまま巫山戯る俺。
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「合ってますよ。簡単な英語だと、『I will kill you』で通じますけど?」
「そうか、悪い、助かったわ。――って、違うわっ⁉︎ 俺が今まさにそれだっつーのっ!」
「知ってるよ――」「――がはぁ!」
俺が返事をした直後、強盗が呻きを上げて吹き飛んだ。
よっぽど運が悪いのか、吹っ飛んだ際に自動ドアの角に後頭部を打つけて、泡を噴きつつもれなく気絶してしまった。
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向こう側からこっち側に戻される際に、俺にしてもちゃんと技能などは剥奪、装具などの没収もされている。ズルもなし。
俗世間の創作で流行っている、所謂、チート的なのは、向こうの偉いさんが管理する事情と言う建前で持ち帰った、特例中の特例のミサのみ。
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武士の情けでパンツだけ残して裸にひん剥き、店内にある荷造り用のビニール紐で、両膝にモップを噛ませて縛ったあと、左右の親指を後ろ手で同様に縛り、ついでに股間経由の鼻フックと繋いでおき、更に目と口にはガムテープを貼って、そこらに転がしておく鬼畜な俺。
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