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第一部 中二病とオタク。

十七痛 魔界対抗試合の会場に到着。

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「ここよ……」

 真野氏。目的の場所に着いたのか、やや声のトーンを下げて指し示す。

「真野氏。闘技場って……ここが?」

 場所が場所だけにメガネ、ズルッ⁉︎ と。

「な、何よっ? も、文句でもあるのっ?」

 真野氏。たわわな果実の前で腕を組んでの微妙なオコです。何故か目が泳いでる釈然としないオコです。

「真野氏。どう見たってここ――たわわな果実を激しく、なまら激しく、ばいんばいんと跳ねさせる女子高生達がたむろする、所謂、普通の体育館で単なる入口のありふれた風除室ですよね」

「うっ……。だから、何っ? い、良いから入れっつーのっ!」

 真野氏。バツが悪いのか、正しいことを言ってるのもお構いなしで理不尽にオコです。ついでに短いスカートもお構いなしのローキックで急かしてのオコです。


 とりあえず入ってみた。


「真野氏。先ほどまでの素晴らしいファンタジーさの欠片もない、まるで校長先生が朝の長話し、或いは退っ引きならない通達を全校生徒に向けて発信するような場所ですね、ここ? 朝の早よからせっせと全校生徒を缶詰にし、めっさウザい長話しを聴かせ洗脳する集会場を兼ねた、そんな学校なら何処にでもある普通の設備と言うかな場所ですよね、ここ? 青春を謳歌する運動部所属のうら若き素敵女子高生達が煌めく汗を流し、たわわな果実を激しく、なまら激しく、たゆんたゆんで自身の限界に挑み努力を励む――」

 あまりにも普通に体育館してる見慣れた光景にモヤッとしたので、詰問責めからの不敵なメガネ、クイッ!

「長いっ、長過ぎるっ! 詰問が長すぎるっ! あとさ、たわわのくだりから離れなさいよっ! まぁ……気持ちは解らなくもないけど……男の子なんだし……。でもね、聴いててモヤっとするからっ!」

 またも両腕でたわわ過ぎる果実を覆い隠してのオコです。舌を出してのあっかんべーな可愛い仕草でのオコです。男子高校生的には、速攻、恋に落ちるフォーリンラブなオコです。

「フッ――素敵過ぎる果実を前にしてそれは無理」

 文字通り、フッと鼻から息を吐く嘲笑のメガネ、クイッ! から続けての、格好つけてもあかん台詞でメガネ、キラッ! 更に視線の先は真野氏の果実。

「無理。じゃないわよっ! 格好つけて言っても最低のこと言ってんだからねっ! あと野獣の目で見ないでっ! キモ――くはないけど……アンタにじっと見られるとさ、なんかこうモヤっとするから……じゃなくてっ! もうね、さっさとこっち来なさいっ!」

 コロコロと表情が変わる情緒不安定で複雑心理なオコです。ラムネの件でなんかのフラグが立った? そんな微妙に意味深でのオコ? デレ? まぁ、そんなです。

 再びたわわな果実の間に腕を拘束して、上目遣いに見上げるオコ? デレ? まぁそんなで男子高校生的にはえっへっへ……柔っこいなぁ、良い香りだなぁ状態で強制連行された先――。


 ちょいとまぢヤバい。まぢフラグ立った?
 俺の何かも膨らんで立ちそうだけど。


「――こ、ここはっ⁉︎ 数多のあっち系で、最早、レジェンドと言わざるを得ない、素晴らしきちょっと鼻につく汗くっさい芳醇な香りの運動マットの上で、男女がしっぽりと大人の階段を登ってしまうと噂の――魅惑の体育用具室⁉︎」

 男子高校生的に嬉しくも恥ずかしいメガネ、クイッ! 放課後の誰も居ない密室に美少女と何するんだよ? と、期待と何かが膨らむ不適切なメガネ、キラッ! と。

「アンタねぇ……偏った知識のベクトル方向性が違くない? どうあってもそこに持っていく気? ――まぁ、好きに言ってなさい。ホント、男子ってなんでこんなにえっちぃのよ? 美しさは罪ね……全くしょうがないな」

 真野氏。頬を赤らめ微笑んでのフフッです。おまけに俺の額に軽いデコピンを喰らわしてのフフッです。これは確実にフォーリンラブなフフッです。


 美しさは罪ね。戴きましたー。
 激しく、なまら激しく同意です。


 おそらく想像通りの想像以上な、未だかつて経験したことのない大人な世界へと、遂にご招待される可能性が濃厚になってきたフフッです。脱ドーなんたらができそうなフフッです。

 後半、良からぬ期待に想いを馳せてのメガネ、クイッ! でキラッ! を披露していると――。

「――邪魔するわよ」

 真野氏。俺がそんなドキドキハラハラで息を荒げているのにもガン無視で、扉を豪快に開け放つ。

「――えっ?」

 体育館には誰も居ませんでしたよ?
 今は放課後ですよ?
 体育用具室にだけ断りを入れたのはなんで?
 しっぽりな先客でもご在宅なので?



 その疑問は、非現実的であり得ない光景とともに、俺の目の前でしれっと明かされるのだった――。



 ――――――――――
 これだら中二病ってやつは。
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