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番外編
銀狼のある1日(2)
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毎日、こんなに楽な仕事で良いのかと油断していると、拳銃の弾が飛んでくる事もあるそうだ。
その日は、ビルの地下駐車場で、伊丹を車に乗せる時だった。
数メートル離れた車から銃弾が放たれた。
身体能力が高い銀狼はすぐに伊丹の危険を察知するが、それと同時に成城も伊丹を守っていた。
伊丹の側近達は、銀狼と成城の動きについていけてない。
外れた弾はコンクリートの壁にめり込んでいた。
伊丹を狙った車は、もうとっくにその場を逃げ去っている。
伊丹は側近達に守られながら、もう車の中に乗っていた。
「どうして弾が飛んでくるのが分かった?」
銀狼の動きを目の当たりにして成城は尋ねる。
「銃の臭いがした。成城サンはなんで分かったの?」
銀狼も成城の機敏な動きにびっくりした。
こんな人間もいるんだと知った。
「お前の動きに反応したまでだ。ったく、お前の鼻はどうなってんだ」
そりゃ半妖だし。とは、銀狼は流石に言えない。
「あの距離からよく俺を狙ったもんだ」
命を狙われていると言うのに、全く動じない伊丹に銀狼は内心、こいつもやっぱり只者じゃないと思い直す。
「会長を殺す気はなかったようですね。威嚇して万が一当たればラッキーみたいな?」
場の雰囲気も気にせず成城は軽口を叩く。
聞こえていたのか、伊丹が後部座席の窓を開けた。
「なんだその言い方はよー。まるで俺、宝くじみてーじゃん」
呆れ顔で伊丹は笑った。
「おい、相手の顔見たか?」
伊丹が成城と銀狼に尋ねる。
「顔は見えませんでしたが、銃は撃ち慣れてますね。どこかで訓練してますよ」
「俺、見たぞ。顔の絵を描いてやる!」
銀狼が顔を見ていた事に、正直伊丹と成城は驚く。
一瞬の出来事でもあり、かなり距離も離れていて、車の中の狙撃者を普通の視力では見えるわけがない。
成城は、伊丹の舎弟が持っていた書類ケースから、裏が白紙の紙とペンを銀狼に渡した。
「こーんな顔だったぞ!」
楽しそうに銀狼は似顔絵を伊丹と成城、側近達に披露した。
「………………」
「………………」
てるてる坊主の落書きに、その場の一同の目は点になった。
「本当に見たんだからなッ!嘘じゃないぞ!」
銀狼の言葉は数日後、銀狼の嗅覚によりそのてるてる坊主を捕獲した事で立証されたのだった。
その日は、ビルの地下駐車場で、伊丹を車に乗せる時だった。
数メートル離れた車から銃弾が放たれた。
身体能力が高い銀狼はすぐに伊丹の危険を察知するが、それと同時に成城も伊丹を守っていた。
伊丹の側近達は、銀狼と成城の動きについていけてない。
外れた弾はコンクリートの壁にめり込んでいた。
伊丹を狙った車は、もうとっくにその場を逃げ去っている。
伊丹は側近達に守られながら、もう車の中に乗っていた。
「どうして弾が飛んでくるのが分かった?」
銀狼の動きを目の当たりにして成城は尋ねる。
「銃の臭いがした。成城サンはなんで分かったの?」
銀狼も成城の機敏な動きにびっくりした。
こんな人間もいるんだと知った。
「お前の動きに反応したまでだ。ったく、お前の鼻はどうなってんだ」
そりゃ半妖だし。とは、銀狼は流石に言えない。
「あの距離からよく俺を狙ったもんだ」
命を狙われていると言うのに、全く動じない伊丹に銀狼は内心、こいつもやっぱり只者じゃないと思い直す。
「会長を殺す気はなかったようですね。威嚇して万が一当たればラッキーみたいな?」
場の雰囲気も気にせず成城は軽口を叩く。
聞こえていたのか、伊丹が後部座席の窓を開けた。
「なんだその言い方はよー。まるで俺、宝くじみてーじゃん」
呆れ顔で伊丹は笑った。
「おい、相手の顔見たか?」
伊丹が成城と銀狼に尋ねる。
「顔は見えませんでしたが、銃は撃ち慣れてますね。どこかで訓練してますよ」
「俺、見たぞ。顔の絵を描いてやる!」
銀狼が顔を見ていた事に、正直伊丹と成城は驚く。
一瞬の出来事でもあり、かなり距離も離れていて、車の中の狙撃者を普通の視力では見えるわけがない。
成城は、伊丹の舎弟が持っていた書類ケースから、裏が白紙の紙とペンを銀狼に渡した。
「こーんな顔だったぞ!」
楽しそうに銀狼は似顔絵を伊丹と成城、側近達に披露した。
「………………」
「………………」
てるてる坊主の落書きに、その場の一同の目は点になった。
「本当に見たんだからなッ!嘘じゃないぞ!」
銀狼の言葉は数日後、銀狼の嗅覚によりそのてるてる坊主を捕獲した事で立証されたのだった。
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