上 下
24 / 27
本編

23

しおりを挟む
俺は人間の世界に戻って、銀狼に両親の話をした。
銀狼は嬉しそうな顔で笑う。

「分かったよ。約束する。って言うか、危ねぇことないけど?今日も成城って奴と一緒に会長の側にいただけだし。こんな仕事、楽勝楽勝」

あははは。
俺には分からない世界だ。

「でも油断はするな。お前は普通の人間じゃないんだから。あやかしだと言うことも忘れるなよ。バレたら最後だ。お前の能力は人間以上なんだから、気を緩めるなよ」

「はいはい。分かったってば。ったく、ガキの頃から同じ事ばーっか言うなよ!」

銀狼は俺に小言を言われるといつもムッとする。
はぁ。本当に分かってんのかねぇ。

「悠仁、俺な、ずっと仕事ってのをしてみたかったんだ!学校ってヤツも行けなかったしさ!でもあのバケモノ達となら楽しく仕事できそうだぜ。報酬ってヤツが出たら、焼肉奢ってやるからなッ!」

全く、人の気も知らず、無邪気にワクワクしやがって。

仕事か……。
当たり前だが、戸籍も住民票もない銀狼は学校も行けなかったし、仕事に就くことも出来なかった。でもヤクザならそんな事も関係ないのか。
難しい言葉が分からなくても、世渡りができなくても、銀狼らしく生きていけるのかもしれない。

でも、バケモノね。 
確かに、銀狼の目から見たら、伊丹会長達はバケモノだよな。
まぁ俺から見ても、確かにある意味バケモノだけど。

とりあえず、銀狼もめでたく仕事が見つかったし?今はしばらく見守るかね。
しおりを挟む

処理中です...