16 / 27
本編
15
しおりを挟む
びっくりするほどあっさりと、俺は銀狼を連れ出すことに成功した。
理由は簡単だった。
お袋がキッチンで水仕事をしていて、親父は風呂に入っていた。
その隙に俺と銀狼の脱出は成功したのだった。
銀狼を毛布で包んでいたが、玄関先に置いてある自転車に毛布を掛けて俺達は駅へと向かった。
「じいちゃんちに行くのに電車に乗るんだけど、このままじゃ銀狼を電車に乗せられないや。籠を持ってくれば良かった」
でも籠はリビングにあったので、持ってくることが出来なかった。
せっかくここまで来たが、電車に乗るのは無理だと俺は諦めた。
「とにかく、どこかに行こう。もしかしたらお父さん達が探しに来るかもしれないし」
行く当てはなかったが、銀狼となら怖くなかった。
なるべく人が多い場所にいた方が安全だと思い、少し離れた大きな駅まで歩くことにした。
銀狼は俺の足元にピッタリとくっついて付いてくる。
銀狼のおかげで俺も勇気が持てた。
日付が変わるまで捕まらなければ、銀狼をこの世界に留めることができるとだけ思った。
「こんな遅くまで、何をしているの?」
突然背後から声をかけられて俺はびっくりした。
警察官が2人、俺に声をかけてきた。
「あ、あのッ!犬の散歩です!」
「犬の散歩って、もう10時過ぎてるよ。お父さんかお母さんは一緒じゃないの?」
まずいと俺は思った。
このまま警察官に捕まれば家に連れ戻される。
あと2時間なのにと思うと俺は銀狼を見た。
「銀狼。走るよ。ついて来て」
警察官に聞こえないように呟くと俺は走り出した。もちろん銀狼も付いて来る。
「あ!こらッ!待ちなさい!」
警察官2人が俺達を追いかけてくる。
逃げ込める場所もない。
1人の警察官が手を伸ばして俺の肩を掴んだ。
「ダメだろう!急に走って逃げたりしたら危ないでしょうが!家まで送るから家を教えなさい」
ハァハァと息を荒げて警察官が言う。
もう1人の警察官も俺の腕を軽く握る。
銀狼はそんな2人の警察官の足を交互に噛んだ。
「うわッ!」
「イテッ!」
びっくりする2人の警察官を置いて、俺と銀狼は再び走り出した。
理由は簡単だった。
お袋がキッチンで水仕事をしていて、親父は風呂に入っていた。
その隙に俺と銀狼の脱出は成功したのだった。
銀狼を毛布で包んでいたが、玄関先に置いてある自転車に毛布を掛けて俺達は駅へと向かった。
「じいちゃんちに行くのに電車に乗るんだけど、このままじゃ銀狼を電車に乗せられないや。籠を持ってくれば良かった」
でも籠はリビングにあったので、持ってくることが出来なかった。
せっかくここまで来たが、電車に乗るのは無理だと俺は諦めた。
「とにかく、どこかに行こう。もしかしたらお父さん達が探しに来るかもしれないし」
行く当てはなかったが、銀狼となら怖くなかった。
なるべく人が多い場所にいた方が安全だと思い、少し離れた大きな駅まで歩くことにした。
銀狼は俺の足元にピッタリとくっついて付いてくる。
銀狼のおかげで俺も勇気が持てた。
日付が変わるまで捕まらなければ、銀狼をこの世界に留めることができるとだけ思った。
「こんな遅くまで、何をしているの?」
突然背後から声をかけられて俺はびっくりした。
警察官が2人、俺に声をかけてきた。
「あ、あのッ!犬の散歩です!」
「犬の散歩って、もう10時過ぎてるよ。お父さんかお母さんは一緒じゃないの?」
まずいと俺は思った。
このまま警察官に捕まれば家に連れ戻される。
あと2時間なのにと思うと俺は銀狼を見た。
「銀狼。走るよ。ついて来て」
警察官に聞こえないように呟くと俺は走り出した。もちろん銀狼も付いて来る。
「あ!こらッ!待ちなさい!」
警察官2人が俺達を追いかけてくる。
逃げ込める場所もない。
1人の警察官が手を伸ばして俺の肩を掴んだ。
「ダメだろう!急に走って逃げたりしたら危ないでしょうが!家まで送るから家を教えなさい」
ハァハァと息を荒げて警察官が言う。
もう1人の警察官も俺の腕を軽く握る。
銀狼はそんな2人の警察官の足を交互に噛んだ。
「うわッ!」
「イテッ!」
びっくりする2人の警察官を置いて、俺と銀狼は再び走り出した。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
付喪神、子どもを拾う。
真鳥カノ
キャラ文芸
旧題:あやかし父さんのおいしい日和
3/13 書籍1巻刊行しました!
8/18 書籍2巻刊行しました!
【第4回キャラ文芸大賞 奨励賞】頂きました!皆様のおかげです!ありがとうございます!
おいしいは、嬉しい。
おいしいは、温かい。
おいしいは、いとおしい。
料理人であり”あやかし”の「剣」は、ある日痩せこけて瀕死の人間の少女を拾う。
少女にとって、剣の作るご飯はすべてが宝物のようだった。
剣は、そんな少女にもっとご飯を作ってあげたいと思うようになる。
人間に「おいしい」を届けたいと思うあやかし。
あやかしに「おいしい」を教わる人間。
これは、そんな二人が織りなす、心温まるふれあいの物語。
※この作品はエブリスタにも掲載しております。
俺がママになるんだよ!!~母親のJK時代にタイムリープした少年の話~
美作美琴
キャラ文芸
高校生の早乙女有紀(さおとめゆき)は名前にコンプレックスのある高校生男子だ。
母親の真紀はシングルマザーで有紀を育て、彼は父親を知らないまま成長する。
しかし真紀は急逝し、葬儀が終わった晩に眠ってしまった有紀は目覚めるとそこは授業中の教室、しかも姿は真紀になり彼女の高校時代に来てしまった。
「あなたの父さんを探しなさい」という真紀の遺言を実行するため、有紀は母の親友の美沙と共に自分の父親捜しを始めるのだった。
果たして有紀は無事父親を探し出し元の身体に戻ることが出来るのだろうか?
【完結】一夜の関係を結んだ相手の正体はスパダリヤクザでした~甘い執着で離してくれません!~
中山紡希
恋愛
ある出来事をキッカケに出会った容姿端麗な男の魅力に抗えず、一夜の関係を結んだ萌音。
翌朝目を覚ますと「俺の嫁になれ」と言い寄られる。
けれど、その上半身には昨晩は気付かなかった刺青が彫られていて……。
「久我組の若頭だ」
一夜の関係を結んだ相手は……ヤクザでした。
※R18
※性的描写ありますのでご注意ください
My Doctor
west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生
病気系ですので、苦手な方は引き返してください。
初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです!
主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな)
妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ)
医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる