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●100万分の1●

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「……その件なら大丈夫ですよ。もう返済に困る事はないので」

余裕の顔で真古登は答える。
それを聞いて健は直ぐに菜々緒の顔が浮かんだ。
やっと菜々緒の事を探れると健は厳しい顔を向ける。

「それは、同居している女性に貢いでもらっているから?以前、1度彼女の働いてるコーヒーショップで私たちもお会いしてますよね?」

健の質問に、菜々緒が失踪する前に、コーヒーショップで健に会ったことを真古登も思い出した。
確かにあの時に、恋人だと言った記憶が蘇る。

「そ、そんな事まで調べてるんすか?うわッ。最悪。プライバシーの侵害じゃないですか?」

「いや、これはあくまでも私の勝手な想像ですよ?そんなに狼狽えるとは思っていなかった」

健が自分の身辺をどこまで探っているのか分からないので、真古登は何も反論できない。
とにかく、健の言うことは全て否定すしかないと思った。

「別に貢いでもらってなんかいませんよ!最近あいつも仕事を変えたんで、前より生活が楽になっただけです!前はバイトでしたが、今は正社員で毎日働いてますから!」

真古登の咄嗟の嘘に健は怒りが湧く。ここまで狡猾だとは思ってもいなかった。
真古登が言う事が本当ならば、毎日正社員で働く菜々緒が昼間や夕方に家を出て、不特定多数の男とホテルに行くわけがない。
やはり菜々緒は真古登に売春でもさせられているんだと思い、菜々緒の行動も納得ができた。

「そうですか。しかし、もし何か問題が出るようなら、私はあなたの今後を人事と相談しなくてはならない事を承知しておいてください」

健の最終忠告にも真古登はヘラヘラとしいて、はい。と受け流すように返事をするだけだった。
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