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第十二話
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テストが返ってきて、物理も赤点は免れて茉理はホッとした。
「よし!これで気分良く夏休みに突入だ!」
開放的になって茉理は言う。
「茉理先輩。じゃあ、夏休み、俺の家の別荘に来ませんか?」
背後から声をかけられて、茉理はびっくりして振り向く。
向葵がにっこり笑っている。
「向葵君か。どうしたの教室まで」
突然の向葵の出現に茉理はまだドキドキしている。
絢斗は職員室に行っていていない。向葵はまるでそれを知って来たようだった。
「だから、俺んちの別荘へのお誘いです。海の近くに別荘があって、茉理先輩と過ごしたいなと思って」
優しい瞳で向葵はそう言って茉理の髪を撫でる。
「ダメですか?」
おねだりする顔が、あまりにも可愛い仔犬に見えて茉理はキュンとなった。
「ダメって言うかッ。その、絢斗が」
「もちろん、柳井先輩も誘うつもりでしたよ。でも先に茉理先輩にお伺い立てようと思って。断られたら悲しいけど」
甘えるように向葵は言う。
「一緒に過ごしてくれませんか?茉理先輩ともっと仲良くなりたいし。来年は茉理先輩受験で忙しくなって、一緒に過ごせる夏は最初で最後かもしれないし」
目を潤ませて向葵は言う。
こんなに求められて断れるほど茉理も意志が強くない。
「うん。分かったよ。別荘にお邪魔するよ」
「やった!絶対ですよ、ドタキャンなしですよ!」
嬉しそうな向葵の笑顔を見ると、とてもじゃないがドタキャンなどできそうにないと悟った。
「もし、柳井先輩が来れなくても、ドタキャンは無しですからね」
「え?それは………………絢斗が行かないなら俺も………………」
絢斗から向葵と2人きりは禁止されているので、茉理はそれに関しては無理だと思った。
「そうなんだぁ。やっぱり友達と彼氏じゃ変わりますよね。寂しいけど、そうですよね」
ガッカリする向葵。その顔に茉理は心がズキズキする。
「そう言うんじゃないよ!大丈夫だよ!絶対行くから!絢斗も連れて行くからッ!」
「おい、俺の茉理に何してんだ?」
職員室から戻ってきた絢斗が向葵に言う。
「茉理先輩を俺の別荘に誘っていたんです。茉理先輩は来てくれるって言ってくれたので」
絢斗はムッとしながら茉理を見る。
「絢斗も行こうよッ!ねッ!」
「行かねー。夏休みは俺と2人きりで過ごすんだよ。思いっきり濃厚な時間をな」
ニヤリとして絢斗は向葵に言う。
「………………茉理先輩。行ってくれるって約束したんだけど、そっかぁ。やっぱりダメですよね。俺との約束なんて………………」
ガッカリしながら悲しそうな目で向葵は茉理を見る。
「あー!絢斗!お願い!俺、向葵君と約束しちゃったんだよ!頼む!絢斗も一緒に行ってよぉ」
板挟みになって茉理は泣きそうになっている。
「………………向葵、テメェ。マジ何考えてる?」
「別に。茉理先輩と楽しい夏を過ごしたいだけですが?」
バチバチと睨み合う絢斗と向葵。
「茉理に手出したら、マジ許さねぇぞ」
絢斗の目がマジすぎて不安になる茉理だった。
「よし!これで気分良く夏休みに突入だ!」
開放的になって茉理は言う。
「茉理先輩。じゃあ、夏休み、俺の家の別荘に来ませんか?」
背後から声をかけられて、茉理はびっくりして振り向く。
向葵がにっこり笑っている。
「向葵君か。どうしたの教室まで」
突然の向葵の出現に茉理はまだドキドキしている。
絢斗は職員室に行っていていない。向葵はまるでそれを知って来たようだった。
「だから、俺んちの別荘へのお誘いです。海の近くに別荘があって、茉理先輩と過ごしたいなと思って」
優しい瞳で向葵はそう言って茉理の髪を撫でる。
「ダメですか?」
おねだりする顔が、あまりにも可愛い仔犬に見えて茉理はキュンとなった。
「ダメって言うかッ。その、絢斗が」
「もちろん、柳井先輩も誘うつもりでしたよ。でも先に茉理先輩にお伺い立てようと思って。断られたら悲しいけど」
甘えるように向葵は言う。
「一緒に過ごしてくれませんか?茉理先輩ともっと仲良くなりたいし。来年は茉理先輩受験で忙しくなって、一緒に過ごせる夏は最初で最後かもしれないし」
目を潤ませて向葵は言う。
こんなに求められて断れるほど茉理も意志が強くない。
「うん。分かったよ。別荘にお邪魔するよ」
「やった!絶対ですよ、ドタキャンなしですよ!」
嬉しそうな向葵の笑顔を見ると、とてもじゃないがドタキャンなどできそうにないと悟った。
「もし、柳井先輩が来れなくても、ドタキャンは無しですからね」
「え?それは………………絢斗が行かないなら俺も………………」
絢斗から向葵と2人きりは禁止されているので、茉理はそれに関しては無理だと思った。
「そうなんだぁ。やっぱり友達と彼氏じゃ変わりますよね。寂しいけど、そうですよね」
ガッカリする向葵。その顔に茉理は心がズキズキする。
「そう言うんじゃないよ!大丈夫だよ!絶対行くから!絢斗も連れて行くからッ!」
「おい、俺の茉理に何してんだ?」
職員室から戻ってきた絢斗が向葵に言う。
「茉理先輩を俺の別荘に誘っていたんです。茉理先輩は来てくれるって言ってくれたので」
絢斗はムッとしながら茉理を見る。
「絢斗も行こうよッ!ねッ!」
「行かねー。夏休みは俺と2人きりで過ごすんだよ。思いっきり濃厚な時間をな」
ニヤリとして絢斗は向葵に言う。
「………………茉理先輩。行ってくれるって約束したんだけど、そっかぁ。やっぱりダメですよね。俺との約束なんて………………」
ガッカリしながら悲しそうな目で向葵は茉理を見る。
「あー!絢斗!お願い!俺、向葵君と約束しちゃったんだよ!頼む!絢斗も一緒に行ってよぉ」
板挟みになって茉理は泣きそうになっている。
「………………向葵、テメェ。マジ何考えてる?」
「別に。茉理先輩と楽しい夏を過ごしたいだけですが?」
バチバチと睨み合う絢斗と向葵。
「茉理に手出したら、マジ許さねぇぞ」
絢斗の目がマジすぎて不安になる茉理だった。
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