すいぎょのまぢわり

五嶋樒榴

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第一話

3

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ギャレットスポーツで、あーでもない、こーでもないと選びまくってやっと茉理のバッシュを買い終わると、3人はバーガーショップのサンダーズに寄った。

「絢斗はコーヒーで良いんだよな?アイス?」

茉理が聞くと絢斗は頷く。

「一哉は?」

「なになに?奢り?んじゃコーラね」

絢斗にだけ奢る訳にもいかず、茉理はチーズバーガーセットと別にコーヒーとコーラを買った。
絢斗はポテトとチョコパイ、一哉はダブルチーズバーガーとバナナマフィンを買う。

「お前ら、甘いの好きだったっけ?」

びっくりして茉理が言うと、絢斗と一哉にそれぞれ飲み物を渡す。

「ほら、やるよ」

絢斗はそう言うとチョコパイを茉理のトレイに乗せた。

「俺もー。お前ここのマフィン好きじゃん」

一哉もそう言って茉理のトレイに乗せる。

「あ、ありがとう。でも、こんなに食べられねーよ」

嬉しくて照れ隠しで茉理が言うと一哉は茉理のポテトを摘む。

「手伝ってやるよ、ポテト」

一哉が言うと茉理は笑う。

絢斗は黙々と自分のポテトを食べながら、アイスコーヒーを飲んでいる。
茉理がチーズバーガーを半分ほど食べ終えると、絢斗が茉理に手を伸ばしてきた。

「一口くれ」

絢斗はそう言うと、茉理の食べかけのチーズバーガーに噛み付いた。

「絢斗の一口でけーし」

ゲラゲラ笑う茉理と一哉。
フッと微笑む絢斗。

「良いだろ。食いたかったの」

絢斗はそう言うと茉理にチーズバーガーを返す。

「俺のも食う?」

一哉が絢斗に差し出す。

「いらん」

無表情でそう言うと、絢斗はアイスコーヒーを飲む。

「なんだよー。茉理のはすぐ欲しがるくせにー」

ムッとしながら一哉は言うが、絢斗は微笑でスルーした。
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