田辺君はずるいから

39ずるい・モテる彼氏

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並んで歩いてる間も、ムスッとしている田辺。
その横でオロオロする諭。

「菱田君と喋ってただけで怒らないでよぉ。マジ、嫉妬激しいんだから」

「嫉妬じゃないです」

速攻で反論する田辺。

「諭先輩にデレデレする奴がムカつくんです。諭先輩は俺のものなので、その諭先輩にデレデレする奴は速攻蹴散らします」

それを嫉妬と言うのではないか？と思ったが、不機嫌になるので諭はあえて黙っていた。

「それより昼は何食べます？どの学食にしますか？」

諭と田辺がランチの待ち合わせをしていたところに、八尋がたまたま遭遇してしまったので、八尋にとってはとばっちりを受けただけだった。

「パスタが良いなぁ。そろそろ寒くなってきたし、パスタグラタンも良いなぁ」

「じゃあ、それにしますか」

女子に人気の学食へ諭と田辺は入った。
ここに2人で来るのは初めてだったが、女子の視線が田辺に集中する。
ヒソヒソキャッキャッという声が諭の耳にも入ってくる。
もちろん田辺は我関せずだが、諭は田辺に熱い視線を向ける女子にムッとなる。
モテる彼氏を持つと嫉妬も激しくなる。

「どうしました？」

「もう、この学食来ないッ！」

プンスカしている諭に田辺は訳が分からない。

「どうしたんですか？不機嫌になって」

「………………ずるいよッ！俺が菱田君と話してただけで不機嫌になったのに、田辺が女の子にキャッキャッ言われるのは俺は我慢するんでしょッ！俺は田辺と違って嫉妬するからッ！」

八つ当たりなのは分かっていたが、ヤキモチを妬いて諭は拗ねる。
田辺はポカンとして諭を見る。

「何を怒ってるのかと思ったら。嫉妬するとか、かーわいい」

クスクス笑って田辺は諭の頭をポンポンする。
ムッとしながらも、嬉しくて真っ赤になる諭。
その2人を遠巻きに囲みながら、その行為に女子の歓喜の悲鳴が学食内に響き渡り、諭はなにが起きたかと焦った。