田辺君はずるいから

五嶋樒榴

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26ずるい・ご褒美

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田辺からお仕置きと言う愛情はたっぷりもらった事はあるが、自分からご褒美を催促したのは初めてだったので、諭はどうして良いか分からなくなる。

「えーと、えーとッ!ぎゅーしてキスしてぇ」

「だから、それはもう終わってますよ?それとも足りない?」

ジワジワと攻めてくる田辺。

「だって、ご褒美なんて催促したことないからッ!俺、受け身だしッ」

もうどうして良いか分からなくなる。

「シて欲しいこと、素直に言えば良いんですよ?俺にされたいこと。何をされたい?あ、具体的にね」

フフフと笑って諭を追い詰める。

「もう、ずるいよぉ。これ、ご褒美じゃないぃ。俺、追い詰められてるぅ」

「好きでしょ?追い詰められて攻められるの。諭先輩、ドMだし」

諭の耳元で田辺は囁くと、舌先で諭の耳たぶを舐める。

「ひゃあッ!」

「ほら、ご褒美おねだりしてください?」

余裕の田辺はジリジリと諭を攻め続ける。

「早くしないと、もうおねだり聞いてあげませんよ?抱っこもキスも禁止しますよ?」

「やだッ!」

焦る諭。

「…………ふ、服、田辺が、脱がして。それで、全身、キス、して」

涙目で震えながら声に出す。

「それだけ?」

諭はウルウルの目で田辺を見つめる。

「俺の、気持ち良いトコ、いっぱい、突いて」

「それだけ?」

諭はもう我慢出来なくて田辺に抱きつく。

「もう!意地悪ッ!大好きッ!」

結局諭がギブアップして、ご褒美ならぬお仕置きになってしまったのだった。
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