田辺君はずるいから

23ずるい・エプロン

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「まだ怒ってる？」

ずっと抱きしめられたまま、田辺が無口なので諭はビクビクする。

「……………怒ってます。自分に」

へ？と諭は思う。

「まさか、あんなに可愛いとか想像以上で、あんな可愛い諭先輩の写真が流出してるのを今日まで知らなかった自分に腹が立つ」

田辺の言葉に諭はキュンとする。

「り、流出は、してないと思うよ？たまたま持っていたんじゃないの？」

「それでも、2年前の写真をまだ持ってるヤツがいるって言うのも腹立つ」

田辺の独占欲に諭はキュンキュンが止まらない。

「田辺、そんな事言うとかずるいよぉ。嫉妬されてるって思っちゃうぅ」

その事については返事をしない。

「ほら、やっぱり嫉妬してるんだぁ。返事しないのもわざとでしょ」

嬉しそうに諭が言うと、田辺は諭にキスする。

「嫉妬じゃない。自分に腹立ててるだけ」

キスをしながら合間に田辺は言う。
田辺は絶対嫉妬している事を認めない。

「んんッ！……………ん」

田辺に唇や舌を吸われ、気持ち良くて息苦しい。

「諭先輩は俺のものなんだから、嫉妬する必要ないでしょ」

間近でそう言われて、否定できる訳がない。そして否定したくない。

「田辺、好き。田辺だけの俺だよ。だから、田辺にいっぱい甘えたいし、田辺にいっぱいされたい」

「諭先輩、本当に？何しても良いですか？」

頬や首筋にキスをしながら田辺は尋ねる。

「うん……………。田辺になら、何されても良い」

はぁはぁと息を乱して諭は言う。
田辺に触れられるなら、どんなことでもされたい。

「じゃあ、してください」

田辺が諭の耳を舌先で舐める。
諭は分からないのにコクンと頷く。
田辺は諭から一旦離れると、チェストから折り畳まれた白い布を出した。

「はい。これ着けてください」

田辺が諭に純白のエプロンを広げて差し出す。

「こ、これ、この前買ったやつ」

「もちろん裸でですよ」

にっこり笑う田辺。
それを聞いて諭は固まった。