田辺君はずるいから

22ずるい・仮装コンテスト

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諭が1年の時に、ハロウィンパーティーでグランプリを取った話を田辺がすると諭は青ざめた。

「ん？どうしました？」

「そ、そんな話、どこから聞いたのッ！」

焦る諭を見て田辺はふふふと笑う。

「俺も見たかったなぁ。諭先輩の仮装。どんなカッコしたんです？」

この焦り方はただ事ではないと、追い詰めるように田辺は尋ねる。

「別に、たいしたカッコしてないよッ！なんで選ばれたか不思議なくらいだッ！」

なぜ自分の黒歴史が田辺の耳に入っているのか、諭の脳内はバレたくない一心でグルグルする。


あんなの田辺が見たら、引くに決まってるッ！
女装でグランプリとかキモいだろッ！


真っ青なまま諭がテーブルに顔を突っ伏していると、田辺のスマホにLINEが届いた。

『今、3年の先輩女子から、例のコスプレ写真ゲットー。マジ可愛すぎて、俺、勃ちそうになった。ギャハハ』

LINEに送られてきた諭の仮装姿。
夢の国のプリンセス衣装を身に纏い、恥ずかしそうな笑顔の諭を見て田辺はドキッとする。


やべぇ。
マジ可愛い。
まんま女子じゃん。
友部の野郎、これ見て勃ちそうになっただと？
2度と勃たねーように、竿も玉も握り潰してやる。


「諭先輩。もう2度と仮装は禁止です」

怒ってる声に諭はびっくりして顔を上げる。

「田辺？」

びくつく諭。

「こう言う可愛いカッコは、俺以外の前でしたら、マジお仕置きですからね！」

恐ろしい形相でスマホの画面を諭に見せると、諭はムンクの絵の如く叫び声を上げる。

「なんで？なんで田辺がその写真持ってるのー！いやぁー！」

真っ赤になってバタバタする諭。

「くそッ！」

田辺は諭を乱暴に抱きしめる。

「田辺？怒っちゃやだよ！ごめんて！2度と、マジ変なカッコしないから許してよー！」

田辺の怒りが分からなくて、ただひたすら怯える諭だった。