田辺君はずるいから

五嶋樒榴

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22ずるい・仮装コンテスト

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午前中の授業が終わり、田辺は学内のカフェで時間を潰そうと歩いていた。

「よッ」

ポンと肩を叩かれて、田辺はそっちとは逆を向く。
人差し指を立てていた遥加はつまらなそうな顔をする。

「んだよ。そっち向くかふつー」

「いやーな予感がしたからだ」

つっけんどんに田辺は言い返す。

「ハロウィンぱーてーか」

ちょうど貼り出されていた、大学祭のポスターを見ながら遥加が言う。
ハロウィンパーティーは大学祭の初日に行われる。

「くだらねー。俺は興味ない」

1年の時も、リクエストされても適当にやり過ごしていた。

「仮装コンテスト出ろよ。お前のドラキュラ姿今年こそ見てーわ」

ニヤニヤして遥加は言う。

「するか。お前こそフランケンシュタインでもやりゃあ良いだろ?」

想像して似合うと田辺は思った。

「誰がそんなカッコすっか。俺のファンが泣くわ」

「ケッ」と田辺は言う。
見た目的には多少田辺に劣るも遥加もイケメンの部類に入り、田辺とは正反対の性格の社交的な遥加がモテるのは確かだった。

「あ、そう言えばこないだ会った先輩さ、1年の時に仮装コンテストでグランプリ取ったらしいぜ」

「え?それどこ情報よ」

「あの時合コンした3年の女子から聞いたー。スッゲー可愛かったらしいぜ」

そんな話は初耳で田辺はどんな仮装をしたのか想像する。


諭先輩の仮装か。
なんでも似合いそうだな。
小動物系とか、アニメキャラとか、着ぐるみも似合いそうだな。


顔が緩んでる田辺を遥加は見て笑う。

「ニヤついて気持ちわりー。何、妄想に浸ってんの?」

「いや、どんな仮装かと思ってな」

今夜聞いてみようと思いながら、先日買ったエプロンを思い出した。


そうだ。
今夜、あのエプロン着けてもーらお。


またニヤニヤする田辺に距離を取る遥加だった。
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