田辺君はずるいから

20ずるい・楽しかった

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デートも部屋でのエッチも大満足だった諭が深い眠りに着くと、田辺はシャワーを浴びにベッドから起きた。
テーブルの上に置いてある、諭から買ってもらった本を手に取る。
恋人が自分のことを、ちゃんと考えてプレゼントをしてくれたのは初めてだと田辺は思った。
プレゼントと言ったら、相手に何が欲しいのか聞いて、それを買ったり、買ってもらったり。
でも諭は、欲しい物をちゃんと覚えていてくれて、それを普通にプレゼントしてくれる。


諭先輩って、今までどんな人と付き合ってたのかな。
諭先輩ほどの彼氏がいて、なんで相手は別れたのかな。
ま、別れてくれたから、俺は諭先輩と付き合えてるんだけど。
でも、諭先輩と付き合ったら、別れたいなんて思わねーよな。
俺は絶対別れたくないな。


本を再びテーブルに戻すと、田辺はシャワーを浴びにバスルームに入って行った。
諭との出会いから、今日までの事を思い出しながらシャワーを浴びる。
あの日、エレベーターで会わなかったら、こんな気持ちになる事はなかったなと田辺は思う。
チョロチョロしたリスっぽい諭が自分の視界に入った事で、初めて知った人を好きになる気持ち。
愛しいと思う気持ち。


やべ。
マジ俺、諭先輩にハマり過ぎ。


そう思いながら顔がニヤける田辺。
そんな田辺の想いを知ることもなく、諭はスヤスヤ眠っているのだった。