田辺君はずるいから

五嶋樒榴

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20ずるい・楽しかった

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田辺の部屋のベッドの中で、田辺に抱きついている諭。
田辺は腕枕で諭の肩を抱きながら指先で肌を撫でる。

「今日のデート、本当に楽しかった」

もう100回ぐらい聞いてる気がするが、田辺は微笑んで黙って聞く。

「映画も買い物も居酒屋も、全部全部ぜーんぶ」

こんなに喜んでくれるなら、次はどこに連れて行こうかな。と田辺は初めて思った。

「ったく。素直で可愛いんだから」

諭の目尻に田辺はキスする。
んッと諭は目を閉じる。

「何度もね、楽しくって、田辺に抱き付きたい衝動に駆られたけど、グッと堪えたんだよッ!」

「抱きつけば良かったのに」

ニヤニヤして田辺が言うと、諭は口を尖らせる。

「それぐらいは我慢できるよッ!だからッ!家帰って来てからずっとくっついてんのッ」

甘え口調の諭に田辺は優しく抱きしめる。

「諭先輩は、マジ甘えん坊だな。俺ももっと諭先輩に触りたかったんですよ」

「本当?」

嬉しそうに諭は言う。

「だから、家帰ってからずっと触ってるでしょ?」

田辺の唇が諭の首筋に触れる。

「田辺。いっぱい触って。全部田辺のだよ」

田辺に触れられて快感で震えながら諭が言うと、田辺は諭の乳首を両手でキュッと摘む。

「はい。全部、もう俺のですからね。絶対誰にも触らせない。諭先輩は俺だけのものですよ」

諭を射るように見つめる田辺。
その瞳にゾクゾクする諭。
田辺に支配される悦びに諭は幸福を感じる。

「田辺、大好きッ!いっぱいキスして!」

「キスだけで良いんですか?もっとおねだりしてください」

諭に甘えられるのが好きな田辺。
それと同じぐらい、諭にエッチなことを言わせたい田辺だった。
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