田辺君はずるいから

10ずるい・不機嫌

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「でもさ、確か去年、その、コンビニで買ってたじゃん。コンビニってそんなデカいサイズ置いてたっけ？」

「あー、諭先輩が大声でコンドームって叫んだ時っすね」

「叫んでねーよッ！」

諭は思い出して恥ずかしくなる。

「緊急で買ったけど、結局はめられなくてあの日シなかったんすよ。そしたら相手がなんか怒って」

そんな事が、別れた原因の一端になるってスゲーと諭は思った。

「……………もし、その時、相手が俺でも、やっぱりシなかった？」

何を聞いたんだと諭はハッとして真っ赤になる。

「なんでもないッ！答えなくていいッ！」

恥ずかしくなって田辺の顔が見れない。
何を期待して、田辺の元カノに張り合ってるのか自分でも分からずパニックになる。
田辺は焦る諭を見てクスッと笑うと諭を抱きしめた。

「全く、そう言うところ、スゲー可愛いし。諭先輩だったら、深夜営業してるドラッグストアに買いに行ってました」

田辺の優しい言葉に、抱きしめられる温もりに、諭の顔はトロットロにとけてしまった。