田辺君はずるいから

6ずるい・晩ご飯

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話がまとまり、諭はエレベーターのボタンを押す。

「何作ってくれるのか楽しみだな」

独り言のように田辺は言う。

「肉野菜炒め」

わざとぶっきらぼうに諭は言う。

「生姜焼きが良いっす」

「キャベツの千切りめんどくせぇ」

「へー。生姜焼きだとキャベツの千切り付けてくれるんだ」

ふふふと笑って言う田辺。

「だから、肉野菜炒めって言ってんだろッ！」

ムキになる諭。
余裕の顔で諭を眺める田辺。

「生姜焼き、楽しみにしてます」

5階に着いて降りる時に、田辺はそう言って笑った。
エレベーターの扉が閉まる。
また胸がキュンとなる諭。
結局次の日の夕飯は、付け合わせにキャベツの千切りたっぷりの、生姜焼きになったのだった。