田辺君はずるいから

１ずるい・告白

2

「田辺の言い方、わからねーよ。俺が付き合いたいなら付き合うって事でしょ？」

「そう言いましたけど？」

真顔の田辺に諭はキーッとなりかける。

「そう言うの変じゃね？俺が付き合いたいなら付き合うって田辺は好きじゃないやつと付き合えるの？」

田辺はジッと諭を見る。

「好きじゃないって言ってませんよ？確かに、諭先輩ほどの熱量はないですけど？」

このバカッ！と、諭は心の中で吐き捨てた。

「逆に、諭先輩は俺のどこが好きなんです？」

あくまでも冷静な田辺。

「……………性格。自分に絶対的自信持ってそうじゃん。俺、そう言う奴に憧れるって言うか。あと、顔も。声も。体格も」

悔しいほど、全てを好きになってしまった。性格は難があるが、家柄、教養、容姿全般は正にモテるハイスペック。

「性格、好きって言われたの初めてっす。コクられて付き合っても、つまんないっていつも振られてますから」

だろーな。と、諭は頷いた。
モテ男の田辺だが、彼女が長く続いたことがないのは田辺を1年近く見ていて分かっている。
そして今はフリーの田辺。
だからこそ、次に誰かに取られる前にと意を決したのだった。