子飼-秘密の共有-

五嶋樒榴

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依存からの共存

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朝食の席で、真騎士はコーヒーを飲んでいた。
朝はいつもコーヒーだけ。 
「少しは食べた方が良いんじゃない?」
オムレツを食べながら春夜は言う。
「この生活に慣れちゃったからね。あ、今日は千葉の取引先から直帰なんだ。夕飯外に食べにいくか?」
真騎士の言葉に春夜は動きが止まった。
「そうなんだ。何時ぐらいに帰れるの?」
「家に着くのは6時ぐらいかな。久しぶりに焼肉でも行くか?」
真騎士がそう言うと春夜は考え込む。
「そうだね。僕も6時までには帰れると思うから。じゃあ、夕飯の支度しないよ」
真騎士が高校生になってから家政婦も頼まなくなった。
簡単な物だが、春夜が作ってくれるようになった。その延長で春夜は自分の分のお弁当も持っていけるときは持って行っている。
「うん。駅前の焼肉屋で良いだろ?」
「えー。たまにはもっと高級なところが良いな」
春夜が言うと真騎士は笑う。
「分かったよ。じゃあ、学校の帰り麻布で待ち合わせするか?入学祝いした店に行こう」
真騎士がそう言うと、春夜は笑った。
「やっぱりいつもの店でいいよ。制服に焼肉の匂いつくの嫌だし。真騎士さんも嫌でしょ?家で待ち合わせして着替えてから行こうよ」
春夜がそう言うと真騎士はそうだなと思った。
「じゃあ、あの店は休みの日にゆっくり行こう。今日は家で待ち合わせね」
ふたりは今夜の確認をするとそれぞれ出かけて行った。
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