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舌鮃のパイ包・シャンパーニュソース
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村瀬からの仕事を一旦終えて、広重は自分の担当へ向かった。
戻ったらまだやる事が多かったので、今夜は残業かとため息をつく。
「お疲れさん。コーヒー飲むか?」
会社に戻ると、亮がコーヒーを飲むところだったので、広重の分もコーヒーを入れた。
「ありがとう。風が強くて寒かったー」
亮が入れてくれたコーヒーを啜りながら暖をとる。
体に染み渡る。
「とりあえずコーヒーショップの方は資料作っておいた。お前が細かく付箋貼ってくれてたから分かりやすかったよ」
亮はにっこり微笑む。
広重もホッとして笑った。
ジッと亮が見つめるので、広重はやり辛い。
「あんま見るなよ」
広重はプイッと顔を背ける。
「あ、わりぃ」
亮もハッと気が付き、髪を掻いて自分の席に戻った。
広重はドキドキして顔を下に向けた。
亮の目で見つめられると変に意識してしまう。
バカだなと思いながら、広重は村瀬の書類の続きを始めた。
18時過ぎに村瀬が戻ってきたが、手に発泡スチロールの箱を持っていた。
「何すか?それ」
他の社員が村瀬に尋ねる。
「クライアントの社長から、なんだかカワハギ貰ったさ。このクッソ寒いのに釣り行ったんだと。食い切れねーからって押し付けられた」
村瀬が言うと周りはアハハと笑う。
「おーい、道明。ちょっと来いや」
広重を村瀬が呼ぶ。広重は嫌な予感がした。
「お前にやるよ。仕事手伝ってくれたお礼」
ニヤリとして村瀬は言う。
「いらないっすよー!奥さんにお土産に持って帰ってくださいよ」
広重が言うと村瀬は首を振る。
「丸ごと1匹って無理なんだよ。切り身しか買った事ないからさ。お前なら捌けるだろ?」
「村瀬さんも捌けますよね?奥さんに振る舞っては?」
逃げ腰で広重は言う。
「家の中生臭くなるのも嫌がるさ。あ、そうだ。お前んちで鍋でもすっか。おーい、吉国」
村瀬が亮を呼ぶので広重はギクリとした。
「お前今夜暇?道明んちで鍋パーティーするぞ」
「はい?」
急な話に、さすがの亮も目が点になる
「無理っすよ!鍋持ってないです!」
焦って広重は言う。
「じゃあ、俺んちでします?鍋もコンロもあるけど」
何を言い出すんだと、広重は亮を睨む。
「んじゃ、吉国の家で決定。野菜を買って持ってくから、これ先に持って帰って」
ドンと村瀬は亮にカワハギを渡す。
結局広重も強制参加になった。
戻ったらまだやる事が多かったので、今夜は残業かとため息をつく。
「お疲れさん。コーヒー飲むか?」
会社に戻ると、亮がコーヒーを飲むところだったので、広重の分もコーヒーを入れた。
「ありがとう。風が強くて寒かったー」
亮が入れてくれたコーヒーを啜りながら暖をとる。
体に染み渡る。
「とりあえずコーヒーショップの方は資料作っておいた。お前が細かく付箋貼ってくれてたから分かりやすかったよ」
亮はにっこり微笑む。
広重もホッとして笑った。
ジッと亮が見つめるので、広重はやり辛い。
「あんま見るなよ」
広重はプイッと顔を背ける。
「あ、わりぃ」
亮もハッと気が付き、髪を掻いて自分の席に戻った。
広重はドキドキして顔を下に向けた。
亮の目で見つめられると変に意識してしまう。
バカだなと思いながら、広重は村瀬の書類の続きを始めた。
18時過ぎに村瀬が戻ってきたが、手に発泡スチロールの箱を持っていた。
「何すか?それ」
他の社員が村瀬に尋ねる。
「クライアントの社長から、なんだかカワハギ貰ったさ。このクッソ寒いのに釣り行ったんだと。食い切れねーからって押し付けられた」
村瀬が言うと周りはアハハと笑う。
「おーい、道明。ちょっと来いや」
広重を村瀬が呼ぶ。広重は嫌な予感がした。
「お前にやるよ。仕事手伝ってくれたお礼」
ニヤリとして村瀬は言う。
「いらないっすよー!奥さんにお土産に持って帰ってくださいよ」
広重が言うと村瀬は首を振る。
「丸ごと1匹って無理なんだよ。切り身しか買った事ないからさ。お前なら捌けるだろ?」
「村瀬さんも捌けますよね?奥さんに振る舞っては?」
逃げ腰で広重は言う。
「家の中生臭くなるのも嫌がるさ。あ、そうだ。お前んちで鍋でもすっか。おーい、吉国」
村瀬が亮を呼ぶので広重はギクリとした。
「お前今夜暇?道明んちで鍋パーティーするぞ」
「はい?」
急な話に、さすがの亮も目が点になる
「無理っすよ!鍋持ってないです!」
焦って広重は言う。
「じゃあ、俺んちでします?鍋もコンロもあるけど」
何を言い出すんだと、広重は亮を睨む。
「んじゃ、吉国の家で決定。野菜を買って持ってくから、これ先に持って帰って」
ドンと村瀬は亮にカワハギを渡す。
結局広重も強制参加になった。
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