啓示~Luna e sole~

五嶋樒榴

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嫉妬

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ソファから立つと、二人はそのままベッドになだれ込んだ。
長谷川は、真知子の脚を開いた。さっきまで長谷川を征服していた場所に唇を付けた。
久しぶりに真知子を味わう。そして喜ぶ場所を舌で攻める。真知子のよがり声に長谷川も興奮する。
だいぶセックスを絶っていたせいか、さっきの真知子の攻めでかなり長谷川も敏感になっているので、それを鎮めるためにも徹底的に真知子を攻める。
「どうしたの?激しい」
激しく吸い付かれて、真知子は力が入らないほどイかされまくる。
「もう、だめぇ。お願い」
イきすぎて舐められてるところが変になってるが、長谷川はやめてくれない。
「いやぁん!」
失神寸前まで、長谷川の舌に翻弄された。
やっと解放されたと思うと、直ぐに長谷川が入ってきた。
「やぁん。もうそこダメぇ」
真知子の中に入れながらなおも、膨れて固くなってる敏感な蕾を指で激しく擦る。
狂おしいほど真知子は乱れる。
「さっきの仕返し。真知子だけ先に気持ちよくなったでしょ」
意地悪く言うが、本当は雑念を払いたかった。真知子を抱きながら、たまに詩音の顔がチラつく。
それが堪らなく辛い。
詩音を抱く事を否定しながらも、心の奥底では、詩音を抱きたいと思っているのかと思うと自分が怖かった。

違う。私は一度だって、詩音に不埒な事をしたいと思ったことなどない。
ただ、心配だから、顔が浮かぶだけだ。
詩音を放っておいて、快楽に溺れる自分が後ろめたいだけだ。

「いぁん!だめっ」
真知子が悲鳴に近い声を上げ、堪らなくなって長谷川に抱きつく。
「もう壊れちゃうぅ」
泣きそうな真知子の顔に余計興奮が昂まる。もう真知子は何度もイってた。
「!!!」
限界ギリギリまで真知子の中に挿れていた自身を抜き出すと外に果てた。 
真知子はぐったりして動かない。長谷川もベッドに横になった。 
少し落ち着いてくると、真知子が長谷川の胸板に頬を乗せる。
「こんなに激しい修司久しぶりだったから驚いた。そんなに溜まってた?」
冗談交じりに真知子は言う。
「そうだね。最後に抱いた女は、真知子と最後にして以来だ」
真知子に腕枕をして、静かに長谷川は答える。
「嘘でしょ。いつもは物静かに見えるけど、実はすごいくせに」
真知子は信じられなかった。真知子も長谷川と付き合う前は、長谷川は紳士で、セックスも淡白だと思っていた。しかし、実際は今まで付き合ってきた男の中で一番テクニシャンだと身体に教えられた。
「機会がなかったのさ。出会いもないしね」
長谷川はそう言って真知子に被さりキスをする。
「そろそろ帰るよ。日付が変わるから」
ベッドから起きると長谷川はシャワーを浴びに行った。
シャワーから出てくると、ワイシャツを着てネクタイを締め時計をはめた。スーツの上着を着ると手でシワを伸ばした。靴べらを使って革靴を履く。
その一連の仕草を真知子は見惚れながら眺めていた。
「ずるいほど余裕ね。女を置いて帰る感想は?色男さん」
真知子は憎まれ口を叩いた。
次また会えるのは未定。その前に、もう会えなくなると言う選択肢もある。
「元気で」
それだけ言うと、長谷川は部屋を出て行った。真知子は長谷川の着ていたバスローブを抱きしめて泣いた。
ホテルから出るとタクシーに乗り家に電話をかける。
なかなか詩音は出ない。寝ているのか、それとも何かあったのか。心配でならなかった。
何度か電話をすると、やっと詩音は電話に出た。
「詩音?」
長谷川の声を聞いて詩音はホッとした。
『先生、今どこ?』
「タクシーの中。道も空いてるから直ぐ帰れると思う」
長谷川が言うと、詩音は早く会いたくて堪らなくなる。
『寂しかったよ。何してたの?』
詩音の問いに長谷川は無言になった。
『言えないような事か。分かってたけどね』
冷たい声で詩音は言う。
『土曜日のデートは大丈夫?』
詩音が楽しみにしてるデート。長谷川はもちろんと答えた。
「何度も電話してしまったけど、もしかして寝てた?」
長谷川の問いに、今度は詩音が答えない。
勉強でもしていたかなと長谷川は思った。
「今更だけど、戸締りは大丈夫だね?眠かったら先に休んでなさい。じゃあね」
電話を切ると詩音はベッドに横になった。
「気がつくかな」
詩音はそう呟いて枕を抱きしめた。
長谷川は家に着いて玄関の鍵を開けた。
居間にも詩音がいなかったので、もう寝たかなと、部屋に入った。
「詩音、ただいま」
詩音が寝てるかもしれないので、長谷川は静かに言って、ベッドに近づく。
ベッドの近くから、独特な雄の匂いがした。ゴミ箱を見ると、それらしいティッシュを丸めた物が捨ててあった。
長谷川は分かっていたが何も言わず、うつ伏せになって枕に顔を埋めている詩音の髪を撫でた。
「……おかえり」
詩音がくぐもった声で言った。
「遅くなってすまない。起きてたんだ」
詩音の髪を撫で続ける。
「して、気持ちよかった?」
詩音の言葉に手が止まる。
「真知子さんの匂いがする」
詩音がむくれているので、長谷川はフッと笑った。
「一人にしてごめん」
長谷川はそう言って立ち上がると、腕時計を外し、スーツを脱ぎ始めた。
詩音がいじけている間にスウェットに着替えて、ゴミ箱のゴミの袋の口を閉じた。その動作から、長谷川が気がついてることを詩音も分かった。
「先生を思ってした」
そんな事言わなくても分かっていたが、長谷川は一切それに触れない。
「分かってるよ。先生は女の人が好きだって。僕だって分かってる。だから辛かった。どんなに好きになっても、先生は僕のものにならない」
悔しくて詩音は泣く。
「嫉妬で寂しくて苦しくて、先生が真知子さんとどんなことしてるのか想像もしたくなくて、だけど勝手に浮かんできて。だから、僕が先生に抱かれてること想像しながら、僕は」
長谷川は詩音を抱きしめた。
「ずるいね、私は」
詩音の気持ちを知って、最終的に拒絶しながら、こうやって詩音を抱きしめてしまう。
「ずるいよ。本当にずるい」
詩音も長谷川に抱きつく。
「もう寝よう」
布団を詩音にかける。
「好き、先生」
詩音の唇が長谷川の唇を塞ぐ。
いつもと違って、舌が唇を割ってくる。
長谷川も今夜だけはそれを許した。

本当に私はずるい。
こうやって詩音を甘えさせて、ダメにして。

そう思いながらも、詩音の舌を受け入れる。
興奮して詩音の舌が激しく長谷川の舌に絡まる。長いキスが続く。
「気持ちいい」
唇が離れると詩音が呟いた。
「今夜のことは、これで許してあげる」
詩音はそう言うと、長谷川にすっぽり収まって眠り始めた。
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