22 / 38
Act.2《これが、初恋なんだね。》
3
しおりを挟む
夕方を過ぎると保育園はお迎えラッシュになる。
「実子先生、さようならー」
可愛い天使達を笑顔で見送り、実子は美奈子の側による。
美奈子は就園時間ギリギリまで過ごすことが多いので、最近では実子が一緒に遊んで待つことが多かった。
「美奈子ちゃん、お迎えでーす」
実子は美奈子にリュックを背負わせて玄関に一緒に行く。
今日のお迎えも父親だった。
「パパ!」
嬉しそうに美奈子は父親にしがみつく。
最後まで残るのは確かに寂しいし不安なものだ。
実子も美奈子の笑顔にホッとした。
「いつもギリギリですみません」
美奈子の父親は頭を下げる。
「いえ!気にしないでお仕事頑張ってください!」
実子の笑顔に美奈子の父親もホッとして美奈子を連れて帰って行く。
「残念だったわー。今日もパパさんか」
先輩保育士が残念そうに廊下をモップ掛けしている。
「最近美奈子ちゃんのお兄ちゃんを見てないからイケメン不足だわー」
先輩保育士の言葉に実子は笑う。
実子は1度しか見たことはないが、確かにみんながイケメンと言うので顔は覚えていた。
「この仕事嫌いじゃないけど出会いがないのよねぇ。あー、美奈子ちゃんのお兄ちゃんみたいなイケメンじゃなくて良いから早く彼氏欲しいわ」
実子も掃除をしながら先輩保育士の愚痴に付き合う。
「実子先生は彼氏いそう。どんな人?」
興味津々で聞かれて実子は困った。
「い、今は、いないんですよ」
そう答えたものの、実子はまだ1度も彼氏がいたことがなかった。
25歳で処女だとはなかなか言えず、そういう話題の時は誤魔化すしかない。
「別れちゃうと次見つけるの大変よねぇ。私も別れるんじゃなかったぁ」
先輩保育士がぼやきながら他の教室の掃除に移った。
実子はため息をつく。
男と付き合うと言うのが、どう言うことなのか理解ができない。
全くモテなかった人生だと言うことはないが、引っ込み思案な性格ゆえに、人見知りも多少あった。
合コンに行っても大人しくて、気がつけば男との接点がだんだん減っていっていた。
年だけ取ってしまい、そして、付き合う相手に処女だとバレるのが年々怖くなる。
そうして頭だけで考えて、どっぷりとお一人様の生活に浸かってしまって来たのだった。
こんな自分ではいけないと思いながらも、保育士になってからは本当に出会いが全くなくなってしまった。
今更慌ててもと自分に言い聞かせるが、誕生日やクリスマスの時期は辛くなる。
「お見合いパーティー行ってみたら?」
友人達にそう簡単に言われても、実子の性格で1人でそんな所は怖くて行けない。
それでもいつかは素敵な人と恋人になれたらと、淡い期待に胸を膨らませていた。
「実子先生、さようならー」
可愛い天使達を笑顔で見送り、実子は美奈子の側による。
美奈子は就園時間ギリギリまで過ごすことが多いので、最近では実子が一緒に遊んで待つことが多かった。
「美奈子ちゃん、お迎えでーす」
実子は美奈子にリュックを背負わせて玄関に一緒に行く。
今日のお迎えも父親だった。
「パパ!」
嬉しそうに美奈子は父親にしがみつく。
最後まで残るのは確かに寂しいし不安なものだ。
実子も美奈子の笑顔にホッとした。
「いつもギリギリですみません」
美奈子の父親は頭を下げる。
「いえ!気にしないでお仕事頑張ってください!」
実子の笑顔に美奈子の父親もホッとして美奈子を連れて帰って行く。
「残念だったわー。今日もパパさんか」
先輩保育士が残念そうに廊下をモップ掛けしている。
「最近美奈子ちゃんのお兄ちゃんを見てないからイケメン不足だわー」
先輩保育士の言葉に実子は笑う。
実子は1度しか見たことはないが、確かにみんながイケメンと言うので顔は覚えていた。
「この仕事嫌いじゃないけど出会いがないのよねぇ。あー、美奈子ちゃんのお兄ちゃんみたいなイケメンじゃなくて良いから早く彼氏欲しいわ」
実子も掃除をしながら先輩保育士の愚痴に付き合う。
「実子先生は彼氏いそう。どんな人?」
興味津々で聞かれて実子は困った。
「い、今は、いないんですよ」
そう答えたものの、実子はまだ1度も彼氏がいたことがなかった。
25歳で処女だとはなかなか言えず、そういう話題の時は誤魔化すしかない。
「別れちゃうと次見つけるの大変よねぇ。私も別れるんじゃなかったぁ」
先輩保育士がぼやきながら他の教室の掃除に移った。
実子はため息をつく。
男と付き合うと言うのが、どう言うことなのか理解ができない。
全くモテなかった人生だと言うことはないが、引っ込み思案な性格ゆえに、人見知りも多少あった。
合コンに行っても大人しくて、気がつけば男との接点がだんだん減っていっていた。
年だけ取ってしまい、そして、付き合う相手に処女だとバレるのが年々怖くなる。
そうして頭だけで考えて、どっぷりとお一人様の生活に浸かってしまって来たのだった。
こんな自分ではいけないと思いながらも、保育士になってからは本当に出会いが全くなくなってしまった。
今更慌ててもと自分に言い聞かせるが、誕生日やクリスマスの時期は辛くなる。
「お見合いパーティー行ってみたら?」
友人達にそう簡単に言われても、実子の性格で1人でそんな所は怖くて行けない。
それでもいつかは素敵な人と恋人になれたらと、淡い期待に胸を膨らませていた。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる