124 / 195
新しい時が流れる
2
しおりを挟む
美紅は東堂ホールディングスの社員用通用口の前に立つと、社員証をバックから出して首に下げた。
緊張しながら社員証をセキュリティーに通して中に入る。
「おはよう!」
ロビーに環の姿があり美紅はびっくりする。
「真壁課長!おはようございます」
美紅は笑顔で環に挨拶をした。
「まさか、ここで待っていてくれると思ってなかったのでびっくりです」
嬉しそうに美紅が近付くと環は笑う。
「緊張してるだろうし、慣れない場所だから迎えにきちゃった。ちょうどコーヒーも飲みたかったし」
1階のテナントのカフェを指さして環は言う。
「今日からよろしくね。とりあえず部署に行きましょう。営業先から来るメンバーも居るから全員いないけど」
美紅が今日から勤務する企画営業部は、取締役で営業部長の法然の下で働く環が企画営業部2課の課長だった。
環と共に企画営業部に到着すると、直ぐに2課のメンバーを紹介されて、美紅は終始緊張で後半は顔が引き攣ってしまった。
法然部長は、想像以上に若くイケメンで別の意味で緊張したが、思ったより気さくでお茶目な感じもあり、美紅はここに転籍することができて良かったと安心した。
「でね、でね、本当に素敵な人ばかりだったんだよ!みんなも優しくてねッ!」
シェアハウスに戻ってから、美紅はずっと興奮して龍彦に語る。
二人はダイニングで、美紅手作りの夕飯を食べていた。
「少しは落ち着けって。楽しかったのはよく分かったから」
まるで子供だなと龍彦は笑う。
美紅はつい興奮していたことに気がつき照れ臭そうに笑った。
「でも良かったな。楽しそうな職場で好きな仕事できるなら最高じゃん。明日からも頑張れよ」
「うん!」
二人の世界になっているところに、りほと崇人が帰って来た。
「ただいまー」
「ただいま」
「おかえりなさい」
「おかえりー」
崇人がダイニングテーブルを見る。
「おー!うまそう。もしかしてビーフストロガノフ?」
嬉しそうな顔で崇人は尋ねる。
「うん。今日は初出勤だったし、ちょっと奮発して良いお肉買って来ちゃった」
美紅がシェアハウスに来てから、シェアハウスのメンバーの外食が減っていた。
「美紅ちゃんが東堂移ったから、美紅ちゃんのご飯食べる機会減っちゃうのかな」
悲しそうにりほは言う。
「美紅をアテにしないで、りほもちゃんとこれを機に飯を作れ」
龍彦が不満気に言うとりほは笑って誤魔化す。
「美紅ちゃんが来てから甘え過ぎてたよな、俺たち。前は別々に食事してたのにさ」
崇人も反省する。
「一番甘えてんのは沙優と隆和だろ。あいつら不規則なくせに美紅の飯狙ってるしさ」
「別に良いんだよぉ。私が一番早く帰って来てたんだし、食費だって言ってみんな十分すぎるほどお金出してくれてたんだもん」
別居した美紅を気持ちよく受け入れてくれたみんなに、出来ることで恩返しがしたくて始めた夕飯作りだった。
「でもこれからは仕事も大変になるし、料理は手抜きでいいからね」
りほの言葉に龍彦は吹き出す。
「おまッ!それ、お前が言う?」
呆れる龍彦に美紅と崇人も笑う。
「だって私が作ったら、食べ物じゃなくなるよ?」
それは龍彦も崇人も否定しなかった。
「ちょッ!あんたたちそこで黙るのやめてくれない?」
りほがムッとすると美紅は微笑む。
「でも後片付けとか、りほさんがほとんどやってくれるから助かります」
「でしょ?でしょ?ほらぁ、どっかのお姉ちゃんより、私は役に立ってるわよ」
沙優のことを言われると、龍彦は弟として何も言えなくなる。
緊張しながら社員証をセキュリティーに通して中に入る。
「おはよう!」
ロビーに環の姿があり美紅はびっくりする。
「真壁課長!おはようございます」
美紅は笑顔で環に挨拶をした。
「まさか、ここで待っていてくれると思ってなかったのでびっくりです」
嬉しそうに美紅が近付くと環は笑う。
「緊張してるだろうし、慣れない場所だから迎えにきちゃった。ちょうどコーヒーも飲みたかったし」
1階のテナントのカフェを指さして環は言う。
「今日からよろしくね。とりあえず部署に行きましょう。営業先から来るメンバーも居るから全員いないけど」
美紅が今日から勤務する企画営業部は、取締役で営業部長の法然の下で働く環が企画営業部2課の課長だった。
環と共に企画営業部に到着すると、直ぐに2課のメンバーを紹介されて、美紅は終始緊張で後半は顔が引き攣ってしまった。
法然部長は、想像以上に若くイケメンで別の意味で緊張したが、思ったより気さくでお茶目な感じもあり、美紅はここに転籍することができて良かったと安心した。
「でね、でね、本当に素敵な人ばかりだったんだよ!みんなも優しくてねッ!」
シェアハウスに戻ってから、美紅はずっと興奮して龍彦に語る。
二人はダイニングで、美紅手作りの夕飯を食べていた。
「少しは落ち着けって。楽しかったのはよく分かったから」
まるで子供だなと龍彦は笑う。
美紅はつい興奮していたことに気がつき照れ臭そうに笑った。
「でも良かったな。楽しそうな職場で好きな仕事できるなら最高じゃん。明日からも頑張れよ」
「うん!」
二人の世界になっているところに、りほと崇人が帰って来た。
「ただいまー」
「ただいま」
「おかえりなさい」
「おかえりー」
崇人がダイニングテーブルを見る。
「おー!うまそう。もしかしてビーフストロガノフ?」
嬉しそうな顔で崇人は尋ねる。
「うん。今日は初出勤だったし、ちょっと奮発して良いお肉買って来ちゃった」
美紅がシェアハウスに来てから、シェアハウスのメンバーの外食が減っていた。
「美紅ちゃんが東堂移ったから、美紅ちゃんのご飯食べる機会減っちゃうのかな」
悲しそうにりほは言う。
「美紅をアテにしないで、りほもちゃんとこれを機に飯を作れ」
龍彦が不満気に言うとりほは笑って誤魔化す。
「美紅ちゃんが来てから甘え過ぎてたよな、俺たち。前は別々に食事してたのにさ」
崇人も反省する。
「一番甘えてんのは沙優と隆和だろ。あいつら不規則なくせに美紅の飯狙ってるしさ」
「別に良いんだよぉ。私が一番早く帰って来てたんだし、食費だって言ってみんな十分すぎるほどお金出してくれてたんだもん」
別居した美紅を気持ちよく受け入れてくれたみんなに、出来ることで恩返しがしたくて始めた夕飯作りだった。
「でもこれからは仕事も大変になるし、料理は手抜きでいいからね」
りほの言葉に龍彦は吹き出す。
「おまッ!それ、お前が言う?」
呆れる龍彦に美紅と崇人も笑う。
「だって私が作ったら、食べ物じゃなくなるよ?」
それは龍彦も崇人も否定しなかった。
「ちょッ!あんたたちそこで黙るのやめてくれない?」
りほがムッとすると美紅は微笑む。
「でも後片付けとか、りほさんがほとんどやってくれるから助かります」
「でしょ?でしょ?ほらぁ、どっかのお姉ちゃんより、私は役に立ってるわよ」
沙優のことを言われると、龍彦は弟として何も言えなくなる。
0
お気に入りに追加
264
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる