深愛の恋人たち

五嶋樒榴

文字の大きさ
上 下
9 / 11
思い出は美しすぎて

1

しおりを挟む
長坂知英は祖母ゆいの一周忌の法事を終え、家族と一緒に家に戻ってきた。
寝室で喪服を脱ぎハンガーにかけると、ベッドに寝転んでふとスマホを見つめた。

スカイツリーの前で、とびきりの笑顔のゆいの画像。
生前ゆいを連れて、スカイツリーに行った事を思い出した。
この画像は、ある男性がスカイツリーでゆいを撮った物だった。

 そっか。
 もうあれから、1年以上経ったんだな。
 孝太郎さんだったっけ。
 元気かな。

知英はふと、ゆいが若き日に恋した男性の孫の孝太郎と、スカイツリーで会ったことを思い出した。
しおりを挟む

処理中です...