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深い眠りからの目醒め
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約束の日曜日になり、由紀子は離婚届を持って洋輔と住んでいたマンションに入った。
一週間で部屋の中は凄いことになっている。毎日コンビニ食だったのでその食べ散らかしと、脱ぎ捨てて溜まった洗濯物がリビングに散らばっていた。
「想像していた通りね。少しは洗濯しないと、ワイシャツ足りなくなってるでしょ」
由紀子は、床の洗濯物を分けて洗濯機に入れ洗濯を始めた。
「あの子を呼べばいいのに。私を気にすることないわよ。もうあなただけしか住んでないんだから」
洋輔は一言も喋らない。由紀子のやる事を目で追うだけだった。
「………俺一人じゃ、このマンションも広すぎるよ。ねえ、本当にダメ?別れたくない」
ゴミの選別を始めた由紀子の手が止まる。
「私と別れたのがお姑さんに分かれば、食事の支度と家の掃除はしてもらえそうね。私は必要ないでしょ?」
由紀子が冷たく言い放つと洋輔は由紀子の背後から抱きしめる。
「本当にごめんて!ちょっとした気の迷いだったんだ。ちょっと興味があったと言うか。本当は由紀子で満足してたんだけど、ちょっと気になって」
由紀子は洋輔を振り払った。
「ちょっとちょっととうるさいのよ!家に連れ込んだ洋輔が悪いんでしょ?頭おかしいんじゃない?私で満足して、私を愛していて、なんで女とベッド使ってんの?勘違いしないで、嫉妬じゃないから。逆よ。洋輔とこれで別れると思ったら清々してんのよ!」
由紀子が激怒している顔を初めて見て洋輔は本気で怯えた。
「もう無理だってわかってるでしょ?今日判を押してくれないなら、後のことは弁護士を通して。よりを戻すことは100%ありません!」
洋輔は悔し泣きなのか、本気で悲しいのか、ボロボロと涙を流し始めた。
由紀子は洋輔が落ち着くまで、ゴミの始末をして部屋を掃除する。
2時間も経つ頃には洋輔も決心したようで、離婚届に判を押してくれた。
「証人は私の両親にお願いしてるから。荷物は早ければ今度の土曜日に引越し屋に運んでもらうから、あなたが居なければ勝手にやるわ。鍵は全て終わったらお返しします。引越し屋の予定が決まったらすぐ連絡するわ」
由紀子は今日運べそうなものはトランクに詰めた。
「さよなら」
由紀子は最後の言葉を放つとマンションを出た。
本当に清々しい気分だった。
自由になれたら心も弾む。
実家に戻り両親に証人になってもらい、離婚届の書類は全て終わった。月曜日の昼休みに出そうと思った。
一週間で部屋の中は凄いことになっている。毎日コンビニ食だったのでその食べ散らかしと、脱ぎ捨てて溜まった洗濯物がリビングに散らばっていた。
「想像していた通りね。少しは洗濯しないと、ワイシャツ足りなくなってるでしょ」
由紀子は、床の洗濯物を分けて洗濯機に入れ洗濯を始めた。
「あの子を呼べばいいのに。私を気にすることないわよ。もうあなただけしか住んでないんだから」
洋輔は一言も喋らない。由紀子のやる事を目で追うだけだった。
「………俺一人じゃ、このマンションも広すぎるよ。ねえ、本当にダメ?別れたくない」
ゴミの選別を始めた由紀子の手が止まる。
「私と別れたのがお姑さんに分かれば、食事の支度と家の掃除はしてもらえそうね。私は必要ないでしょ?」
由紀子が冷たく言い放つと洋輔は由紀子の背後から抱きしめる。
「本当にごめんて!ちょっとした気の迷いだったんだ。ちょっと興味があったと言うか。本当は由紀子で満足してたんだけど、ちょっと気になって」
由紀子は洋輔を振り払った。
「ちょっとちょっととうるさいのよ!家に連れ込んだ洋輔が悪いんでしょ?頭おかしいんじゃない?私で満足して、私を愛していて、なんで女とベッド使ってんの?勘違いしないで、嫉妬じゃないから。逆よ。洋輔とこれで別れると思ったら清々してんのよ!」
由紀子が激怒している顔を初めて見て洋輔は本気で怯えた。
「もう無理だってわかってるでしょ?今日判を押してくれないなら、後のことは弁護士を通して。よりを戻すことは100%ありません!」
洋輔は悔し泣きなのか、本気で悲しいのか、ボロボロと涙を流し始めた。
由紀子は洋輔が落ち着くまで、ゴミの始末をして部屋を掃除する。
2時間も経つ頃には洋輔も決心したようで、離婚届に判を押してくれた。
「証人は私の両親にお願いしてるから。荷物は早ければ今度の土曜日に引越し屋に運んでもらうから、あなたが居なければ勝手にやるわ。鍵は全て終わったらお返しします。引越し屋の予定が決まったらすぐ連絡するわ」
由紀子は今日運べそうなものはトランクに詰めた。
「さよなら」
由紀子は最後の言葉を放つとマンションを出た。
本当に清々しい気分だった。
自由になれたら心も弾む。
実家に戻り両親に証人になってもらい、離婚届の書類は全て終わった。月曜日の昼休みに出そうと思った。
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