長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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溺れる人魚

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優姫は金曜日にはいつも一人で飲みに行く。
仕事から解放されるからだ。
しかし、今日は仕事の延長の飲み会に少しガッカリした。
ジェイクの歓迎会である。

「おいおい、浮かない顔だな、ユーキ」

お気楽のジェイクに優姫は心の中でため息。一夜が予約を入れた店に向かっている。

「仕事で疲れてるだけです」

そっけなく言う優姫にジェイクはますます興味を持つ。

「酒飲めば元気になるさ」

根拠のない言葉に、優姫は再びため息。
だったはずなのだが。

「んー、もう飲めないー」

優姫が酔いつぶれた。
ジェイクがテキーラ勝負を挑んで優姫はつい乗っかってしまった。
一夜は止めたが優姫が聞かなかった。

「ユーキはどこに住んでる?」

ジェイクが聞くが、誰も知らない。

「僕が連れて帰るよ」

「ユーキがこんなになるまで飲ませたのは俺のせいだし、俺が面倒みるよ」

一夜が優姫を支えながら帰ろうとするとジェイクが言った。

イケメン二人に支えられて、他の女子社員は羨ましがり、男性社員はオオカミ達に食われないか優姫を心配した。

「同じマンションで良かったわ」

ジェイクはホッとする。

「どうする?お前面倒見れる?」

一夜が心配そうに聞いた。

「ああ。お前に任せて食われたら困る」

冗談をジェイクは言う。

「じゃあ、おやすみ」

一夜とジェイクは、ジェイクの部屋の前で別れた。

「ユーキ、しっかりしろよ」

部屋に上げて、リビングに連れて行こうとした時に優姫が目を開けた。

「ぎぼぢわるい」

日本語だったので何を言っているか分からなかったが、真っ青な顔を見てヤバいと思い、ジェイクは慌ててトイレに連れて行った。間一髪セーフ。
とは行かず、ジェイクの服に思いっきり吐いてしまった。

「勘弁してくれよー」

ジェイクも優姫も汚れてしまい、とりあえず全てトイレに吐かせるとバスルームに連れて行った。
ゴミ袋に、汚れた服を全て詰め込み封をした。
下着を上下脱がせ胸をマジマジと見る。


 本当にぺったんこだな。


温めのシャワーを優しくかけて優姫の汚れと自分の汚れを落とす。
髪の毛を洗い体を洗っても、優姫はまだ朦朧としてる。

「やれやれ。まさかこんな形で裸を見るとは」

優姫をバスタオルで包むと、ベッドまで抱っこで運んだ。
疲れたジェイクも裸のまま優姫が眠る隣に横になった。
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