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ロク
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鷹雄は摂子と愛し合ってすぐに、他の愛人達全てと関係を切った。
もちろん愛人達は納得はいかなかったが、美都子が鷹雄に対して献身的に看病していたことも知っているので、美都子の手前、鷹雄が全てを切ったのだと、またほとぼりが冷めれば声が掛かると思っていた。
実際は組のシマの喫茶店で摂子を働かせ、その店の2階の事務所で鷹雄と摂子は愛し合うようになった。
元々その事務所は若い子分が居住していた為に、子分達を別の事務所に移し、鷹雄は古い家具や寝具を全て捨てて摂子との愛の巣に作り替えた。
もちろん美都子は組の事には一切口を挟めなかったので、まさか鷹雄が摂子と関係を持ったとは知る由もない。
「珍しいな。お前がこの家に来るなんてな」
仏壇に手を合わせる美都子に正二は言う。
「……別に兄さんに会いに来たわけじゃ無いけど、たまには線香でも上げないとと思ってね」
本心では、摂子のことを探りに来たのだった。
どうせ、どこで働いているかは教えてもらえないのは分かっている。
「せっちゃんはどう?」
「ああ、家の事は全てやってくれて助かるよ。鷹雄さんが他に住まいを見つけると言っていたんだが、俺のことを信用して摂子を留まらせてくれている」
下手に摂子を独り暮らしにさせるよりは、自分達の関係を美都子に誤魔化す為に、正二の所に居させた方が鷹雄にとっては都合が良く安心だった。
「ふーん。それなら摂子と結婚でもすればいいのに」
美都子は本心から言った。
そうすれば、鷹雄も摂子に執着しなくなるだろうと安易に考える。
美都子の言葉に、正二は馬鹿にするように鼻で笑う。
「結婚に何の価値がある?自由が1番良いよ。それに、摂子とそう言う関係になることも望んでいない」
冷えた家庭環境だったことで学問に走った正二は、今では大学時代の伝で関西にも事業を拡大する事を考えていて、鷹雄が可愛がっている摂子に手を出すつもりはサラサラ無く、性処理以外の面倒な色事は避けていた。
「カッコつけてるけど、どうせせっちゃんに相手にされてないだけでしょ」
美都子の言い方に、これじゃ鷹雄が美都子を愛せないのも仕方ないと思う反面、美都子のきつい性格を哀れだとも思った。
「お前がどう思おうが、俺と摂子を結婚させようなんて二度と口にするなよ」
飄々とする正二に苛立ちながらも、美都子はムッとしたまま黙り込んだ。
もちろん愛人達は納得はいかなかったが、美都子が鷹雄に対して献身的に看病していたことも知っているので、美都子の手前、鷹雄が全てを切ったのだと、またほとぼりが冷めれば声が掛かると思っていた。
実際は組のシマの喫茶店で摂子を働かせ、その店の2階の事務所で鷹雄と摂子は愛し合うようになった。
元々その事務所は若い子分が居住していた為に、子分達を別の事務所に移し、鷹雄は古い家具や寝具を全て捨てて摂子との愛の巣に作り替えた。
もちろん美都子は組の事には一切口を挟めなかったので、まさか鷹雄が摂子と関係を持ったとは知る由もない。
「珍しいな。お前がこの家に来るなんてな」
仏壇に手を合わせる美都子に正二は言う。
「……別に兄さんに会いに来たわけじゃ無いけど、たまには線香でも上げないとと思ってね」
本心では、摂子のことを探りに来たのだった。
どうせ、どこで働いているかは教えてもらえないのは分かっている。
「せっちゃんはどう?」
「ああ、家の事は全てやってくれて助かるよ。鷹雄さんが他に住まいを見つけると言っていたんだが、俺のことを信用して摂子を留まらせてくれている」
下手に摂子を独り暮らしにさせるよりは、自分達の関係を美都子に誤魔化す為に、正二の所に居させた方が鷹雄にとっては都合が良く安心だった。
「ふーん。それなら摂子と結婚でもすればいいのに」
美都子は本心から言った。
そうすれば、鷹雄も摂子に執着しなくなるだろうと安易に考える。
美都子の言葉に、正二は馬鹿にするように鼻で笑う。
「結婚に何の価値がある?自由が1番良いよ。それに、摂子とそう言う関係になることも望んでいない」
冷えた家庭環境だったことで学問に走った正二は、今では大学時代の伝で関西にも事業を拡大する事を考えていて、鷹雄が可愛がっている摂子に手を出すつもりはサラサラ無く、性処理以外の面倒な色事は避けていた。
「カッコつけてるけど、どうせせっちゃんに相手にされてないだけでしょ」
美都子の言い方に、これじゃ鷹雄が美都子を愛せないのも仕方ないと思う反面、美都子のきつい性格を哀れだとも思った。
「お前がどう思おうが、俺と摂子を結婚させようなんて二度と口にするなよ」
飄々とする正二に苛立ちながらも、美都子はムッとしたまま黙り込んだ。
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