トライアングル

五嶋樒榴

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久利・真相

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俺たちは、今まで一度もラブホを使ったことがなかった。
使う必要も無かったし、愛し合うなら俺の部屋で十分だったし。

最後に愛し合ったのはいつ?

半年前まで俺たちは正常だった。
なのに今は愛し合う目的ではなく、このこじれた関係を整理するために、不必要なこの部屋にいる。

「半年前、何があった?」

単刀直入に俺は茉莉花に尋ねた。

「ねえ。あたしいつから魅力無くなった?それとも初めからそんなものなかった?」

おいおい、今は俺が聞いてるよね?

「魅力無くなったなんてないさ。俺はずっと茉莉花だけを見て、茉莉花だけ愛していた」

それは嘘じゃない。本当だ。半年前まで、それは本当だ。
変わったのは茉莉花だ。

「頼むよ。何があったか教えてくれ。誤解ならきちんと解きたい。俺は本当にわからないんだ」

茉莉花はフッと笑った。

「誤解?久利は自覚ないんだね」

自覚も何も、俺は、本当に浮気なんかしていない。茉莉花は何を根拠にそんな事を?

「半年前、私見たの。久利が、女の人とホテルに入っていくのを」
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