僕と貴方と君と

五嶋樒榴

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可愛すぎて愛おしいんです。

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6月に入り、本格的に梅雨の時期になって来た。
明星は隆と家の中で遊ぶ事が多くなり、ふたりは体力が有り余っていた。

「まだ先だけどさ、夏休み、いっぱいプール入りたいね!」

隆が言うと明星も頷く。

「夏休みもいっぱい遊ぼうな!」

隆はよほど夏休みが楽しそうだった。

「まだ1ヶ月以上先だよ。それに宿題もいっぱい出るよ、きっと」

明星が言うと隆はつまらなそうな顔をする。

「夏休みになったら、勉強から解放されると思ってるのにさ!でも俺、明星となら楽しく勉強できるもん!」

いい笑顔で隆は言う。
インターホンが鳴ると祖母が出た。

『柊木です』

美峰の声に明星は嬉しそうな顔で反応する。

「美峰君だ!僕が出るよ!」

バタバタと明星が玄関に走って行くと、その姿を見て隆はムッとする。

「お邪魔します」

美峰が入ってくると、本当に邪魔だよ。と、隆がポツリとつぶやいた。

「これお土産だって!」

明星が嬉しそうに祖母に美峰からのお土産を渡す。

「いつもすみませんね」

「いえいえ。これも冷やせたら冷やしてください」

晩酌用のビールも渡す。

「隆君、こんにちは!久しぶりだね」

美峰が挨拶をすると、隆は敵意剥き出しで美峰を睨む。

「こんにちは」

挨拶をすると、隆は直ぐに顔をテレビに向けた。
美峰を見る明星の笑顔に隆はイライラする。
水曜日は絶対明星は隆の家には遊びに行かない。
だから美峰を見るのは嫌だが、隆が明星の家に来るしかなかった。
美峰を見てイライラしても明星と遊びたかった。

「隆、アイス食べよう」

美峰が買ってきたアイスを隆に渡すと、隆は美峰に向かっていただきますと言った。ちゃんとお礼が言えて行儀も良いので美峰も笑顔になる。

「でね、今日ね、隆と教室でね」

明星がアイスを食べながら、学校での出来事を美峰と祖母に報告する。
興奮して話していたら、明星がアイスを少し落としてしまった。

「あーあ、何してんだよ」

隆は笑いながらティッシュで明星のアイスを取って、明星のズボンを拭いてあげる。
そのふたりのやり取りが微笑ましくて可愛い。

「夏休みになったら、隆と学校のプール行くんだ!美峰君ともプール行きたいな!」

明星がおねだりすると美峰は微笑む。
そろそろ夏休みの計画も考えないとと思った。

「うん。お盆休みに、3人でプール行こうね。隆君は家族でプールや海に行くの?」

美峰が隆に尋ねる。

「海もプールも行くし、また長野のおじいちゃんちにも行く。でも、1番楽しみは明星と遊ぶ事!」

隆はそう言って美峰を睨む。
美峰は流石に、隆にヤキモチを妬かれている事に気がついた。
隆にとって明星は、とても大事な友達なんだと分かり美峰はホッとした。
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