僕と貴方と君と

旅行のおやつはひとり300円までです。

４

明星と隆は並んでゲームに夢中になっていた。

「やっぱり隆の方が上手いなぁ」

少し悔しそうに明星が言うと、隆はエヘヘと笑う。

「明星のにーちゃん、何度か見たことあるけどデカいな」

隆はテレビ画面を見ながら言う。

「うん。僕も将来、にーちゃんみたいに大きくなる予定」

明星もテレビ画面から目を離さない。

「さっきの男の人、前に校門で見た人でしょ」

「美峰君ね。素敵な人でしょ」

明星は笑顔で言う。

「うん。優しそうだな」

「美峰君は優しいよ。僕、大好きだもん」

明星の嬉しそうな顔に隆はつまらなそうな顔になる。

「俺は？」

隆の質問に明星は笑う。

「隆のことも好きだよ。大事な友達だもん」

明星の返事に隆は嬉しそうに笑う。

「俺も、明星は大事な友達だ。ずっとずっと友達」

満足そうに隆は言う。明星も嬉しそうに頷く。

「お母さんの田舎ってどこ行くの？」

明星が尋ねる。

「長野ってところ。車で行くんだ」

「僕もにーちゃんと美峰君と、美峰君の車で旅行行くんだ」

負けじと明星も言う。

「へぇー。どこ行くの？」

「イチゴ狩り。それと、水族館とか遊園地もあるって言ってた」

「楽しそうだな。俺はきっとじーちゃんと川に釣りに行く」

「そっちも楽しそうじゃん」

ふたりはゴールデンウィークが楽しみで仕方なくなってきた。

「お土産買ってくるな」

隆が言うと明星も頷く。

「僕も買ってくるね！僕、5日に帰ってくる」

「俺も5日。6日も遊ぶ？」

隆が誘う。

「良いよ。じゃあ、その時お土産あげる」

「よし！お土産持ってくるね！」

2人は、お互いの旅行が楽しみで仕方なかった。