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「俺のせいだったのか。お前と奥さんをこんな結果にしたのは。またお前を傷つけた。しかも奥さんまで。すまなかった。謝って済むことじゃないが、本当にすまない」
秀臣が謝ると遼一は首を振る。
「原因なんてどうでもいい。二人でいる選択をしたのは俺と妙子さんだ。俺たちのことに他人は関係ない」
他人と言われて、秀臣は何も言えなくなる。
「結婚してしばらくして、妙子さんは変わってきて俺をびっくりさせた。もちろん良い方にね。すっごく綺麗になって。でも俺は焦った。俺に合わせて無理をさせてるんだって」
妙子は変わった時、地味な自分が遼一の妻になったら迷惑になると言っていた。結果的に、変わった事は妙子自身のためになったが。
「素敵になっていく妙子さんが、他に好きな男を作るのが怖くなった。結婚前に約束してたんだ。妙子さんに好きな男ができたら別れるって」
髪まで短く切って変わる妙子が、遼一の事を好きだと気付いたのもその時だった。
でも遼一では、妙子に女性としての幸せをあげることができない。
「妙子さんに対して女性としての恋愛感情はないんだ。でも、そばにいるだけで精神的に落ち着く。失いたくない。捨てられたくない。だけど心の繋がりだけで、妙子さんを引き止めておくなんて自信もないし俺のエゴだ」
初めて大事にしたいと思った女性なのに、妙子を求める事ができないと訴えた。
全てを吐き出すと、遼一は再びベッドに倒れ込み、秀臣は遼一の隣に並んで寝ると腕を伸ばして遼一の髪を撫でた。
「お前は無意識にちゃんと女性として奥さんを愛してるんだな。ただ心と体が不一致なのは辛いけどな」
妙子を愛しているんだと秀臣に言われて、認めたくない自分と認めてしまいたい自分が心の中で葛藤していた。
秀臣が謝ると遼一は首を振る。
「原因なんてどうでもいい。二人でいる選択をしたのは俺と妙子さんだ。俺たちのことに他人は関係ない」
他人と言われて、秀臣は何も言えなくなる。
「結婚してしばらくして、妙子さんは変わってきて俺をびっくりさせた。もちろん良い方にね。すっごく綺麗になって。でも俺は焦った。俺に合わせて無理をさせてるんだって」
妙子は変わった時、地味な自分が遼一の妻になったら迷惑になると言っていた。結果的に、変わった事は妙子自身のためになったが。
「素敵になっていく妙子さんが、他に好きな男を作るのが怖くなった。結婚前に約束してたんだ。妙子さんに好きな男ができたら別れるって」
髪まで短く切って変わる妙子が、遼一の事を好きだと気付いたのもその時だった。
でも遼一では、妙子に女性としての幸せをあげることができない。
「妙子さんに対して女性としての恋愛感情はないんだ。でも、そばにいるだけで精神的に落ち着く。失いたくない。捨てられたくない。だけど心の繋がりだけで、妙子さんを引き止めておくなんて自信もないし俺のエゴだ」
初めて大事にしたいと思った女性なのに、妙子を求める事ができないと訴えた。
全てを吐き出すと、遼一は再びベッドに倒れ込み、秀臣は遼一の隣に並んで寝ると腕を伸ばして遼一の髪を撫でた。
「お前は無意識にちゃんと女性として奥さんを愛してるんだな。ただ心と体が不一致なのは辛いけどな」
妙子を愛しているんだと秀臣に言われて、認めたくない自分と認めてしまいたい自分が心の中で葛藤していた。
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