13 / 72
13
しおりを挟む
次の日、妙子と遼一が一緒に社食でランチをする姿に、女子社員達は騒然となる。
仕事はできるが、男っ気なしで野暮ったく目立たない妙子が、社内でも人気上位の遼一と楽しそうにランチをする姿に、何があったのかとみんなの視線が集まった。
「午後は会議なんだ。妙子さんは?」
「私は企画書作り。でも定時には上がれると思います」
二人の会話をそばにいる女子社員達は聞き耳を立てる。
「じゃあ、夕飯一緒にできそうだね」
「はい」
夕飯まで一緒に食べる仲だと分かり、女子社員達は気が気ではなく、二人の関係を知りたくてたまらない。
妙子と遼一が、ランチを終えてそれぞれの部署に向かうのに別れた途端、妙子と知り合いの女子社員達は妙子を囲む。
「ちょっと、ちょっと!繭村さん、なんで生島さんとランチしてたの?」
興味津々に殺気だっている女子社員達に妙子は内心怖いと思った。
「えーと、その、私たちの、そのッ」
慣れないことで妙子はしどろもどろになる。
昨夜は遼一に、自分たちの関係をみんなに話すと豪語しておきながら、実際はまだ誰にも話せないでいた。
「おーい、そこ、昼休みはもう終わりだぞ。仕事をしてくれよ」
課長に声をかけられて妙子はホッとした。
やっぱり怖くて、遼一とのことは話せないと思った。
「だって、繭村さんが生島さんと親しそうなんですもの。気になるじゃないですかー!」
後輩女子が唇を尖らせて言うと、課長は妙子をじっと見た。
「良かったなー繭村さん。さっき生島の部長から聞いたよ。君たち付き合い始めたんだってな。いやー、本当に良かった、良かった」
課長は、妙子がいつまでも独りだったのを心配していた上司だったので、妙子が幸せになるのが我が事のように嬉しかった。
「えー!マジ?うっそー!」
課長の言うことが信じられない女性陣。
「じゃあ、昨日の待ち合わせもデートだったんですね!」
悔しそうに妙子を見る後輩女子。
「いいから、仕事しろ!」
再び課長の声に、妙子は逃げるように自分のデスクに着き、まさか遼一がもう話していることにびっくりして生きた心地がしない。
でも、遼一の本気が分かって妙子は嬉しくなった。
仕事はできるが、男っ気なしで野暮ったく目立たない妙子が、社内でも人気上位の遼一と楽しそうにランチをする姿に、何があったのかとみんなの視線が集まった。
「午後は会議なんだ。妙子さんは?」
「私は企画書作り。でも定時には上がれると思います」
二人の会話をそばにいる女子社員達は聞き耳を立てる。
「じゃあ、夕飯一緒にできそうだね」
「はい」
夕飯まで一緒に食べる仲だと分かり、女子社員達は気が気ではなく、二人の関係を知りたくてたまらない。
妙子と遼一が、ランチを終えてそれぞれの部署に向かうのに別れた途端、妙子と知り合いの女子社員達は妙子を囲む。
「ちょっと、ちょっと!繭村さん、なんで生島さんとランチしてたの?」
興味津々に殺気だっている女子社員達に妙子は内心怖いと思った。
「えーと、その、私たちの、そのッ」
慣れないことで妙子はしどろもどろになる。
昨夜は遼一に、自分たちの関係をみんなに話すと豪語しておきながら、実際はまだ誰にも話せないでいた。
「おーい、そこ、昼休みはもう終わりだぞ。仕事をしてくれよ」
課長に声をかけられて妙子はホッとした。
やっぱり怖くて、遼一とのことは話せないと思った。
「だって、繭村さんが生島さんと親しそうなんですもの。気になるじゃないですかー!」
後輩女子が唇を尖らせて言うと、課長は妙子をじっと見た。
「良かったなー繭村さん。さっき生島の部長から聞いたよ。君たち付き合い始めたんだってな。いやー、本当に良かった、良かった」
課長は、妙子がいつまでも独りだったのを心配していた上司だったので、妙子が幸せになるのが我が事のように嬉しかった。
「えー!マジ?うっそー!」
課長の言うことが信じられない女性陣。
「じゃあ、昨日の待ち合わせもデートだったんですね!」
悔しそうに妙子を見る後輩女子。
「いいから、仕事しろ!」
再び課長の声に、妙子は逃げるように自分のデスクに着き、まさか遼一がもう話していることにびっくりして生きた心地がしない。
でも、遼一の本気が分かって妙子は嬉しくなった。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
優しい微笑をください~上司の誤解をとく方法
栗原さとみ
恋愛
仕事のできる上司に、誤解され嫌われている私。どうやら会長の愛人でコネ入社だと思われているらしい…。その上浮気っぽいと思われているようで。上司はイケメンだし、仕事ぶりは素敵過ぎて、片想いを拗らせていくばかり。甘々オフィスラブ、王道のほっこり系恋愛話。
隠れ御曹司の愛に絡めとられて
海棠桔梗
恋愛
目が覚めたら、名前が何だったかさっぱり覚えていない男とベッドを共にしていた――
彼氏に浮気されて更になぜか自分の方が振られて「もう男なんていらない!」って思ってた矢先、強引に参加させられた合コンで出会った、やたら綺麗な顔の男。
古い雑居ビルの一室に住んでるくせに、持ってる腕時計は超高級品。
仕事は飲食店勤務――って、もしかしてホスト!?
チャラい男はお断り!
けれども彼の作る料理はどれも絶品で……
超大手商社 秘書課勤務
野村 亜矢(のむら あや)
29歳
特技:迷子
×
飲食店勤務(ホスト?)
名も知らぬ男
24歳
特技:家事?
「方向音痴・家事音痴の女」は「チャラいけれど家事は完璧な男」の愛に絡め取られて
もう逃げられない――
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】
remo
恋愛
橘 あおい、30歳目前。
干からびた生活が長すぎて、化石になりそう。このまま一生1人で生きていくのかな。
と思っていたら、
初めての相手に再会した。
柚木 紘弥。
忘れられない、初めての1度だけの彼。
【完結】ありがとうございました‼
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる