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1章 1年春〜夏
※君は超絶可愛い人だから
しおりを挟むナオくんの後についていくと、こじんまりとした庭園に辿り着く。なんの特徴もないせいか夕方のこの時間は、誰もいなかった。
「そこのベンチに座るか。」
ナオくんが示した白いベンチに二人で座る。
肩が触れそうなほど近いし、ほんのりナオくんの良い匂いがする。
「で、今日はどうした?」
「あ…。あの、この間は、ヒートを起こした僕を助けてくれてありがとう。」
「当然のことをしただけだ。それ言うためにわざわざ来たのか?」
「あと、これ。」
僕はカバンからラッピングした焼き菓子を差し出す。
「家から送られて来たんだけど、地元の僕が好きなケーキ屋さんのお菓子なんだ。」
「サンキュ。」
ナオくんは差し出したお菓子を受け取る。
その後は二人して沈黙をしてしまう。
「あ、あの!ナオくんは甘い物苦手かもって思ったから、甘さ控えめのお菓子選んだからね。」
「春人は、甘いもの好きそうだな。」
ナオくんは、僕の方を見て口元を緩めながら言う。
「うん!大好き!」
僕は満面の笑みで答えた。
「やばっ!!」
ナオくんは片手で自分の顔を覆って俯いた。
「どうしたの?」
「ん、何でもない。大丈夫だ。」
ナオくんは態勢を整える。
「それで、春人。」
「何?」
「この前、俺のこと好きって言ったよな。それってそういう好き?」
ま、まさか、ナオくんからこの事を聞いてくるなんて思わなかった。
うう、不意打ち…。でも言った言葉は戻らない。きちんと答えなくちゃ。
「うん、恋愛の意味での好きって言った。多分、初めてナオくんを見た時から何となく惹かれるものがあって、友達になりたいって言ったんだ。」
僕の話を真剣に黙って聞いてくれるナオくん。
「Ωがあんまり好きじゃないのに、ナオくんは、僕に対等に接してくれるし、きちんと話を聞いてくれる。他にもたくさん良いところがあって、まだ出会って二ヶ月ちょっとだけど、接してるうちにすごく好きになったんだ。」
「うん。」
「あっ!でも!!!僕の気持ちに応えてもらおうとかそんなの全然思ってないからね!!だからナオくんは、気にしないで!できれば、今まで通り、友達でいてくれると嬉しいんだけど…。」
「そうか。」
「うん…。」
少し沈黙が続いた後、ナオくんが口を開いた。
「春人は俺がお前の気持ちに応えなくていいって言ったけど、本当に?」
「え?だって、ナオくんは、Ωが苦手でしょ?それなのに僕の気持ちに応えるとかありえないじゃない?」
「そしたら、いつか別の奴見つけて番にするのか?」
「え!?それは…ナオくんのことが好きだから、今は考えられないよ。」
「じゃあ、パートナー候補作ったりする?」
「ななな何で?」
どうしたの?何でそんなの色々聞いてくるの?
「この前、夕凪先輩が春人のパートナー候補になりたいって言ってただろ?」
「あー。ないない!僕はナオくんの友達で居られれば満足だから。」
「けど、いつかは誰かと番になるだろ?」
「ねね!ナオくん!!何でそんな事いっぱい聞いてくるの?先のことなんて分からないし、僕はナオくんのことが好きって言ってるんだけど…。」
「はあ、ごめん。」
「僕、困らせてる?」
「違う。俺の問題。初めての感情で混乱してるだけ。」
すると、ナオくんはスッと立ってしばらくジッと考えているような素振りを見せた後、座ってる僕の足元に跪く。
ナオくんってなんでいつも椅子があるのに、僕の足元に来るの!?
ドキドキする!!
「会ってみると、やっぱり春人を可愛いって思うのを止められない。」
「と、突然なに!?」
「その顔も可愛いけど、性格も可愛いし、匂いも可愛い。」
匂い!?
「俺が春人の気持ちに応えなかったら、いつかは、誰か別の奴の所に行くかもしれないって考えたら、純粋にそれは嫌だと思った。」
「それって…。」
「うん、春人を俺のものにしておきたい。」
ブルーブラックのナオくんの瞳は、はっきりと僕を捉えている。
「それって、それって…僕のことを…」
どうしよう、涙が出そうだ。
「バレてる通り、Ωは確かに苦手だった。多分今も少し。けど、そんなの関係なく俺は和倉春人という人間が愛しいと思う。そんな春人を他の誰にも触れさせたくない。」
ああ、ダメ涙出ちゃう。
「好きだ、春人。お前の気持ちに応えさせてほしい。」
「ほんとに?ほんとなの?」
「こんなことで嘘なんか言わない。」
涙が溢れる。
「泣くなんて仕方ないヤツだな。」
そう言うけどその声は優しげだった。
ナオくんはベンチに座り直して僕の後ろに手を回して肩を抱く。
わっ!
ナオくんの体温が感じられて恥ずかしくなって涙が引っ込む。
「春人。」
ナオくんが僕の名前を呼ぶから俯いた顔を上げて、ナオくんの方を見る。
「その潤んだ目で見上げてくるの反則だぞ。」
ふふん、そっか。ナオくんは、僕のこと好きだから、この『下からウルウル』は、効くんだね。
ナオくんはΩが苦手だから、こんなのはナオくんに関係ないってずっと思ってたけど。
「その余裕の顔…なんか悔しいな。」
そうナオくんは言うと、僕が被っていたフードを取って、顎に手を添えてキスをしてくる。
「んっ!んんっ!」
あっ、いつまでするの。苦しい。
僕が思わず口を開けると
ナオくんの熱い舌が割り込んで来て、僕の引っ込んだ舌を絡めとる。
ぐちゅぐちゅと僕の口の中を蹂躙して来る。
「んふっ…んあっ…」
段々気持ちが良くなってふわふわしてくる。
「はぁ……はぁ…」
長いキスが終わってもふわふわしたままだ。
「可愛い。感じた?」
ナオくんはそう言うと僕の膨らんだモノをズボンの上からさする。
「あっ。」
けど、僕も気づく。
体にフィットしたナオくんのテニスウェアー。
ナオくんのモノが短パンを破りそうな勢いで大きくなっていた。
「ナオくんのも…。」
「ごめん、我慢できないぐらいだ。けど、こんな誰かに見られそうな所でお前に触るわけにはいかない。」
ナオくんは鉄の意思で僕から距離を取る。
「今度、休みの日に一緒に出かけよう。」
雰囲気を変える為かそんな事を言ってくれる。
「うん!!」
「ほら、亮一が待ってるから、戻るぞ。」
ナオくんはフードを被り直させてから、僕を立たせた。
僕の膨らんだモノは少しずつ戻って来てるけど、ナオくんのは大きいから大変そうだ。
でも、それを無視して歩き出す。
テニス部の部室の前に着く。
「俺はシャワー浴びるから、亮一と二人で寮に帰れ。」
「うん。あっ!」
僕は借りたウィンドブレーカーを返すために脱ごうとした。
「着とけ。何のために貸したと思ってる。それ着て寮に帰っていいから。」
「でもそれじゃあ、ナオくん次着るのなくなる。」
「何着か持ってるから、気にするな。返すのはいつでもいい。」
「分かった。」
「じゃあな。」
ナオくんは最後に僕の頭をポンポンと優しく叩くと部室の中に入って行った。
僕はポーッとその背中を見て、さらに閉じられた扉を見ていた。
ナオくんが好きって言ってくれたのが夢のようで、動けない。
その扉を見ていたら、すごい勢いで開いた。
「ナオくん?」
「まだいたのか。」
そう言うと僕を抱きしめた。
「春人、お前に触れたい。いいか?」
僕は黙って頷いた。
ナオくんは僕の手を引っ張って、部室の2階まで駆け上がる。
「ここ、歴代の城之内が使ってる部屋だから。」
そう言うとたくさんある扉の一つを開けて入る。
その部屋はシャワーブースと仮眠できるような簡易なベッドがあった。
ナオくんの匂いがする…。
入ってすぐにナオくんが僕に噛み付くような激しいキスをする。僕がヒートを起こした時にしてくれたキスのように。
「んふっ、…はぁ…」
激しすぎて口の端から唾液が零れる。
いつの間にかフードも外れていた。
「ナオくんっ…んっ…はぁっ」
力が入らなくなってきてナオくんに掴まりたいのに、大きいウィンドブレーカーで手が隠れて掴まれずに、腰砕けになる。
「ごめん、俺のものにするって決めたら、抑えがきかないんだ。」
いつもクールなナオくんが僕に欲情してくれてる。
「なあ、脱がして触っていい?」
僕の再び膨らんだモノを触って聞いてくる。
「痛いことはしない。気持ちよくするだけ。」
僕はまた黙って頷く。
ナオくんの長くて綺麗な指が器用に僕のズボンのベルトを外し、僕のモノを一気に露わにする。
「ひゃっ!」
恥ずかしくてウィンドブレーカーの長い裾で前を隠す。
「それ貸したの間違いだったな。」
ナオくんはそっとウィンドブレーカーを脱がした。
そして、優しく僕のモノを触ってくる。
「あっ…んっ…。」
ちょっとの刺激でもナオくんから与えられていると思うと僕の体はふにゃふにゃになってしまう。
そんな僕の体をひょいと抱いてベッドの上に座らせた。
「下半身そんななのに、しっかり上は着てるってエロいな。」
僕は、ブレザーのジャケットを着てネクタイもきっちり締めている状態だ。
「クスッ。そんな恥ずかしがらなくても上も脱がしてやるから。」
言うが早いが僕はシャツがはだけた状態になる。
「どこもかしこも白いんだな。」
言いながらナオくんは、上を脱ぐ。
ナオくんの腹筋は完璧に鍛えられていてそれは魅力的だった。
「きついから下も脱ぐぞ。」
キツそうに閉じ込められていたナオくんのモノは、凶悪なまでに大きくて、整った顔に似合わず、そこだけ猛々しくそそり立っていた。
「ひっ!」
思わず喉がなる。
「今日いきなり入れたりしないから、大丈夫。」
僕の戸惑いを感じたナオくんがそう告げる。
そして裸のナオくんが僕にのし掛かってくる。
僕はそのまま、ベッドに倒れ込む。
裸の方がもっと綺麗だなんてずるいや。
僕は下から見上げてうっとりとした。
ナオくんは僕の乳首を指先でいじる。
「んくっ!!」
ビクビクっと反応してしまう。
それだけで、僕の先端からカウパー液が滴り落ちる。
ナオくんは、今度は僕の乳首を舐めながら、僕のモノをゆるゆると扱き始めた。
「んっ!!やぁっ!!はぁぁん。」
こんな、こんな気持ちいいなんて、おかしくなりそう。
「ナオくん、ナオくんのも触らせて。」
僕は一生懸命手を伸ばして、ナオくんの猛ったモノを触る。
僕のと全然違う重量感。
彼のモノをこんなにしてるのは僕なんだ。
そう思うとこの凶悪なモノも可愛く思える。
「ナオくんにも気持ちよくなってほしい。」
僕が丁寧に扱いていると、
「春人、お前に触られているとおかしくなりそう。悪いけど一緒に触るぞ。」
ナオくんは、僕の性器と自分のを合わせて、先ほどとは違う激しさで一緒に扱く。
「んくっ!!!はあっ!はあっ!あぁ、も、もう出そう!」
「いいよ、出しな。」
「んはぁ!……」
僕はビュルビュルっとナオくんの手の中に白い液体を出す。
ふと見るとナオくんのモノは猛ったままだった。
「春人、嫌じゃなかったら足の間に俺のを入れて。」
「うん。」
僕はナオくんに促されるまま四つんばになる。僕の閉じた足の間にナオくんの性器が挟まれ、そのまま足の間で激しく動く。
ナオくんの大きい性器が僕のダラリとしたものにも当たって刺激される。
「ふはっ…。」
繰り返しぶつかるうちに、僕のも段々大きくなってくる。
「んっ、はっ…んふっ…ああああ、ま、また出ちゃうよ。」
「俺ももうもたない。」
僕が再び白い液体を吐き出すと、ナオくんもドクドクと大量に白い液体を吐き出した。
そうして二人でベッドに横たわる。
「ナオくんが意外に強引でびっくりした。」
「春人が可愛すぎるのがいけないんだ。」
おでこにチュッとキスをされる。
「嫌だったか?」
「嫌な訳ない。嬉しかった。」
「そんな可愛いこと言うな。また収まらなくなる。でも今度こそ我慢するよ。部員が戻ってきたら、まずい。お前の声聞かせたくないからな。」
そうだった!それに、
「リョウくん待たせたままだった。」
僕たちは身なりを整えて、テニスコートに戻るとテニスを楽しそうにしているリョウくんがいた。
「二人とも遅いんですけど。何してた?」
僕は何て言っていいか分からなくて俯くと、
「春人が可愛すぎたから遅くなった。」
とリョウくんに訳の分からない事を言ったのだった。
******
一旦、ハッピーエンドになりましたが、まだこの二人の今後を書いていきたいと思っていますので、お付き合いいただけたら嬉しいです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。引き続きよろしくおねがいします。
依桃ぴの
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