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65.ルイくんとルカくん
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「前にも少し話したと思うが、この国では王家では双子が生まれ、その2人の王によって統治される。そして、2人で1人の王妃を娶る」
「2人で1人の妃……(どゆこと?)」
「2人の王によって魔力を捧げられ、双子が生まれる。」
「だが、私達の父は性格が真反対でな。仲があまり良いとはいえなかった。私とトキが生まれた時に母親が死に、短気なエミル父上は、他の妃を新しく王妃に迎えた。一途なカラム父上は、死んだ母を生涯愛し続けた」
トキ殿下が言っていた。母親を自分の魔力で殺してしまったと……
「エミル父上が新しく迎えた王妃、それがルイとルカの母親だ。だが、カラム父上はその婚姻に反対し、結果、エミル父上の魔力のみでルゥ達が生まれた。」
「だから一卵性なんですか?」
「そうだな。だが、それ故に周りの目は厳しかった。2人が生まれたことで、派閥闘争があったり、当時の王宮は荒れていた……」
派閥闘争とか怖……
「一卵性は没落国家の警鐘とも言われている」
「国を滅ぼす不幸の象徴と蔑まれ、避難され、近くに寄ってくる者達は、王の血縁という立場を利用しようと、取り入ろうとする者ばかりだった」
「そんな……」
大人の身勝手に、何の罪もない子供が振り回される
そんな理不尽は無い
「しばらくすると、トキが監禁された。王妃が死んだことを受け入れられず、死してなお、母を愛し続けたカラム父上は、トキを王妃殺しの罪で牢に監禁した」
カイリ殿下は肘掛にもたれながら頬ずえをつき、ぼんやりと床を見つめながら話し続ける
当時のことを思い出しているのか、表情はとてもつらそうだった
双子という特殊な関係性は、私が想像するよりも、特別だ
「ルゥ達は自分達のせいでトキが監禁されたと思っていたようだ。役人の間では、トキが監禁されたことにより、時期王朝を次ぐのはルゥ達であるという噂が広まった」
「トキは、母親でさえ手にかける残虐な王子として、その手は国を納めるものではなく、命を刈り取る者の手であり、触れたもは命を落とす。と国中に知れ渡った。噂とは怖いものだ。悪いことはより悪く広まる。そして、その噂が例え真実と違うものであっても、根底に消えることは無い……」
カイリ殿下は悔しそうに語り続ける
「そして、ルゥ達には、取り入ろうとする役人共が群がった……そんな環境で、誰も信じられる者はおらず、2人はただただ、心を閉ざして生きてきた……」
カイリ殿下は両手をぎゅっと握って行き場のない後悔を懺悔しているようだった
「だから宮廷内は居心地が悪い……」
「ルゥ達には寂しい幼少期を過ごさせてしまった」
と、力なく呟いた
とても寂しそうで、悲しそうで、その表情には見て取れないが、心は泣いているようだった
私はソファーから立ち上がり、カイリ殿下の目の前に歩み寄る
殿下は私の気配を感じ、目線を上げた
トキ殿下やルゥ君達、どうすることも出来なかった無力さへの後悔と悲しみが伝わってくる
私はカイリ殿下を抱きしめようと、両手を広げたところで、我に返った
私。何してるんだろっ……
待って待って!!
何も考えずに、気づいたら結構大胆なことしようとしてない?私っ!!!
気づいたら行動してるとか自分でもびっくりです
衝動的とはこのことを言うの?
広げてしまった手の引っ込め先がなく
一瞬躊躇していると
カイリ殿下は、少し驚いた様子で目を見開きつつ、そのまま私にポフンと頭を預け、腰元に腕を回した
私をギュッと掴む力ない腕
胸元に顔を埋めているカイリ殿下にびっくりしつつ、私は自然と、広げっぱなしで行き場の無くなった腕でカイリ殿下を包み、トキ殿下がそうしてくれたように、カイリ殿下の頭を撫でた
どれくらい、そうしていただろう
時間が穏やかに過ぎていった
「2人で1人の妃……(どゆこと?)」
「2人の王によって魔力を捧げられ、双子が生まれる。」
「だが、私達の父は性格が真反対でな。仲があまり良いとはいえなかった。私とトキが生まれた時に母親が死に、短気なエミル父上は、他の妃を新しく王妃に迎えた。一途なカラム父上は、死んだ母を生涯愛し続けた」
トキ殿下が言っていた。母親を自分の魔力で殺してしまったと……
「エミル父上が新しく迎えた王妃、それがルイとルカの母親だ。だが、カラム父上はその婚姻に反対し、結果、エミル父上の魔力のみでルゥ達が生まれた。」
「だから一卵性なんですか?」
「そうだな。だが、それ故に周りの目は厳しかった。2人が生まれたことで、派閥闘争があったり、当時の王宮は荒れていた……」
派閥闘争とか怖……
「一卵性は没落国家の警鐘とも言われている」
「国を滅ぼす不幸の象徴と蔑まれ、避難され、近くに寄ってくる者達は、王の血縁という立場を利用しようと、取り入ろうとする者ばかりだった」
「そんな……」
大人の身勝手に、何の罪もない子供が振り回される
そんな理不尽は無い
「しばらくすると、トキが監禁された。王妃が死んだことを受け入れられず、死してなお、母を愛し続けたカラム父上は、トキを王妃殺しの罪で牢に監禁した」
カイリ殿下は肘掛にもたれながら頬ずえをつき、ぼんやりと床を見つめながら話し続ける
当時のことを思い出しているのか、表情はとてもつらそうだった
双子という特殊な関係性は、私が想像するよりも、特別だ
「ルゥ達は自分達のせいでトキが監禁されたと思っていたようだ。役人の間では、トキが監禁されたことにより、時期王朝を次ぐのはルゥ達であるという噂が広まった」
「トキは、母親でさえ手にかける残虐な王子として、その手は国を納めるものではなく、命を刈り取る者の手であり、触れたもは命を落とす。と国中に知れ渡った。噂とは怖いものだ。悪いことはより悪く広まる。そして、その噂が例え真実と違うものであっても、根底に消えることは無い……」
カイリ殿下は悔しそうに語り続ける
「そして、ルゥ達には、取り入ろうとする役人共が群がった……そんな環境で、誰も信じられる者はおらず、2人はただただ、心を閉ざして生きてきた……」
カイリ殿下は両手をぎゅっと握って行き場のない後悔を懺悔しているようだった
「だから宮廷内は居心地が悪い……」
「ルゥ達には寂しい幼少期を過ごさせてしまった」
と、力なく呟いた
とても寂しそうで、悲しそうで、その表情には見て取れないが、心は泣いているようだった
私はソファーから立ち上がり、カイリ殿下の目の前に歩み寄る
殿下は私の気配を感じ、目線を上げた
トキ殿下やルゥ君達、どうすることも出来なかった無力さへの後悔と悲しみが伝わってくる
私はカイリ殿下を抱きしめようと、両手を広げたところで、我に返った
私。何してるんだろっ……
待って待って!!
何も考えずに、気づいたら結構大胆なことしようとしてない?私っ!!!
気づいたら行動してるとか自分でもびっくりです
衝動的とはこのことを言うの?
広げてしまった手の引っ込め先がなく
一瞬躊躇していると
カイリ殿下は、少し驚いた様子で目を見開きつつ、そのまま私にポフンと頭を預け、腰元に腕を回した
私をギュッと掴む力ない腕
胸元に顔を埋めているカイリ殿下にびっくりしつつ、私は自然と、広げっぱなしで行き場の無くなった腕でカイリ殿下を包み、トキ殿下がそうしてくれたように、カイリ殿下の頭を撫でた
どれくらい、そうしていただろう
時間が穏やかに過ぎていった
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