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50.朝廷にて
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自分のせいで体調を崩したみさきをトキに託し、カイリは王宮に戻ると朝廷に足を運んだ
毎朝繰り返されるくだらない議題と討論には頭が痛いが、国をまとめていくにはやらなければならないことは多々ある
カイリはその扉を開け、敷かれたカーペットの上を歩き、奥にある2脚の椅子の片方に座る
すると、通路脇に控えている者たちが前を向き、挨拶の姿勢に入った
まずはカイリが本日の議題を告げた
「今日をもって、トキの幽閉は解かれる。何か意見があるものは?」
一瞬にして辺りがザワつく
トキの魔力は強すぎる
ちょっとした感情により、その魔力で人を死にいたらしめることが容易にできてしまう
魔力の制御が不安定な時期に、そのことを恐れた者たちがトキを自分の身から遠ざけようとした結果が牢での幽閉だった
「恐れながら申し上げます」
1人の役人が声を上げる
「まだ二十歳を迎えられていないと記憶しております」
「一般的に魔力が安定し、魔力の暴走がなくなると言われているのが成人の年齢というだけで、その確証はどこにある?後半年だろう?これまで引き剥がされて生活してきた私の気持ちも考えたことはあるのか?」
「私が帰国してからは、トキの幽閉は解かれたはずだ。だが、今はトキ本人の希望で幽閉されているに過ぎない。違うか?」
「しかしながら……」
トキを幽閉した前国王が亡くなり、カイリが帰国したことで、トキの幽閉は解かれることとなったが、朝廷の役人から始まったトキの悪評は尾ひれが着いて国内に広がった
当時荒れていた国を整えるために、トキ自身が朝廷に提案したのが、二十歳を迎えるまでは牢で過ごすということだった
自分の身を案じることしか脳のない役人達は、その提案に安堵し、トキの自主的な幽閉により、事は丸くおさまっていた
「では聞くが」
「これが何か知らぬ者はおらぬな?」
カイリは1本の小瓶を片手に取りだし掲げた
市場でも一般的に出回っている魔法薬だ
回復薬を始め、体の不調を整えるための、魔法で作られた薬
治癒魔法を使える者は限られているので、この魔法薬は誰でも使える治癒アイテムとして欠かせないアイテムとなっている
「では、これを開発して、市場に供給することで民を守護してきた者。それが誰だかわかるか?」
辺りが再度ざわついた
カイリは、1人の役人に目線を落とす
「存じ上げません」
辺りを見渡し、誰も知っている者が居ないという空気を見てとった
「これはトキが開発し、生産、流通させたものだ。この魔法薬の効果を否定できる者がここにいるか?」
「いないな?誰もが1度は身をもってその効果を確認しているはずだ」
この言葉には誰もが納得せざるを得なかった
日常の体調不良や、魔力回復など、万能薬として使ったことが無い人は居ない程に、この魔法薬は市民権を得ていた
「トキの魔力特性は毒だが、自身の魔力では命を奪うことしか出来ないことを悔い、救われない命を救うことは出来ないのか。と、解毒薬から始まり、回復薬を作り出した」
「いかに人を疑うかと考えるしか脳の無い皆々と、自身に関わりのない誰もを救おうという気持ちを持ったトキと、どちらが善か?」
誰も反論ができなかった
「では、再度聞く、トキの幽閉は解かれる。異論のあるものは?」
「……………」
異を述べる声は聞かれなかった
「では、今日より次期王政に向けて2人で朝廷を収める。皆、そのつもりで職務に励め」
そう言うと、椅子から立ち上がり、朝廷を後にした
毎朝繰り返されるくだらない議題と討論には頭が痛いが、国をまとめていくにはやらなければならないことは多々ある
カイリはその扉を開け、敷かれたカーペットの上を歩き、奥にある2脚の椅子の片方に座る
すると、通路脇に控えている者たちが前を向き、挨拶の姿勢に入った
まずはカイリが本日の議題を告げた
「今日をもって、トキの幽閉は解かれる。何か意見があるものは?」
一瞬にして辺りがザワつく
トキの魔力は強すぎる
ちょっとした感情により、その魔力で人を死にいたらしめることが容易にできてしまう
魔力の制御が不安定な時期に、そのことを恐れた者たちがトキを自分の身から遠ざけようとした結果が牢での幽閉だった
「恐れながら申し上げます」
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「しかしながら……」
トキを幽閉した前国王が亡くなり、カイリが帰国したことで、トキの幽閉は解かれることとなったが、朝廷の役人から始まったトキの悪評は尾ひれが着いて国内に広がった
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自分の身を案じることしか脳のない役人達は、その提案に安堵し、トキの自主的な幽閉により、事は丸くおさまっていた
「では聞くが」
「これが何か知らぬ者はおらぬな?」
カイリは1本の小瓶を片手に取りだし掲げた
市場でも一般的に出回っている魔法薬だ
回復薬を始め、体の不調を整えるための、魔法で作られた薬
治癒魔法を使える者は限られているので、この魔法薬は誰でも使える治癒アイテムとして欠かせないアイテムとなっている
「では、これを開発して、市場に供給することで民を守護してきた者。それが誰だかわかるか?」
辺りが再度ざわついた
カイリは、1人の役人に目線を落とす
「存じ上げません」
辺りを見渡し、誰も知っている者が居ないという空気を見てとった
「これはトキが開発し、生産、流通させたものだ。この魔法薬の効果を否定できる者がここにいるか?」
「いないな?誰もが1度は身をもってその効果を確認しているはずだ」
この言葉には誰もが納得せざるを得なかった
日常の体調不良や、魔力回復など、万能薬として使ったことが無い人は居ない程に、この魔法薬は市民権を得ていた
「トキの魔力特性は毒だが、自身の魔力では命を奪うことしか出来ないことを悔い、救われない命を救うことは出来ないのか。と、解毒薬から始まり、回復薬を作り出した」
「いかに人を疑うかと考えるしか脳の無い皆々と、自身に関わりのない誰もを救おうという気持ちを持ったトキと、どちらが善か?」
誰も反論ができなかった
「では、再度聞く、トキの幽閉は解かれる。異論のあるものは?」
「……………」
異を述べる声は聞かれなかった
「では、今日より次期王政に向けて2人で朝廷を収める。皆、そのつもりで職務に励め」
そう言うと、椅子から立ち上がり、朝廷を後にした
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