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4.満月の泉
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目を開けると、辺りは木で囲まれた泉の中心に立っていた
チャプン…
水に浸かっても体が濡れない
不思議な泉
満月の夜にはここに来る
ここがどこなのかは分からないけど、私がこの世界に来た時と同じ場所
水面に寝転ぶように倒れると、不思議と体は浮かび、お水のベッドに寝ている不思議な感覚になる
夜空を見上げると、満月がこちらを見下ろしている
月光が降り注ぐ泉にプカプカ体を浮かべて夜空を眺める
(気持ちいい…)
これで私の魔力?が浄化されるらしい
(浄化されるって気持ちいいんだな~)
この泉はお姉様と出会った不思議な泉
水面にこうして寝ていると、お姉様のことを思い出す
『あなたは自分で魔力の浄化が出来ないのね? なら、満月の夜はこの泉で浄化なさい。この泉は私の魔力でできているようなものだから。後は月の光が手伝ってくれるわ。
まぁ、浄化が必要ないくらい国が平和で、私が浄化しきれればそんな必要も無いのだけれど…。』
(お姉様はどこにいるんだろぅ…)
『あおい様はもぅここにはいらっしゃいません。』
何度理由を訪ねてもお姉様の側仕えのユミさんからは、この答えしか返して貰えなかった
そんなことを思い出しながら、水面にダランと気持ちよく浮かんでいると、突然水がサッと無くなった
え?
水が
えええっっ!!!??
水が無くなったのに、溺れるかと思って必死に空を掴んだ
何も無いところでなにか掴もうとしても、そこには何も無いわけで……
落ちる!!
っと、目を瞑って衝撃に備えたけど、その衝撃は来なかった
逆に、誰かにふわっと抱き支えられる感じがして、あれ?っと思って目を開けると、綺麗な赤い瞳と目が合った。
「んんーー??!!!!!!??」
誰!!!!??
何が何だか状況が掴めない私は、ただただ硬直して、その綺麗な瞳を見つめ続けた
(何だこのイケメン…)
目にかかるくらいの長めの黒髪がサラリと風に揺れ、この美しい人物は口を開いた
「何者だ?」
いやいやいや!
私が聞きたい!
あなたこそ誰なんです?
どうしてここにいるんです?
あの…私重いんで下ろしてください
なんか恥ずかしいです!!!
姫抱っことか恥ずかしすぎます!!!
矢継ぎ早に言いたいことはいくらでも出てくるが、言葉にならない
「あ………ええっと……あ…あの……」
口を金魚のようにパクパクしながら必死に言葉を出そうとした
「なんでこんなとこにいる?」
(いやだからさ!私のセリフなんだわ!!)
「水を飲んでは無さそうだが…命は大事にした方がいい」
(へ?なぜ命の心配?)
「立てるか?」
そう言って私をゆっくりおろしてくれた
完全に水が無くなってしまった泉の底に立つ
(どどとど…どうしよう……この泉無いと、私、自分を浄化できなくなっちゃう…)
いつもならこの泉で、明け方に月の光が弱まる頃まで浄化して部屋に戻る
ワタシ、浄化、デキテマセン…
(どうしよう。なんか血の気が引いてきた。いや。体は熱い気がする…いや。寒い?)
確実に体調は良くない…泉での浄化はデトックスみたいな感じで、体の中の毒素を外に出してくれる感じだったんだけど、出て行けなくなった毒素が体の中から出たくて暴れてる感じ…
(とにかく帰ろう。そうだ。帰って落ち着いて考えよう。)
フラフラとした足取りで歩き出すと
「おい。危ないぞ。」
そう言って、サッと私の腕を支えてくれた
「帰ります…」
私はポツリとつぶやくと、泉の端にある小さな社みたいなとこを目指して歩いた
誰だか分からないイケメンは、「おい!」っと言いながらも私の体を支えて歩いてくれた
社に着くと、さらに血の気が引いた
「あ…割れてる…」
社には私がこっちに来る時に使った鏡と対になる鏡が置いてある
その鏡を通して私はこの泉に来ていたのだ
でも、その鏡は割れてしまっていた…
「とうしよう…帰れない…」
浄化もできないし、帰れないし、体調もなんかどんどん悪くなってきた気がするし、もぅ、どうしたらいいか分からない
そんな私を見るに見兼ねたのか、
「とりあえず、あまり体調が良さそうには見えない。」
そう言って腕を引き、木にもたれかけるように私を座らせた
長い指が私の頬を撫でる。
「こんな時間に水に入るから、体が冷えたんだろう。」
そう言って自分のマントを私の肩にかけてくれた
(この人なんでこんなに優しくしてくれるんだろ。ってか。だれ?どうしてここにいるの?)
そんなこと思いながら目の前のイケメンをぼーっと眺めていた
「少し落ち着いたか?」
コクリと頷くと、山のような質問が降ってきた
「では聞くが…。なぜこんな夜中にこんなとこにいる?何をしていた?この森は強い魔力で覆われていて、基本誰も出入りができない場所だ。相応の魔力を持った者にしか入れないはずだ。どうやってここに来た?お前は一体何者だ?水が一気に無くなったが、あれはお前の魔法か?」
(えーっと……何から説明したらいいんだろ。)
私が答えに困っていると、
「…すまない…一気に色々聞きすぎたな…」
そう言って深呼吸をすると、私の隣に座り、木に体を預け、顔だけこちらを見て改めて口を開いた
「私の名はカイリだ。お前の名は何という?」
「みさき。です。」
「では、みさき。どうやってここに来た?」
「鏡を使って来ました。」
なんかこんな話、よく分からないこの人に話してもいいものなんだろうか…
ちょっと不安になったけど、帰るすべもないし、なんか怪しまれてる?し、悪い人じゃなさそうなので、ここは正直に答えておくことにした
「鏡?」
「はい。対になる鏡を通してこの場所に来ました」
「どこから?」
「教会…です」
「ここでは何をしていた?」
「浄化…です…」
「浄化は教会でできるものだろ?」
「いや…あの……教会で出来ないので、ここに来ました」
「魔力の特性によってはクリスタルによる浄化でなくとも良いとは聞いたことがあるが…」
カイリさんはうーんと顎に手を置き、少し考えたようだった
「あの!カイリさんはなんでここに来たんですか?」
私は逆に質問してみた
「あぁ。地方の視察に出ていてな。その帰りに、気づいたらこの森の入口に出くわした」
「出くわした?」
「この森は強い魔力に守られていると言われている。だから、この森を見つけることも普通の人には困難だ。場所も不明、本の記述にある幻の場所みたいなものだ。道に迷ったかなと思ったら、この森にたどり着いた。」
「へぇ~」
「森に呼ばれた気がしたんだ。入口に手をかざすと私を迎え入れるように道が開いた。これも何かの縁と思って中に入ってきたのだが…」
「そこに、私がいたわけですね」
「この森に泉があることも驚いたが、まさかそこに人が浮いているなんて…。あのまま沈んでしまっては命に関わるだろうと、助けようと思って泉に足を踏み入れたら、一気に水が無くなった」
なんか、すごい場所だったんだ。ここ。
私は夜空を見上げながら思った
「さて。とりあえずここを出るか」
「え?帰れるんですか!!?」
カイリさんは立ち上がり、森の方に向かって「クロ!」っと叫んだ
すると、黒い毛艶の良い馬がカイリさんの隣まで駆けてきた
華麗な動きで馬に乗ると、私に手を差し出して来た
え…なんか。そんな…乗り方知らないんですが…
私が困惑していると、「仕方ない」と言って指で私に向かって丸を描いた
すると、私の体はフワリと浮き、そのままカイリさんの手中に収まり、一緒に馬に乗せられた
「つかまっていろ」
一言告げると、馬が走り出した。
「う…うわぁっ!!」
びっくりして思わずカイリさんを抱きしめてしまったが、カイリさんは気にせず私が落ちないように片手を添えると、そのまま馬を走らせた
チャプン…
水に浸かっても体が濡れない
不思議な泉
満月の夜にはここに来る
ここがどこなのかは分からないけど、私がこの世界に来た時と同じ場所
水面に寝転ぶように倒れると、不思議と体は浮かび、お水のベッドに寝ている不思議な感覚になる
夜空を見上げると、満月がこちらを見下ろしている
月光が降り注ぐ泉にプカプカ体を浮かべて夜空を眺める
(気持ちいい…)
これで私の魔力?が浄化されるらしい
(浄化されるって気持ちいいんだな~)
この泉はお姉様と出会った不思議な泉
水面にこうして寝ていると、お姉様のことを思い出す
『あなたは自分で魔力の浄化が出来ないのね? なら、満月の夜はこの泉で浄化なさい。この泉は私の魔力でできているようなものだから。後は月の光が手伝ってくれるわ。
まぁ、浄化が必要ないくらい国が平和で、私が浄化しきれればそんな必要も無いのだけれど…。』
(お姉様はどこにいるんだろぅ…)
『あおい様はもぅここにはいらっしゃいません。』
何度理由を訪ねてもお姉様の側仕えのユミさんからは、この答えしか返して貰えなかった
そんなことを思い出しながら、水面にダランと気持ちよく浮かんでいると、突然水がサッと無くなった
え?
水が
えええっっ!!!??
水が無くなったのに、溺れるかと思って必死に空を掴んだ
何も無いところでなにか掴もうとしても、そこには何も無いわけで……
落ちる!!
っと、目を瞑って衝撃に備えたけど、その衝撃は来なかった
逆に、誰かにふわっと抱き支えられる感じがして、あれ?っと思って目を開けると、綺麗な赤い瞳と目が合った。
「んんーー??!!!!!!??」
誰!!!!??
何が何だか状況が掴めない私は、ただただ硬直して、その綺麗な瞳を見つめ続けた
(何だこのイケメン…)
目にかかるくらいの長めの黒髪がサラリと風に揺れ、この美しい人物は口を開いた
「何者だ?」
いやいやいや!
私が聞きたい!
あなたこそ誰なんです?
どうしてここにいるんです?
あの…私重いんで下ろしてください
なんか恥ずかしいです!!!
姫抱っことか恥ずかしすぎます!!!
矢継ぎ早に言いたいことはいくらでも出てくるが、言葉にならない
「あ………ええっと……あ…あの……」
口を金魚のようにパクパクしながら必死に言葉を出そうとした
「なんでこんなとこにいる?」
(いやだからさ!私のセリフなんだわ!!)
「水を飲んでは無さそうだが…命は大事にした方がいい」
(へ?なぜ命の心配?)
「立てるか?」
そう言って私をゆっくりおろしてくれた
完全に水が無くなってしまった泉の底に立つ
(どどとど…どうしよう……この泉無いと、私、自分を浄化できなくなっちゃう…)
いつもならこの泉で、明け方に月の光が弱まる頃まで浄化して部屋に戻る
ワタシ、浄化、デキテマセン…
(どうしよう。なんか血の気が引いてきた。いや。体は熱い気がする…いや。寒い?)
確実に体調は良くない…泉での浄化はデトックスみたいな感じで、体の中の毒素を外に出してくれる感じだったんだけど、出て行けなくなった毒素が体の中から出たくて暴れてる感じ…
(とにかく帰ろう。そうだ。帰って落ち着いて考えよう。)
フラフラとした足取りで歩き出すと
「おい。危ないぞ。」
そう言って、サッと私の腕を支えてくれた
「帰ります…」
私はポツリとつぶやくと、泉の端にある小さな社みたいなとこを目指して歩いた
誰だか分からないイケメンは、「おい!」っと言いながらも私の体を支えて歩いてくれた
社に着くと、さらに血の気が引いた
「あ…割れてる…」
社には私がこっちに来る時に使った鏡と対になる鏡が置いてある
その鏡を通して私はこの泉に来ていたのだ
でも、その鏡は割れてしまっていた…
「とうしよう…帰れない…」
浄化もできないし、帰れないし、体調もなんかどんどん悪くなってきた気がするし、もぅ、どうしたらいいか分からない
そんな私を見るに見兼ねたのか、
「とりあえず、あまり体調が良さそうには見えない。」
そう言って腕を引き、木にもたれかけるように私を座らせた
長い指が私の頬を撫でる。
「こんな時間に水に入るから、体が冷えたんだろう。」
そう言って自分のマントを私の肩にかけてくれた
(この人なんでこんなに優しくしてくれるんだろ。ってか。だれ?どうしてここにいるの?)
そんなこと思いながら目の前のイケメンをぼーっと眺めていた
「少し落ち着いたか?」
コクリと頷くと、山のような質問が降ってきた
「では聞くが…。なぜこんな夜中にこんなとこにいる?何をしていた?この森は強い魔力で覆われていて、基本誰も出入りができない場所だ。相応の魔力を持った者にしか入れないはずだ。どうやってここに来た?お前は一体何者だ?水が一気に無くなったが、あれはお前の魔法か?」
(えーっと……何から説明したらいいんだろ。)
私が答えに困っていると、
「…すまない…一気に色々聞きすぎたな…」
そう言って深呼吸をすると、私の隣に座り、木に体を預け、顔だけこちらを見て改めて口を開いた
「私の名はカイリだ。お前の名は何という?」
「みさき。です。」
「では、みさき。どうやってここに来た?」
「鏡を使って来ました。」
なんかこんな話、よく分からないこの人に話してもいいものなんだろうか…
ちょっと不安になったけど、帰るすべもないし、なんか怪しまれてる?し、悪い人じゃなさそうなので、ここは正直に答えておくことにした
「鏡?」
「はい。対になる鏡を通してこの場所に来ました」
「どこから?」
「教会…です」
「ここでは何をしていた?」
「浄化…です…」
「浄化は教会でできるものだろ?」
「いや…あの……教会で出来ないので、ここに来ました」
「魔力の特性によってはクリスタルによる浄化でなくとも良いとは聞いたことがあるが…」
カイリさんはうーんと顎に手を置き、少し考えたようだった
「あの!カイリさんはなんでここに来たんですか?」
私は逆に質問してみた
「あぁ。地方の視察に出ていてな。その帰りに、気づいたらこの森の入口に出くわした」
「出くわした?」
「この森は強い魔力に守られていると言われている。だから、この森を見つけることも普通の人には困難だ。場所も不明、本の記述にある幻の場所みたいなものだ。道に迷ったかなと思ったら、この森にたどり着いた。」
「へぇ~」
「森に呼ばれた気がしたんだ。入口に手をかざすと私を迎え入れるように道が開いた。これも何かの縁と思って中に入ってきたのだが…」
「そこに、私がいたわけですね」
「この森に泉があることも驚いたが、まさかそこに人が浮いているなんて…。あのまま沈んでしまっては命に関わるだろうと、助けようと思って泉に足を踏み入れたら、一気に水が無くなった」
なんか、すごい場所だったんだ。ここ。
私は夜空を見上げながら思った
「さて。とりあえずここを出るか」
「え?帰れるんですか!!?」
カイリさんは立ち上がり、森の方に向かって「クロ!」っと叫んだ
すると、黒い毛艶の良い馬がカイリさんの隣まで駆けてきた
華麗な動きで馬に乗ると、私に手を差し出して来た
え…なんか。そんな…乗り方知らないんですが…
私が困惑していると、「仕方ない」と言って指で私に向かって丸を描いた
すると、私の体はフワリと浮き、そのままカイリさんの手中に収まり、一緒に馬に乗せられた
「つかまっていろ」
一言告げると、馬が走り出した。
「う…うわぁっ!!」
びっくりして思わずカイリさんを抱きしめてしまったが、カイリさんは気にせず私が落ちないように片手を添えると、そのまま馬を走らせた
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