青より青し -氷おにぎりを求めてくる雪女が、夏の猛暑で死にかけている-


古来より世界各地で「妖魔」と呼ばれる魔物が存在し、人々の生活を脅かしていた。

妖魔を討伐するべく立ち上げられた世界魔物対策討伐機関、「N.D.C.S.O」に所属していた笹瀬スバルは、退魔師としての育成学校、大阪府立退魔師養成高校に通いながら、A級妖魔として認定されている「雪女」とある“取引”をしていた。

スバルは幼少期の頃に彼女と知り合ったことで、社会的に禁忌とされてきた【人と妖魔との関わり】についてをいつも疑問に思ってきた。

というのも、雪女である“氷咲たま”は、人を襲うことを毛嫌いしており、妖魔としての生き方に疑問を抱き続けてきたからだ。

あらゆる妖魔は「人の心」から生み出されていると、近年の研究によって明らかになっており、その生物学的な由来は「人間」に共通するという点から、必ずしも人に害をなすとは限らないことが、ある研究者の論文によっても示唆されてきた。

たまはスバルに出会って以降、彼の家に棲みついており、退魔師の目から逃れるための生活を送ってきた。

いつか、妖魔が自由に暮らせる場所を見つける。

その「夢」を胸に、穏やかな日々を送っていたが…
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